misty247

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2006.04.30
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 夕暮れが迫りあたりりは薄暗くなりかけていた。湿りは谷間を重く満たし、苔はくすんで陰との境界を曖昧にした。渓流は小さな滝を無数に連ねて右に左にと動き回り、沢渡りの度に靴の生地に清水を忍び込ませて少しずつ靴下を脅かした。
 水の中を覗くと小指ほどの魚が一斉に折れ線を描くように泳ぎぬけていく。空を飛ぶよりも陸を走るよりもはるかに抵抗の多い流れの中にいて、ああも自在に素早く動けるのは考えてみれば不思議なことだ。
 夏はさぞ爽快なことだろう。水遊びできそうな箇所がいくつもある。カセットコンロとフライパンを持ってきて、バーベキューを楽しむのもいいかもしれない。大層に道具を揃えなくてもその2つと具があれば十分なのだ。
 大又への下りは、夏が似合う素晴らしい渓流沿いの道だった。

 足元が不安になりかけた頃に、ようやく舗装された林道まで出た。入日に追われると道のりが長く感じられるが、実際ここは距離も相当にあった。長時間岩場を飛び歩くと、普段使わない筋肉を酷使するので足が一気に疲れる。膝はもうガクガクで、足を引きずるように歩いた。
 林道の脇に大小の滝が落ちる。滝の連なるこの地を「七滝八壷」というそうだ。傍の看板に書かれていた。

 「この渓流の水源は台高主稜、伊勢辻山の山懐に発し、途次、各森林内に湧き出づる、いくたの真清水の涓流を併せ、此処に到り、懸崖を一挙に落下し、連瀑を形成、古より名付けて、七滝八壷と謂う。」

 「涓」はケンと読み「水がぽとぽと落ちる音」の意味。観光案内の看板にしては難しい文章で書かれてある。

 「谿水は、これみな山のもつ、哀歓の泪のしずくである。山は黙して語らず、されど今云々……この悠久の姿を求めて訪れ来る清遊の士に、いくばくかの思い出を、残すことあらば望外の幸せである。」


 見上げると薊岳の稜線が悠然と夕闇の中に引かれていた。薊岳はスケール感があって素晴らしい山だった。

薊岳_キワダサコ谷
△ 弾ける水音が絶えず聞かれるキワダサコ谷を下る





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Last updated  2006.05.07 00:53:29
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