ねぼすけの読書感想日記

ねぼすけの読書感想日記

2008.05.20
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カテゴリ: 書評
 トーマス・フリードマン「フラット化する世界(上)/(下) 経済の大転換と人間の未来」(日本経済新聞社、2006.5)を読んだ。結構有名な本なので図書館で借りてはみたものの、読みきるのに一月ほどかかった。日本で暮らしていると、日本語圏はほぼ日本市場であり海外からの参入障壁になることから、著者の言う”世界のフラット化”はあまり切実には感じられない。これが英語圏であると、米国企業のカスタマーセンターはインドのバンガロールにあり、米国の個人の確定申告をインドへアウトソーシングしていることは急速に進んでおり、サービスを含めた単純労働は、ITによって国境のない労働単価の安い所へ流れて行っていることが顕著であるそうだ。
 この著作では、世界をフラットにした10の力として「フラット化の要因」を上巻で解説し、フラット化する世界においてアメリカはどうしたらよいのかを下巻で論述している。米国人への提言が主であるが、日本においても十分に通用する話を述べている。即ち、理数教育の充実と強化が主要課題としている。

「・・・これまでアウトソーシングが不可能と思われていた税務処理や医療サービス、ソフトウェア開発、はてはジャーナリズムといった知的労働まで、インドや中国に奪われていく。それがフラット化の一つの顔だ。ローエンドの仕事が低コストの中国やインドに移りつつある現在、欧米や日本など先進国は、アウトソーシングされない新ミドルクラスの仕事を創出し、そういった仕事ができるように国民の能力を高めなければならない。その鍵は教育にある。短期的には、個人がさまざまなツールを活用して創造的な仕事をすることで対処するしかないが、長期的には、国や教育機関の主導で科学教育を充実させて、フラット化の時代にふさわしい人材を育成しなければならない・・・」(訳者あとがき) この部分が、この本のエッセンスである。正しいと思う。翻って、日本の今を見つめると、政治は混迷し、国民は備えなく、若者は志のない状態であり、心底「これで、このままでいいのか」と思う。エリート、インテリ、ガリ勉などの言葉が、否定的で胡散臭くダメな表現としてこのまま続くと、勤勉に物事を学ぶことをしない日本人は、世界のフラット化から取り残されていくのではないだろうか。そんな感覚の読後感である。少々長いけど良い本です。(星四つ:★★★★☆)


フラット化する世界(上)増補改訂版

フラット化する世界(下)増補改訂版





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Last updated  2008.05.20 23:04:09
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