星の髪飾り

星の髪飾り

2007/10/03
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昭和二十八年、ふたりはめでたく結婚した。                          
四季折々の盆地の自然と触れあいながら、山間をまったり走る飯田線。 ふたりは沿線でも比較的栄えた伊那町で暮らしはじめた。 

 やがて養蚕が盛んなこの町で、茂夫は製糸会社を立ち上げた。 
茂夫の従兄弟にあたる良幸は、番頭と共に茂夫の片腕となって会社の発展に努め、努力と大胆な行動が常だった茂夫の気質は、会社を時代の波に素早く乗せた。 

 茂夫の愛情を浴びて暮らす令子も、なかなかの働き者だった。
里が若葉色に染まり、辺りにやわらかな陽が遊ぶ田植えの季節を迎えると、令子はさっそく林家に向かった。 
そんな令子を林家では「よい嫁がきた」と顔をほころばせた。          
令子は長男公男の妻、志津を立てながら、慣れぬ手つきで田植えに精を出した。 


 ある時、仕事を終え土間に戻った令子に、公男が声をかけた。
「令ちゃ、こっちへおいな・・・」
 暫くすると大きなお腹の志津が、木箱からヨードチンキを出してきた。           「荒治療だに。これを塗っときゃあ直に治るで」                      「すみません・・・」                                 
 令子はその時、自分の足にできた豆にはじめて気づいた。





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最終更新日  2007/10/03 06:50:43 PM コメント(16) | コメントを書く


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