mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2008年02月21日
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【漆黒の世界と赤石物語】


『外伝』

・第三章 1
不思議少女サマクと別れてから公園を出た俺を待っていたのは里場だった。

「よう、用事があったんじゃなかったのかよ」
「ええ、済ませた後たまたま通りがかっただけですよ」

飄々と答える里場の首根っこ捕まえて色々聞き出そうと思ったがやめておこう。
正直なところこれ以上の不思議体験はお腹一杯だ。


「彼方が好む好まざるに係わらず、危険は迫ってきますから」

このオトボケ同級生をどうしてやろうかと思案していると、丁度その危険とやらが届いたらしい。
蕎麦屋の出前かつーの。
その危険は如何にも私は怪しい組織の一員ですとばかりに黒塗りの高級車から、サングラスに黒のスーツ姿の大柄な男達が3人ほど現れた。

「おい里場何の真似だ」
「いや、私にこのような知り合いはいませんね」

平然とした口調で答える里場と無言のまま近づいてくる怪しい男達を交互に見つめる俺。
やれやれ、道案内なら交番へ言ってほしいものだが、どうやら最近の車にはナビがついているので問題ないようだ。
何故知っているかって、その後直ぐに車に強引に乗せられたからな。でも、なんでお前までついてくるんだよ里場

「さぁ、彼らが僕に用事があるとは思えないので単なる巻き込まれただけでしょう」
「俺だって心あたりなんかねーよ」


高級車に乗せられた俺達は、1時間程経過した後に目隠しされ何処かの屋敷へと招待された。
目隠しを外された時に目に映った部屋はかなりの広さがあり、高そうな家具と骨董品と宗教画が飾られた洋風の居間であった。
その中央にどうやらこの騒動の親玉らしき人物が髭を蓄えてとても優しそうな目でこちらを伺っている。
初対面でこの優しそうな目はとても嫌な感じだな。大抵の悪玉は悪者顔しているが、本当に悪い奴は温和な表情をしている……と何処かの小説で立ち読みした記憶がある。
その目が俺を確認した後、隣のまったく動じない奴に移った時に少しだけ驚いた表情を浮べた。


「何故貴様までここに」
「いやですね。仲のいい友達と下校途中にお招き頂いただけですよ」

おいおい、誰と誰が何時仲良しになったんだ。

「ふん、まぁそちらも抜け目は無いと言う事だな」
「部屋を用意した。悪いがそちらで暫く滞在してもらおう」
「くれぐれも物騒なことを仕出かすなよ。我々もお前は管轄外だからな」
「解りました。僕も事を荒立てる気はありませんので」

飄々と答える里場に対し、親玉は苦々しい表情で部屋を後にした。おい、おっさんさっきの温和な表情は何処行ったんだよ。部屋を移り、再び俺は里場と二人きりとなった。
少しだけこじんまりしたが、先程の部屋と変わらず立派な調度品に囲まれた部屋だ。
来客用の部屋といったところだろう。
丁度いい、どうせ暇なんだ里場に色々と聞きたい事がある。

「なんでしょう、僕で話せることなら幾らでも」

色々と聞きたい事や聞きたくないが聞いた方が良さそうな事があるがまずはこの状況だな。

「お前、あのおっさんと知り合いか」
「いえまったく」
「向こうは知っていたじゃないか」
「これでもある方面において少しは有名人でして。ただ個人的にあの方は存じないですね」
「ただこの屋敷の所有者とか団体は想像つきますが」
「本当に面倒くさい奴だな。さっさと言え、当然俺には知る権利があるのだろう」
「そうですね。但し、彼方は信じないかも知れませんよ。あの手紙のように」
「あの時と明らかに状況が違う。あの時は不思議な少女から手紙を貰っただけだ。今は怪しい同級生の宗教話と外国の王女の宝の話と拉致事件を体験済みだからな」
「はは、そりゃ大変でしたね」

一回くらいぶん殴ってやりたいな、どうしてそんな軽い口調なんだよ。

「家庭環境ですかね。家族会議でいつも酷い目に合っていまして結果作り笑いが上手になりました」
「どんな家庭環境だよ。まぁ知りたくも無いがな」
「それよりさっさと話せ、時間はたっぷり有りそうだが俺の頭の整理と小さな心のケアが心配だからな」





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最終更新日  2008年02月21日 18時40分04秒
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