名作落語大全集

名作落語大全集

2025.10.23
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カテゴリ: 落語
【粗筋】

文禄山と楊国忠という者が長屋で隣合わせに住んでいたが、文禄山が釣りの帰りに人骨に酒をかけて回向をすると、これが楊貴妃の骨で、夜になると礼に来て「若草」という名笛をくれた。楊国忠が真似をすると、夜中にやって来たのは漢の高祖の家臣で樊噲(はんかい)という豪傑。礼をというので、出入りのお店の息子が青楼に入り浸りなので、連れ戻してくれるよう頼んだ。
「青楼も、最近の自由廃業問題で、煽動者の浸透に過敏になっているから、大門あたりで一悶着あるかも知れないぞ」
「そんな、大門など、この樊噲様が打ち破ってやるわ」
「それじゃあ、鴻門之会じゃなくって大門の害だ」

【成立】
 大正4(1915)の三芳屋版『小せん落語全集』では、楊国忠が坤山となっており、「お前さんは何者だ」「我は樊噲なり」「ほい、鴻門(肛門)を破りに来たか」という落ちになっている。柳家小満んがこれを復刻させている。「樊噲」「鴻門之会」とも。

【蘊蓄】
 樊噲は劉邦(後の漢の高祖)の部下。楚の項羽が劉邦を殺すために「鴻門之会」を催したが、その席に乱入して劉邦を救った。その後軍勢を立て直した劉邦が、垓下の戦い(四面楚歌で有名)で項羽を破り、中国統一を果たす。
 少し詳しい粗筋:漢楚の攻防……秦を打ち破るのに名乗りを上げたのが楚の項羽。連合軍の中出は最も勢力があり、総大将の立場だが、秦が総力を向けたので手こずり、都に入るのが遅れる。その隙に先に都に入ったのが漢の劉邦。最初に都に入った者が都を取ると約束されていたので、さあ大変。天下をわが物にしようとするのではないかと疑って、項羽と対立した。勢力では問題にならないから、戦いなったら勝ち目がない。
 そこで、劉邦自ら鴻門まで出向いて項羽に挨拶をすることにした。劉邦は都をわが物とせず、将軍がお見えになるのを待っていましたと言って許され、宴会になった。劉邦の力を見抜いた軍師が、項羽に殺すよう合図をするが、項羽は動かない。そこで項羽の甥に剣舞を舞わせ、隙を見て劉邦を殺すよう命じる。これを見抜いた大臣が、「これは面白い、わしも一緒に」と一緒に舞い、身をもって劉邦をかばったので殺せない。









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Last updated  2025.10.23 05:57:58
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ヌ−ベルハンバ―グ@ Re:落語「ね」の14:猫忠(ねこただ)(09/24) 初めてコメントさせ頂きます。 六代目・三…
名無し@ Re:落語「と」の86:とろろん(05/12) 「デロレン左衛門」は「デロデン祭文」では…
モルモタマ@ Re:65:油屋猫(あぶらやねこ)(10/21) これは小咄で、桂米朝が小咄ばかりを演じ…
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