mikusukeの赤石お散歩日記

mikusukeの赤石お散歩日記

2008年03月09日
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【漆黒の世界と赤石物語】


『外伝』

・第三章 2

「まぁたいした事じゃないんですがね、少しだけ魔法が使えるのです」

おいおい、簡単に常識レベルを突き抜けるなよ。
いままでさんざん誤魔化しておいて、いきなり核心かよ。
スキャンダルを誤魔化す芸能人がいきなり出来ちゃった結婚するぐらい唐突な告白だぞ。

「いえ、魔法なんて大した核心にならないですね」


おい、今なんつった。

「ええ、凄く限られた力しか使えないと」
「そんな事じゃねぇだろ」

思わず常に冷静キャラを自認する俺が同級生の胸倉を掴んでいた。
そう、今俺の耳にはこの世界と聞こえた。じゃなんだ、この世界以外の異世界が存在する
ように聞こえるじゃないか。

「否定しませんよ」

してくれよ、思いっきり否定してくれ。

「残念ながら、これは事実です。信じる信じないは別ですがね」

俺は心の中で朝起きた時、今日が8月31日と気づいた時以上に認めないぞ。
そして、まったく手付かずの宿題の山を目の当たりにしても脳内引きこもりをしてやるんだ。


おいおい、それ以上に何があるってんだよ。

「僕は、この国の象徴たる組織のエージェントとなっていまして。そしてある物を守るために私はこの世界にお邪魔しているのです」
「どこの組織だよ、その怪しげな秘密結社は。まさか俺をバッタ人間にする気はないだろうな」
「ご心配なく、普通にこの国の法で認められた組織ですよ。ただ僕はその裏の部分に属しているだけで。ちゃんと東京の千代田区に本部がありますから」

いくら俺が馬鹿でも、この国の象徴で本部が千代田区にあると聞けば簡単に想像はつく。


「もっと詳しい話をしたかったのですが、どうやら時間がないようですね」
「どういうことだよ」
「追っ手が来たようです。ここなら安全かと思ったのですが残念です」
「ちょっと待て、俺はまだ信じていない。信じるまで一歩も動かんぞ」

そりゃそうだろ、いきなりカトリック教会に拉致されて宮内庁のエージェントが同級生で魔法使いなど簡単に受け入れられる程、器量の大きい人間じゃない。

「ふぅ、仕方無いですね。少しだけですが・・・・・・」

里場は何気に胸のポケットからペンを取り出すと軽く円を書くように回した。
するとペン先が少し光ったと思ったら、里場の奴中に浮いていやがる。
正直、声を出して腰を抜かしたい気がしたが土俵際でなんとか持ちこたえた。俺の中でこいつは同級生であるという今となっては本当にどうでもいい設定がそれを許さなかったからだ。同級生相手に腰を抜かす訳には男の子としてはいかんのだ。
そんな事を俺が思っている間に里場のやろうの表情が険しくなる。

「時間がありません、急いでここを出ます」

里場が扉のドアに手をかけたがそれは回らない。蹴破るか、男二人ならなんとかならんか?

「いえ、そういった物理的なロックでは無いようです、呪いがかかっています」
「じゃ、得意な魔法でなんとかしろよ。攻撃魔法でなくとも開くんだろ」

「確かに簡単な呪文ですが残念ながら、アンロックは私の分野じゃないんですよ」
「じゃどうすんだよ」
「魔力を伴う物理攻撃なら開くでしょう」

そう言うと里場は先程のペンを必死にドアノブにぶつけだした。確かにほんの少しだけペンは青白い光りを放っている事からなんらかの魔法的な攻撃なのだろう。
なのだろうが、後ろから見るとかなり馬鹿っぽいな。なんせ必死にペンでドアノブを何度も何度も叩いてるのだからな。緑の海水パンツでも履かせて上半身裸にしたらどこかで見たようなパフォーマンスだなこりゃ。
カチャ!
「どうやら、なんとか開いたようです」
流石魔法使いだななんとかしやがった。

「ですが、残念なことに私はここでお別れです」
「おい、どういう事だよ」
「どうやら、呪いで言語機能以外が不自由になったようです」

前言撤回、使えねぇなこの阿呆使い。

「時間がありません、私のポケットに大事な品が入っていますそれを持って逃げてください。大丈夫です、廊下を突き当たるころには白いウサギが待っています。そのウサギが案内します。さぁ急いで!」

いつも飄々としている里場の真剣な表情に俺は奴のポケットから包みを取り出し部屋を後にした。
「ウサギだと、まさか異世界にトランプの女王とかいないだろうな」

外伝里場1

<あとがき>
挿絵を描いてみました。
里場です。
イメージが違うのとか、絵が下手くそなのは許してください。
色々とチャレンジしようかと思って書いてみました。





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最終更新日  2008年03月10日 04時39分16秒
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