misty247

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2005.03.07
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カテゴリ: 古今東西のお語
 今回は、フランスの昔話より「白いツグミとラバと金髪の王女」を紹介します。類似するお話はグリム童話にもあります。タイトルが長いだけあって、内容も盛りだくさんなお話です。圧縮しつつ流れの都合上若干の脚色を加えました。

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 三人の息子を持つ王がいた。長男だけは養子だったが王は分け隔てをしなかった。王冠を譲る時期が近いと判断した王は、三人を呼んで言った。
 「不思議な鳥がいてな、その鳥の歌声を聞いた老人は青年の姿に若返るそうじゃ。白いツグミの姿をしていて、どこか遠い国にいるらしい。お前たちのうちで、この鳥を持ってきた者に王冠を譲ることにする。資金は用意しよう」
 金貨銀貨を渡されて、三人はさっそく鳥を探しに出掛けた。ところが訪れる先々、聞くのは噂ばかりで雲を掴むような話だった。そのうちに、二人の弟は町で愉しみに耽って浪費するだけの毎日を過ごすようになった。ただ、長男だけは根気強く探し歩いた。

 ある日のこと、長男の王子は、通りがかった町で道端に捨て置かれている骸を見た。
 「なぜあのようなことに?」王子は近くの者に尋ねた。
 「あの男が死んで残したのは借金の山。埋葬の金なんかあるもんですか」
 不憫に思った王子は、柩を注文して葬ってやった。埋葬費を持ち、さらに借金も返してやった。

 「その鳥なら知っています。ここからとても遠い国の王の持ち物です」
 道順を教えると狐はこう忠告した。
 「国に着いたら、まず宮殿で働かせてもらいなさい。そして、夜に籠ごとツグミを持ち去るのです。ただし、その時に金の籠ではなく銀の籠を使いなさい」
 王子は歩き続けて遠い国に辿りついた。宮殿で働くと白いツグミの居場所も分かった。ある夜にツグミの持ち出しを決行した。鳥の傍らには見事な金の籠と普通の銀の籠があった。
 「こんなに美しい金の籠があるのに置いていくのはもったいないなぁ」
 金の籠で持ち去ろうとすると、鳥が大声で鳴きだして宮殿が昼になった。王子はたちまちに見つかって王の前に引き出された。
 「わしの白いツグミを盗もうとするとはとんでもない奴じゃ。じゃが、白いツグミを金の籠に入れてお前にあげよう。ただし、一歩で七里行くラバを連れてきたらだ」

 王子はその不思議なラバを探し歩いた。誰に訊いても知らないと返され、風を捕まえるような話だったが王子は諦めなかった。すると、いつかの狐に出会った。
 「おや、王子さま。忠告を聞かなかったのですね。今度はどうされました?」
 王子が事情を話すと狐は答えた。
 「そのラバなら知っています。果てしなく遠い国の王の持ち物です」

 「国に着いたら、まず兵舎で働かせてもらいなさい。そして、夜に馬具を付けて乗り去るのです。ただし、その時に金の馬具ではなく銀の馬具を使いなさい」
 王子は延々と歩き続けた後にその国を見つけた。働くことになった兵舎には一歩で七里行くラバいた。ある夜にラバとの脱走を決行した。ラバの小屋には眩い金の馬具とくすんだ銀の馬具が置いてあった。
 「こんなに美しい金の馬具あるのに置いていくのはもったいないなぁ」
 金の馬具で乗り去ろうとすると、ラバが四方駆け巡って舞いだした。王子はたちまちに見つかって王の前に引き出された。
 「わしの一歩で七里行くラバを持ち出すとはけしからん奴じゃ。じゃが、一歩で七里行くラバに金の馬具を付けてお前にあげよう。ただし、金髪の王女を連れてきたらだ」


 「王子さま。どうして忠告を聞かなかったのですか」
 王子はお詫びと後悔と状況を述べた。
 「金髪の王女なら知っています。しかし、今度と云う今度は忠告通りにしないと死んでしまいますよ」
 必ず忠告に従うことを王子に約束させると狐は杖を渡してこう教えた。
 「この杖の指し示す方角へどこまでも行きなさい。いつか海岸に出ます。そこで砂浜に耳をつけて待ちます。金髪の王女の歌声が聞こえたら、杖で三回地面を叩いて呪文を唱えるのです。道が開かれますから、真っ直ぐに行って真っ直ぐに戻ってくるのです。この時に、何が起こっても絶対に迷ってはいけません。ひたすら真っ直ぐに進むのですよ」
 王子はすべて言われる通りにした。海岸で王子は待ち続けた。満月を浮かべた満ち潮が王子の耳を濡らそうかというその時、潮騒に混じって女の歌声が聞こえた。急いで杖で地面を三度叩き、呪文を唱えた。「杖よ、道を開け、我を導け」
 地鳴りが響き渡り海面を閃光が走った。突然海が二つに割れて道が現れた。王子が道を辿って海の底まで来ると、七匹の眠る悪魔に囲まれた金髪の王女がいた。悪魔に食われてしまうだけだから来ないでと王女は叫んだが、王子は躊躇わず突き進んだ。王女を抱きかかえると踵を返して一直線に地上を目指した。悪魔が眠りから覚めて追ってきたが、王子たちは際どく砂浜に逃れ出た。その瞬間、海は閉じ悪魔は波に飲み込まれた。
 帰路では狐が待ち構えていた。
 「やりましたね、王子さま。これで白いツグミが手に入ります。でも浮かぬ顔でどうなされたのです?」
 王子は、もう王女と別れることができそうにないと打ち明けた。王女は王子の手を取って泣いた。王子はますます途方に暮れた。
 「しようがないですね。ではこうしてください」狐は策を授けた。

 一歩で七里行くラバの王の城で、王女とラバを交換すると王子はお願いをした。
 「最後に王女にお別れの挨拶をさせてください」
 王子はラバにまたがったまま王女の側に寄ると、王女を抱えあげてキスをした。その瞬間、ラバが七色の光をまき散らして誰も何も見えなくなった。キスが終わったとき、城から四十九里離れたところに、二人はラバといた。
 しばらく行くと狐が待っていたので、王子は礼を言った。
 「いや、まだ安心できません。白いツグミの王も、王女との交換を条件にするでしょう。こうしてください」狐は策を授けた。

 白いツグミの王の城に王子は到着した。王は王女を見ると、ツグミは王女と交換だと条件を変えた。
 「白いツグミさえ戴ければラバに王女を乗せて差し上げます。そのかわり最後に王女にお別れの挨拶をさせてください」
 王は大喜びで交換をすませて、王子のお願いも聞いてやった。
 ラバに乗った王女は、鳥篭を携えて挨拶に寄ってきた王子を胸元に抱き寄せるとキスをした。その瞬間、七色の光にすべてが包まれて、二人が気付いたとき城は遥か彼方だった。
 しばらく行くと狐が待っていた。
 「やりましたね、王子さま。もうあとは戻るだけですが一つだけ忠告があります。よいですか、帰り着くまで決してラバから降りてはいけません」

 王子は道中で二人の弟に出会った。弟たちは資金を使い果たして帰ることもできず、すっかり落ちぶれていた。王子は弟たちに必要なお金を与えると連れ立って故郷を目指した。
 弟たちは最初は感謝したものの、金の鳥篭に入った白いツグミと歌声を交し合う金髪の美しい王女と金の馬具を付けたラバに乗る兄をひどく妬んだ。弟たちは組んで兄を陥れることにした。井戸のそばで病気を装って倒れこむと兄に水汲みを頼んだ。兄がラバから降りて大急ぎで水を汲んでいると、弟たちは後ろから兄を井戸の中へ突き落とした。
 兄が気を失い再び取り戻してを七回繰り返し、満月が井戸の真上にさしかかった夜、狐が井戸を覗き込んだ。
 「おや、王子さま。そこでなにをしているのですか。忠告を聞かずに」
 狐は尾っぽをスルスルと伸ばして、王子を引っ張り上げてやった。
 「王子さま。今回が本当に最後のお別れです。わたしは道端に転がっていた骸の者です。あなたが埋葬してくださって、借金を返してくださった……。あとは王子さま、城に戻ればうまくいきます。もう二度とお目にかかることはないでしょう。どうぞご達者で」

 兄が城に戻ると王はひどく老け込んでいた。理由をきくと、弟たちが持ち帰ってきた一声も鳴かないツグミと暴れまわるラバといつまでも目を覚まさない王女が悩みの種になっていた。兄の掛け声にラバはたちまちおとなしくなり、王女は目を覚まして歌いだし、ツグミは囀りだした。
 白髪が灰色に戻ったのを見て、王はたいへん喜ぶと盛大な夕食会を開いた。そして旅の様子を息子に尋ねたが、誰もはっきりと答えなかった。変に思った王が王女に聞くと、王女はすべてをありのままに話した。
 「お前たちは、兄を騙し、このわしも騙そうとしたのか」
 王は弟二人をただちに追い出し、そのまま国外へ追い出した。そして兄の王子に王冠を譲り、王女といっしょになって国を守ってくれと言った。
 王子と王女は子宝にも恵まれ、国は末永く栄えたという。 <終>

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 ラバも王女もどちらも渡せるかと欲張るのは普通は王の方で、王子は罠にはめられて牢屋の中ってのがよくある筋書きなのに逆なんですね。なんという大胆不敵、それに終始欲深い王子。
 欲張りといえば、このお話自体が欲張りです。不老不死に三兄弟に三度目の正直に恩返しに海が割れての悪魔退治に王女との恋まで。もうチャンコのてんこ盛り状態。
 「化け物のお話をしてあげようか」と言ってこのお話を聞かせる。
 「悪魔がチョロっと出るだけで、どこが化け物のお話なの?」と相手が聞く。
 「だから、この話自体が化け物なんだよ。そこらの話を手当たり次第に飲み込んで、こんな何でもありの話になったんだ」……というのは多分ウケないでしょう。-_-;





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Last updated  2005.03.08 02:28:45
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