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言うのに
「おまえがいてくれることを今日は心の底から
あり難いと思ったわ」
「別にそんなこと思わなくたって好いのに」
「そうじゃないのよ、おまえが死んだら私は放浪の旅に
出ようと思っていたわ、それがこうして生きて帰って来てくれて
毎日、私のことを大事にしてくれるそのことが本当に嬉しく
ありがたく思うのよ」
「若しかして、オレ、幽霊かもしんないよ」
「またそんなこと言って」
「自分でもこうして生きてるってことが信じられないもんなあ」
「だから母さんは言っていたでしょ、使命があるのだからって」
「うん、でもオレは”おしめい”だって聞いてたぜ」
「そりゃ、そうでしょ、あんなにひどい症状だったんだもの」
「絶対、自分のこの苦しみは誰にも語らないいや、語れないと
思ってたから、それを他人に話せるようになれるなんて夢にも
思わなかったな」
「恨んでる人はいるの?」
「いや、保健所と学校と医者は許せないと思う、でも
恨んだってもう時効だし人生を取り戻せるわけじゃないから
別に今は何とも思わないさ」
「東大だって先生に太鼓判押されてたのに」
「東大よりあの地獄のような病院での生死がもっと真実を
教えてくれたし、自分の心も深くなったから」
「今度、生まれてきたらどこの大学に行きたい?」
「そりゃ、決まってるさ、本宮先生がいる東北大学だよ」
「やっぱり、そう言うと思ったわ」
てな話をして2階に上がってきました。