【粗筋】
親は商売をしてそこそこの家にしたが、息子が飲兵衛で、店を飲み潰し、今では親子三人長屋暮らし。息子は働きには出るものの、毎晩酔って帰って来る。親父が寝ていると頭を蹴飛ばし「もったいない」と言うから、少しは親を思う気持ちがあるのかと尋ねると「徳利かと思った」
今夜は家に入れないと言って母親になだめられる。この向かいに住むのが、酒も博打も女もいらぬという真面目な男……というが、実は火事と喧嘩が大好き。喧嘩をしに一回りして来たが、「世の中が悪ぅなって、誰も相手しよらん」と嘆きながら帰って来て、長屋の前にいたうどん屋を巻き込もうとするが、結局喧嘩にならず、いらいらして自分の家に帰ると、疲れて寝ている母親の頭を蹴飛ばす。
翌朝、起こそうとするとなぐられるので、母親は一計を案じ、あそこで心中があったと独り言を言って、それを聞いた息子が飛び出して行く。無駄足で戻って来ると、「あれは50年前の話」
翌朝起こす方法が思いつかず、向かいの夫婦に火事だと騒いでもらい、友達の家に近いと飛んで行って、「俺が来たので火事を隠しやがったな」
翌日は近所の猿回しが引き受けてくれるが、猿に芸をさせる歌で起こすと、息子面白がって機嫌よく出かけて行った。
これを見ていた向かいの母親、「お父さん、向こうの息子はん猿に起こされて、自分の猿になって行きよりました」
「人の息子さんを笑うんじゃない。お猿でええやないか。うちの倅、毎晩トラになりよる」
【成立】
上方落語。頭を蹴飛ばして「もったいない」というのは、江戸小噺では「お櫃かと思った」。酒飲みに変えている訳だ。林家染丸(3)が得意にしていた。4代目も演っているそうだ。この3代目の弟子の小染は普段は大人しい人物なのに、酒が入ると無茶苦茶になり、1984年、飲み屋で突然「トラックと喧嘩して来たる」と表へ飛び出し、本当にトラックに轢かれて亡くなったそうだ。
ある噺家さんに「この噺の題、なぜ『堀川』というのですか」と尋ねたら、「そら『堀川』ですから、そうでなかったら他の題付けるのと違いまっか」

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