mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2007年10月07日
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切り裂いた闇の中、白銀の翼が舞う
月光に照らされて闇を飲み込み、全てを無に帰す。
sakezukiとその両側の無言の戦士達が霧のように湧き出てくる黒き魔獣達を消し去っていく。
その光景にアルテミスは息を呑む。

「凄い、全てを飲み込んでいく」

「ああ、確かに無敵だなしかし長くは持たないこちらも用意が必要だ」

ゲルニカがアルテミスに準備を促した。

「長くは持たない?」

「ああ、あれは魔獣達の妖気を全て取り込み自らと同化したあとに切り捨てている」


「切り捨てるって?」

「そのままの意味さ。取り込んだ部分を自ら消滅させている」
「奴の計算では3体で自分が完全に消滅してしまうのだろう。だから1体分、我々に仕事をくれた」
「さぁ急ごうあまり時間がない。武器はこれを使いなさい」

ゲルニカが投げ出した槍を受け取るとアルテミスは小さく頷いた。

「メタビは悪いが人型のまま戦ってもらうからな、でもそいつも良い槍だ」
「洞窟で宝を荒らしに来たが、魔獣の強さに逃げられなくなった盗賊を助けた時に頂いた奴だ」
「たしか、ロクショウとか言ったな。小心者なわりに運だけはいい奴だった」

「ロウクショウ・・・・・・そうかこの世界にはまだ元気でいるんだな」

アルテミスは感慨深く手にした槍を見つめる。そして何かを決心したようにゲルニカ達の方へと振り返る。

「師匠、メタビ。sakeさん達を手伝って下さい。ここは私が引き受けます」



「皆命を懸けて今を精一杯生きている。私また臆病になっていたわ」
「私はもう私の中の力に怯えたりしない。この時代にも懸命に生きている人がいる」
「もう誰も死なせたりしない。私が守るから」
「お願い、私のそばから離れて。多分まだ上手に制御出来ないと思うから」

アルテミスの言葉に二人は困惑していた。しかし、アルテミスがゆっくりと目を閉じ精神を集中し手を前方で交差させた時点

アルテミスは心の奥底に封印していた力を始めて自らの意思で開放し始めた。
その力は強大でアルテミスの体を直ぐに侵食し始め、アルテミスの表皮は膨張し硬質化が始まり、爪は伸び瞳は深紅に染まり
髪は背中まで伸び額からは真っ赤な宝玉が姿を現し始めた。
そう、この現象は以前ロクショウを眼前で殺された時、意識をレッドストーンに乗っ取られたアルテミスが怪物に変化した時と
同じ状況であった。ただ違うのは、あくまで今回はアルテミスの意志によっての力の解放であることである。
その証拠に以前は完全に獣の形態であったアルテミスの身体は、あくまで人の原型を留めている。硬質化した皮膚や大きくなった身体は
どちらかと言えば鎧の下に新たな真紅の装甲を纏ったようにも見える。
そしてもう一つの違いは、以前の覚醒時とはアルテミスの戦士としての力の違いである。
巨大な魔力を受けてめるベースであるアルテミスの力が素人同然であった前回から格段に成長しているため、覚醒時の魔力は数倍にも達していた。
その力は大気を震えさせ、神々をも震撼させるに相応しい巨大なオーラを纏っていた。

「ゲートキーパや赤い悪魔どころの騒ぎじゃすまないな」メタルビートルが震える手のひらを見つめ呟く。

「ああ、俺達が封印した赤い悪魔より巨大。俺達はとんでもない者を呼び出したようだな」

ゲルニカが答え顎で合図すると二人は一気にその場から跳躍し、アルテミスから距離をとった。
アルテミスは僅かに残った瞳の中の人間としての意思をゲートキーパーに向け、集中した。溢れるオーラは収束し具現化した赤と黒の
オーラがアルテミスの背中に巨大な翼を象った。

バーン!

アルテミスが姿を消した少し間をおいて轟音が鳴り響く。音速を超えた神速移動に伴う衝撃波と膨大な魔力による熱でアルテミスの
移動した軌跡に沿って、全ての魔物達を砕き焼き尽くす。以前アルテミスがセシルスとの修行で一度だけ出したソニックブームである
レッドストーンの力で強化されたその攻撃は、不死鳥が放つ火の子で世界を浄化するように一直線にゲートキーパーに向かい突き進む。

(私はもう恐れたりしない。いつの時代も精一杯生きている人達がいる)
(私はもう逃げたりしない。死を恐れず、結果を恐れずに立ち向かう人達がいる)
(人の心は魔物達などに負けやしない!)


赤石物語
(Blackworld and Redstonestory)

~古都の南風 傭兵の詩~



花火の杖が光る!
閃光と共にザードフィル目掛けて火球が飛び交う。
同時に苦痛の表情を浮かべながらも、楸の腕がザードに向かい杖と共に氷の刃がザードを襲う。
しかし、どの攻撃もザードフィルの目前で見えない障壁により弾き返される。

「ふははははぁああああ、そんな魔法攻撃など我の前には無力。非力、非力、非力ーーー!」

「それなら、刃物はどうだぁああああ」

花火達の頭上高く舞い上がったガラテアの巨体が巨大な斧と共にザードフィルに強烈な一撃で振り下ろされる。
しかし、後数センチの所で時が静止したかのようにガラテアの巨体が空中でピタリと止まり、逆にザードフィルの軽い手払い
で巨体がまるで猫が転げまわるように地面に吹き飛ばされた。

「馬鹿な、ゆうに200キロはある俺を……」

ガラテアは自らに起きた事が信じられないといった表情を浮かべる。

「無駄、無駄、無駄ぁあああああ、お前達の使う技は全て魔力を伴う。例え物理攻撃でもな」
「そして、私は魔力を極め、栄華を誇った古代魔法王国ザードの正統後継者、全ての地を守る民の王」
「どんな魔力も王の前には無力、ただひれ伏すのみ」

ザードフィルが誇らしげに高笑いを浮かべる。

「古代魔法王国ザード……、聞いたことないな」とガラテア。

「いや、安物の防具でレイメントオブザードとか言う奴の説明になんか書いてあったぞ」とセシルス。

ドーン!

二人の会話が気に入らなかったのかザードフィルは無表情に杖を振り、二人の間に巨大な火球を落とした。
咄嗟に飛びのき、すぐさま反撃の斧と槍がザードフィルを十字に切りつけるが、結果は先程と同じく吹き飛ばされるのは
二人の方であった。
それでも、花火と楸は吹き飛ばされた二人の援護に魔法攻撃を繰り出すが結局ザードの前の障壁の前に全て消え去ってしまった。
飛ばされたガラテアは自分の攻撃が効果ないことを悟り、解決の糸口を掴むため攻撃の手を休め思案する。
しかし、セシルスの方は諦めきれずザードに向かい地面を蹴った。
空中で槍を弓に持ち替え狙いを付けるセシルスを暗闇から鋭い矢が襲う。咄嗟に体を捻りかわしたセシルスの頬を鮮血が流れ落ちる。

「ちぃ完全に気配は消していたのに流石一流の傭兵さんね」

手に弓を持ち、悔しそうな表情を浮かべるのは風の三姉妹のうちの一人、雪音であった。
そして両方の脇から雪音の肩に手をかけルジェとトリーシャがセシルスの前に立ちはだかる。

「セシルスさん、ちょっと彼方は邪魔なのよね。ちょっと卑怯だけど三人で一気にやっちゃうわね」

トリーシャが妖艶な表情でセシルスに話す。そして三人が跳躍しセシルスを囲み槍と弓を構えた。

カッカッカ!

三姉妹がまさに今セシルスに襲いかかろうとした瞬間、地面に投擲が突き刺さる。

「チャララ、ラーラ、ラーラ、ラン♪」

「誰だ!」

ルジェが首を回し声の主を探すと壁の上に黒い装束の男が立っていた。

「例え女性同士でも、一人に対し三人同時にとは戦士道を汚す行い。ゆ・る・さん」

「ちょーっあんたネドでしょ!カッコつけすぎ」セシルスの表情が自然と緩む。

黒装束の男は壁の上に肩膝をつき、パチンとジッポライターに火を点し一服する。

「月影に 乙女の戦 火花散る アデュー」それだけ口走ると黒装束の男はさっと消えてしまった。

「おい、ネドそれだけかい!期待だけさせてネタだけかい!しかもかなり古いぞネタが」

「まぁまぁ、落ち着けセシ。奴は肝心な時だけしか手は出さないのさ」ガラテアがセシルスの背後に現れた。

「取りあえず、ザードには手が出せないなら他から攻めるしかないな。流儀に反するがお嬢さん方相手願おう」

ガラテアが巨大な斧を肩に担ぎ目線で三姉妹を牽制する。

一方、花火と楸は相変わらずザードフィルに攻撃を繰り返すが、結局全ての攻撃はザードフィルの障壁の前に無意味であった。
その中でフクチ大佐だけが魔力を失い、攻撃を繰り出す事も出来ずに悔しさをかみ殺すようにザードフィルを睨んでいた。

「くそっ、こんな時に全ての魔力を失うなんて。なんのための杖だ」
「なんのためのブローチだ」

フクチは何とかして渾身の魔力を振り絞って杖に込めるが無常にもなんの反応もない。

「えーい、メテオ!ファイヤーボール!ファイヤーボルト!」
「サンダー!ウォーターフォール!アースクエイク!」
「駄目だ、何一つ杖に魔力が反応しない。私の魔力は本当に費えたのか……」

フクチは必死に魔法を唱え、杖を力一杯振るがなんの反応もない。

「えーい、もう破れかぶれだ。テクマクマヤコン!マハリク マハラタ!テクニカ シャランラー!ピピルマピピルマ プリリンパ!」
「パンプル ピンプル パムホップン! ハリラハリラハラリー!エクスペクト・パトローナム!ピリカピリララ!」
「くそ、やはり駄目か。てかこれで魔力が戻ったらビックリビックリ!ビンビン!のドッキリドッキリ!ドンドンだな」」

フクチは殆ど諦めたのか適当な言葉を繰り返し、杖をいい加減に振り続けるしかなかった。それくらい自分のこの場の無力さに途方に暮れていた。
今まで戦場ではその溢れる魔力で先頭に立ち、数々の戦功を納めてきた軍人もその肝心な魔力を失いただの人となってしまった今、魔人とも
言える人々の戦いは恐怖を肌に刻み込むのに十分過ぎた。

(しかし、あの魔法障壁は異常だ。このままでは二人の魔力もそう持たない。しかも楸殿は私と同じく呪いに掛かっているのに)
(考えるんだ、魔力は無くしても知恵や経験まで奪われた訳じゃないんだ)
(全ての魔法も物理攻撃も効かない……何故物理まで?本当に透明な壁でもあるのか?物理も魔力を伴うか……)

「はっ!そうか魔力を持つ全ての戦士の攻撃が無効。突破口が見えた」

フクチの表情が何かを理解したようにパッと明るくなった。

「気づいたようですね、ザードの考えに。狙いは首に掛かった赤い宝石唯一つです」

ダッダッダー

花火の声にフクチは頷き、ザードフィル目掛けて走り出す。そして魔力の費えた腕と杖でザードフィルの胸へ目掛けて殴打した。
先程まで完璧に全ての攻撃を塞いでいた障壁がフクチの攻撃には反応しない。
そしてなんの障害もないザードフィルの胸にフクチの杖が突き刺さる。いや首から下がった赤い宝石に突き刺さった。

パキッ!

赤い宝石にひび割れが生じるとザードフィルが苦悩の表情を浮かべ、頭を抑え意味不明な声をあげ、遂には膝を地面つき苦しみ始めた。


<あとがき>
さぁ、もう10月……
いったい何時になったら終わるのか2部

今回、後半は少し遊びが過ぎたかなw
たまにはお笑いも必要だよね?
でも少し対象がw20代とかしか判らんネタになったなw





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最終更新日  2007年10月07日 16時26分34秒
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