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2023.04.16
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​​​​​​​​​ ​Milkywayです。お元気ですか?
                             20230416

このオペラは、カンボジアのお正月を祝って、4月14日からオンライン上で無料公開されている。

​https://www.broadwayondemand.com/rentals/f4e4b5d8-ede0-4035-b6e6-884c0fca3473​

すごく感動した。
まず、このオペラ全体のテーマ「愛と死」「伝統と現代の衝突」という普遍的テーマが、西洋の音楽と東洋カンボジアの音楽プラスアートの融合の中で、みごとに描かれたことに感動。

​【ストーリー】​
このオペラは、時代を、内戦終了後のカンボジアに設定。戦争時代に海外に逃れ、西洋で育った青年Samが、カンボジアの伝統に従って、修行僧として一定期間を過ごすために母国に戻ってくる。彼は同輩の修行僧で親友のDaraと共に修行に励んでいるのだが、カンボジア人の歌手Bophaを目にした。彼女は兄のビジネスと家族の助けをしている。さらに、兄の命令で、望まない結婚を強要されていた。

Sam とBophaは惹かれ合い、恋に落ちる。Samは修行僧の身分を捨て、Bophaは禁をおかし、家族の伝統に背く。結果的に二人は大きな騒動を引き起こし、ついに親友のDaraが犠牲になり、SamとBophaは自分の生きる方向を、決断することになる。

​【テーマ】​
家の対立、社会的立場の対立の中での悲劇的な恋というロミオとジュリエットのような愛の物語が主軸にあり、それを支えるように、内戦時の殺戮や、内戦後のカンボジアに急速に入り込んでくる西洋の文化で壊されていく伝統、というサブテーマも描かれる。さらにカンボジアの仏教伝統、師匠と弟子、家族の在り方、帰国子女の母国での疎外感、そして心の葛藤など、現代の多くの国々にも共通するテーマも描かれる。

​【歌手】​
主人公のサムを演じるのがマイケル・リー( Michel.K.Lee )韓国人のミュージカル俳優。1973年アメリカ生まれで、スタンフォード大学で 心理学を修めた。 現在は韓国在住で、演劇活動中。
舞台キャリアとしては、錚々たる作品に出演。主演作も多く、多くの賞を受賞している。例えば《ミス・サイゴン(トゥイあるいはクリス)》《ジーザス・クライスト・スーパースター(シモンあるいはジーザス)》《アリージャンス(フランキー・スズキ)》《風と共に去りぬ(アシュレー)》などがあり、他にも多数の名作に出演している。     ​https://en.wikipedia.org/wiki/Michael_K._Lee​

彼はSamの役にピッタリだと私は思った。青年らしい情熱とナイーブさ、修行僧としての宗教的な清らかさとエレガントな風情を持っている。その彼がさまざまな葛藤に苦しみ、死と喪失を経て、最終的な決断をしていく姿を演じる。場面場面で歌うアリアは圧倒的で、深く感動した。

Michael K. Leeに隠れてしまうのだが、Samの腹心の友Daraを演じた Marc de la Cruz にも私は心惹かれた。Samの親友であり、Samの良心を象徴する人物である。心優しく、忠実な友人であり、友情ゆえに命を落とす。Marc de la Cruzはそうした人物を、過不足なく表現した。彼の歌唱もすばらしかった。

ヒロインBophaを演じたのが Diane Veronica Phelan 。役になりきった迫真の演技を見せた。実際に彼女は涙を流しながら歌っていた。
ストーリー後半のSamとの二重唱は、西洋の歌唱法とカンボジア(東洋)の歌唱法とが融合していて、その歌唱力に感動した。ただ、この役にはちょっと成熟し過ぎている感があって、少し残念。

カーテンコールの場面で分かったのだが、出演者には一人何役も演じている人たちがいて、彼らの力量にも驚きだった。

​【融合】​
私がこのロックオペラの何に最も感銘を受け、感動したのかというと、「融合」という言葉に集約されると思う。
まず音楽では、西洋の弦楽四重奏に、カンボジアの伝統音楽ピン・ペアットのアンサンブルが融合する。それに、西洋のロック音楽やラップにカンボジアの楽器の音が絡まる。加えてカンボジアの舞踊、東洋と西洋の歌唱法、影絵、さらにはカンボジア武術などが絶妙なバランスでオペラ全体に織り込まれている。そうした劇的要素が、仏教の修行僧を主人公にして、展開するのだ。

現在もカンボジアでは、民間人が戒を受け、ある一定期間、仏教修行に入るという習慣が実際に行われている。こうしたカンボジア独自の仏教修行に勤しむ修行僧を主人公として設定したことも、そのユニークさから、成功の大きな要因だったと私は思っている。

ただ、タイトルの Where Elephants Weep​ の意味がいまいちつかめない。もっと詳しい英語の字幕が欲しかったし、できればリブレット(Libretto セリフ・歌詞)も読んでみたいと思う。





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最終更新日  2023.04.16 17:09:42
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