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ケンジにケーキを贈ったことで、リナの心には確かな充実感が広がっていた。ケーキを通じて誰かに想いを届ける喜びを、改めて感じることができたからだ。そしてケンジとの距離が少し縮まったことで、リナの中には、もっと美味しいケーキを作りたいという新たな情熱が湧き上がっていた。
翌日、リナは職場で再びケンジと顔を合わせた。何気ない挨拶を交わしたが、二人の間にはどこか特別な雰囲気が漂っているように感じられた。ケンジはふと照れたようにリナの顔を見て、「あのケーキ、本当に美味しかったよ」と言った。その言葉にリナは微笑み、「そう? 喜んでもらえて良かった」と素直に応えた。
仕事が始まると、店はクリスマス当日に向けてさらに忙しくなり、リナもケンジも目まぐるしく働くことに。次々とやってくる注文に応えるべく、リナはフルーツを飾り、クリームを丁寧に絞りながら、ひとつひとつのケーキに心を込めていた。どのお客様も特別なクリスマスを過ごすためのケーキを求めているのだと思うと、自然とリナの手にも力が入る。
「リナ、今日はお前に頼みたいことがあるんだ」
休憩中、ケンジが少し緊張した表情でリナに話しかけてきた。「明日、店のクリスマスケーキの看板商品をお前が担当してほしいって、アキラさんが言ってたよ」
それは、この日が特別なものになることを感じさせる出来事だった。ケーキ作りに真剣に向き合ってきたリナにとって、クリスマス当日のケーキを任されることは大きな意味を持つ。特別な日の看板商品を担当するのは、パティシエとしての信頼の証でもあったからだ。
リナは緊張と興奮で胸を高鳴らせながら、「わかった、やってみるよ!」と力強く答えた。そして、その大役を任せてくれたアキラとケンジに感謝し、またひとつ自分の夢に近づいたと実感したのだった。
その日の帰り道、リナはふと夜空を見上げた。街のクリスマスイルミネーションがキラキラと輝き、まるで自分の心を反映するようだった。彼女はケーキ作りを通して、誰かに喜びを届けることができたこと、そして新しい気持ちが芽生えたことに感謝していた。
「明日は、もっともっと特別なケーキを作ろう。お客さんにとって、心に残るクリスマスになりますように…」
そう自分に言い聞かせながら、リナは足早に帰路を歩いた。そして、クリスマスの魔法が自分のケーキに力を与えてくれることを信じ、夜遅くまで特別なレシピを練り直し、クリスマスケーキのイメージを心に描き続けた。
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