【粗筋】
帰った亭主に、いらいら女房が文句を言う。部屋を三つに区切って貸しているが、間代を払う奴がいない。せかされて催促に行く。最初の部屋は占い師。
「君は間代を催促するために来たな。人相に出ている」と手相を見る。「君は知能線が全くない。これが運命線、これが感情線で、東武線に西武線。君は金に執着するとひどい目にあう。だから金はあるが払えない」
「そりゃひどいね。帰ります」「待ちたまえ、見料を置いて行け」
次の部屋は女形。「まあ、こんな汚い部屋へわざわざ……え、間代……実は仕事もないんですが、来年からは化粧代が出ることになりまして」
「どんな芝居に出てるんですか」「忠臣蔵です」
「ああ、これが台本ですか。中村貧弱……これがあなたの芸名で……へえ、ちゃんと台詞があるんですか。何ですこれ……『んこっち』ってどこの言葉です」
「由良之助が目隠しをして、回りを女が囲んで、上手の女が『ゆーらさ』というと、私達14人が『んこっち』と言うんで」
「じゃあ、後の『るほうへ』は『手の鳴』の続きですか」「当たり」
「この程度の役じゃ間代も払えないでしょうねえ。分かりました」
三軒目は相撲部の応援団。「すみません、言いにくいことなんですが」「じゃあ言うな」
「そうはいかないんで……間代を」「くれるのか」「いただきたいんで」
「金はある。払ってやりたいと思う。思うが、お前の嬶ァは何だ。化けべそのくせに挨拶もせん。その嬶ァの尻に敷かれるとは何事だ。私の言うことを大きい声で繰り返せ。いいか、嬶ァが何だあ」
「そんなこと言ったら家を追い出されます」「出てしまえ。ほら、やってみろ」
「嬶ァが何だあ」「そうだ。嬶ァは亭主の奴隷だあ」「嬶ァは亭主の奴隷だあ」
「嬶ァなんぞいらん」「嬶ァなんぞいらん」「間代もいらん」
「間代も……あんた、うまいな」
【成立】
雷門助六(8)が演った。作者未詳。

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