迦陵頻伽─ことだまのこゑ─

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2026.09.27
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カテゴリ: 浮世見聞記
JCIIフォトサロンで、「小松健一作品展 都会の安息─一九七〇~一九八〇年代」を觀る。



現在はフリーカメラマンとして活動する小松健一氏が東京の都市生活者として揉まれた二十代に撮影した、1970年代後半から1980年代初めの東京に暮らす庶民を、同じ目線からカメラに捉へた數々。

建造物こそ五十年前の姿だが、そこに蠢く人々は驚くほど令和現在そのままであり、強いて云へばスマホをいじってゐないくらゐだ。


會社を解雇されたこと家族に云へず、手作り辨當を日比谷公園の片隅でひっそり食べてから帰ると云ふ中高年男性──

新宿地下街の階段で深夜までうずくまってゐる月給取──

夜遅くの通勤電車内で、座席を机代はりにお勉強に勤しむ塾帰りの小學生──

奇抜な服装や振る舞ひでなにかを主張したい目立ちたがり屋──


小松健一氏が今回のためにみずから選別したこれら作品に記録された東京生活者たちは、いづれも“今日”は見えるが“明日”は見えない。

生活がその日その日で斷絶し、その連續で五十年後過ぎたのが令和の今日であることが明確に語られ、これらの白黒画面はこの國がなにも生み出せない國になり下った理由を、端点に語るだけの説得力を持ってゐる。




それは櫻が満開の上野恩賜公園で、自由に生きたいと施設を抜け出した笑顔の老人を冩した一枚。

その開放感あふれる双眸に、この老人こそが東京生活者の真の勝者なのかもしれないと、私もその真理に心から微笑む。





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最終更新日  2026.09.27 19:46:51
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