another world

another world

彼女



あなたと出会うもっと前。
私は神戸にいた。
そう、彼女を東京に残して。

私と彼女には、

もっと前から何かに気がついていた。
もっと前から違和感だけがあった。


彼女が浮気をしている。
いや
彼女が浮気をしかけている。


そう、疑惑だけを胸に私は東京を去った。
そう、確実に不安だけが私を残していった。


それは、やがて、確信に変わる。
それは、悲劇の始まりだったのかもしれない。

~形になっていく不安~

彼女からの話しはいつも職場の一人の男性だった。

その人はかなり女癖が悪く
そして、
自分でもどうにかしたいって
そう
言っていた。

そして、彼女に

「君ならば変えてくれそうなんだ」

って、言い続けていた。

そう、その男性には婚約者も結婚する日も決まっているのに。


不安だらけであった。
毎日顔をあわせる二人。

遠く離れたところにいる私。

週末いつも東京にいったね。
週末だけは彼女といたいって、思っていた。

そう、思えば、そんな行動なんて、
ムダだったのかもしれない。

あの事件がおきてそう思ったよ。


~事件です~

なんどか神戸、東京を週末往復を私はしていました。

けれど、会えば会うほどに不安は大きく、
けれど、会わないとどんどん不安に、

だから、毎週末頑張っていったんだよね。
でも、その思いなんて小さいものだったのかも知れない。

彼女の職場は、上司と、彼女を毎日口説いている男と3人でした。

後から知ったことだけれど、この上司ともう一人の男の間で
賭けをしていたらしい。


「どっちが先に彼女を落とすか」

そして、事件は起きた。
夜中に彼女から電話が入る。
無理矢理、上司にホテルに連れ込まれたと。

上司が今シャワー浴びているんだけれど、どうしたらいいという内容。

私は今すぐホテルを出て、タクシーで家に帰ることを伝えた。
そして、次の日、私は仕事をサボって東京へ行った。

思えば、あんな最低な職場。
もっと早くに彼女に辞めさせるべきであった。


もう、今となってはどうでもいい事実だけれど。


~強く儚いもの~

会社を休んで東京に行った。

それは、色んな不安を解消したいから。
それは、何かに決着を付けたかったから。


彼女は派遣でその職場に行っていた。
派遣会社に状況を話して、穏便に事を済ませる。
先方にも理解をして貰うために走りまわった。

そう、本当に走り回った。

もう、彼女はその職場とは縁が切れた。
もう、彼女はあの男たちとも会わずにすむはずだ。

そう信じていた。

けれど、私が新幹線で帰った後、
けれど、私が東京を離れた後、

彼女は、彼女を口説いていた男と会っていた。
そして、
その夜電話が、

今でも覚えている。
鮮明に、
そう、いやなくらい鮮明に、

その男と彼女が一夜を過ごしたことを。


どこかでCoccoの「強く儚いものたちへ」が流れていた。
どんなに苦労をしても、お姫様は腰振っているだけなんだ。


死にたい。
いや、
死のうと思った、

死ぬならば「首吊り」が良かった。
寝転がりながら、徐々に重みで落ちていく、
その苦しみもない深い闇に包まれていった。

はずだった。
携帯がなって、呼び戻された。

私は弱いものよ、そして儚いものよ。
そう、その日は長い夜であった。

~戻らない月日~

眠れなかった次の日。
彼女から電話が鳴る。
何回も、何回も。

着信拒否をできなかったのは、
私の弱さかもしれない。

何かを期待していたのかもしれない。
でも、
こんな未来を期待していたのだろうか。。。

電話の内容は

昨日の相手には婚約者がいること
昨日の相手に避妊されずに行為がされたこと

であった。
すごく不安で、東京から神戸に行きたいとのこと。

私は悩んだ末に会うことにした。

もう、時は戻らない。


~すれ違いの始まり~

彼女は神戸にやってきた。

「やりなおしたい」

首にいっぱいのキスマークをつけて
避妊もされずに

でも、泣きじゃくる彼女を
突き放すことは
出来なかった
そう
出来なかったんだ


産婦人科に二人で行き
中級ピルという存在を知った
75%の確立で避妊できるそうだ
詳しくは知らない


「もう、あの人とは連絡とらない」

そう彼女は言ってくれた。
確かに
そう彼女は言った。

二人にとって辛い一日だった。
そう
とてつもなく辛い一日だった。


このときは、まだ私も
やり直せると思っていた。

そう、私は。

~信じるものは・・・~

すべてがやり直せると思った
そう
泣きじゃくる彼女を受け止めようと
思っていた
この時はまだ
思っていた

新幹線で東京に帰る彼女を見送った

その新幹線の中で
彼女はあの男にメールしていたなんで
今でも思いたくない

けれど、それも事実


人は辛いことがあったとき
記憶を操作することがあるって
知識では知っていた
でも
実際は知らなかった


彼女は神戸に来た記憶も
産婦人科に行った記憶も
残っていない

そして、
泣きながら
私にすがりついた記憶も
残っていない

だから、私はもう
この日のことは彼女には話もしなくなった


残っていない記憶を
せめても何も変わらないから

ただ、唯一の救いは数日後に
彼女に生理が来たということだけだった


~変わり行く環境~

あれから、何度か彼女と話し合った。
もう二度とあの男とは連絡を取らないと
いつも約束をする

けれど、その約束は
いつもやぶられる

そのその繰り返し


私は仕事も手につかなかった
いや
けれど、仕事の結果だけは残していた

そう
東京に戻るため

私は給料も下がるのも覚悟して
東京に戻ってきた

知り合いは彼女しかいない
東京へ

距離が近くなれば
変わると思っていたから
そう
思っていたから


~再び東京へ~

私は東京に戻っていた
彼女とそして、同棲をはじめた
そう
一緒に住めばかわると
思っていた

確かに変わったことはあった
そう、
何もしなくなったことだ

彼女の記憶で何がどう入れ替わったのか
わからない
ただ、
私とはもう
エッチはできなかった

私以外の人とは出来るみたいであったが

そう、あの男とは

こんな狂った環境で
私はあなたと出会ったのであった


それでも、私は
あなたよりも、この彼女を選んでしまった
そう
どこにも救いはない

ただ、この彼女をどうにかしたいという気持ちだけだった
そこには
愛情という名前のものが
なかったのかもしれない。

【 次へ 】

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: