【粗筋】
車夫のずぶ六、その名の通り酒で身を滅ぼしたのだが、困って泥棒を働く。入った家がろくな物がなく、ガラクタを風呂敷に包んで逃げ出すが、慌てて書生とぶつかってしまう。書生が怒鳴りつけるが、風呂敷包みに目を止める。「それは何だ」というので、とうとう泥棒をしたと白状してしまう。すると、この書生も、ずぶ六と同じ、酒で女房に逃げられ、泥棒をして来たと言う。質屋へ行って、それぞれの物を売るが、さすがにガラクタばかりで大した金にはならない。それでも何とかなるだろうと縄のれんをくぐる。酒が入ると気が大きくなり、そのまま吉原へ繰り出す。
朝になって金がないから、二人とも着物を剥がれて追い出される。昼間から裸で稼ぎは出来ない。ずぶ六は自分の家が近いからいらっしゃいと言う。付いて来た書生、家に入るのをためらうので、訳を聞くと、昨夜ががらくたを盗んだのがこの家だと言う。
じゃあ、全部俺が出したんじゃねえかと、腹を立てたずぶ六、金を返せと言い出した。そのまま書生の家まで行って金を取り返すことにしたが、いざ家に着くと、ずぶ六は中へ入ろうとしない。
「どうした、中へ入れ」
「いや、もうここで結構で」
「なぜそう遠慮する」
「へえ、実は昨日入ってしまいました」
【成立】
明治40(1907)年の『文藝倶楽部』の懸賞新作落語。2等に入った
みよしの家の作品。「両泥」がこの改作らしい。
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