misty247

misty247

2011.06.06
XML
テーマ: 読書(10273)
カテゴリ: 点字・点訳
「あなたは、ドアがパタンと閉まると音のする方に頭を向けた。だから、全く普通だと思っていたの。まさか、床の振動や空気の移動を感じて振り向いていたなんて、思いもしなかった」
 小児科医の誤診もあり、9か月になるまで両親は、赤ちゃんが重度の聴覚障がいであることに気付かなかった。
 赤ちゃんは叫んだ。自分に聞こえない声を、懸命に両親に届けようとして。「キーキー」とカメモのように。それで、両親は、赤ちゃんに”かもめ”とあだなをつけた。

 『かもめの叫び』は、生まれつき耳が聞こえなかった人の自伝である。著者は、1971年にパリで生まれた女性。人と言葉と表現と生活について、いろいろと考えさせられた本である。これから数回にわけて、内容を紹介しようと思う。
0才から7才まで、私の人生は穴だらけだった。目に見えたものの記憶しかない。年代のわからない映像を集めたフラッシュバック。この時期は、将来も過去もすべて同じ時空間の上にあった。ママが「昨日なんとかで……と言っても、私には昨日がどこなのか、昨日とはなんのことなのか、わからない。
 今では、聴覚障がい者の言語は手話というのが通念である。手話通訳のつくTV放送や講演会もある。手話は社会に浸透しているように思われるが、こうなったのはごく最近のことらしい。
 フランスでは、1991年まで手話による教育が禁止されていた。
 養護学校では、聴覚障がい者に口頭語が教えられていた。口の形から言葉を読み取り、聞こえずとも発音できるようにトレーニングを重ねるのである。手話は下品で粗野な言葉であり、また母語を学ぶのに邪魔になるとされていた。
ごく小さいうちから手話を習い始めたり、同じ障害の両親を持つ子供たちの場合は、ちょっと状況が違う。彼らのめざましい進歩の様子に、私は呆然としたものだ。7才になるまで手話を知らなかった私は、明らかに遅れていた。まるで、野性児かなにかのようだった。
<つづく>





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.06.07 00:00:08コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: