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神坂俊一郎

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Nov 7, 2024
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テーマ: 超能力(45)
カテゴリ: カテゴリ未分類




美奈子、夫俊一郎が、妙なお祓いをすることと前世の関係を確かめることにしました。
「あなた、陰陽道流のお祓いをするけど、あれも前世記憶由来なのよね。」
俊一郎、軽くうなずきました。
「そうだな。ただ、陰陽道風だが、必ずしも、陰陽師の前世記憶とは、関連しない。」
「そうね、バイオリンと違って、前世人格は登場しないわよね。」
前世人格の奇行を聞かされた後ですから、美奈子は、確かめました。
「ああ、もう一応この人格に固定された後だったからか、お祓い、除霊に関しては、前世記憶由来ではありそうだが、現人格による意識的なものだ。」
しかし、前世記憶が関係していて、かつ、自分でコントロールできるのですから、漫画のように都合のよい話です。

俊一郎自身は、余り役立っているという自覚はありません。
「うーん。でも、お祓いや除霊って、日常的に起こることじゃないだろ。」
言われてみると、そのとおりです。
「確かにそうだけど、異能よね。超能力っていうか。」
俊一郎、少し首を傾げました。
「だから、日常的じゃないし、たまたま、霊能力と関係して引きずり出した前世記憶というのが真相だ。」
「でも、それって、その必要が生じたんでしょ。」
普通に考えればそうなるはずなのですが、俊一郎、うーんとうなりました。
「僕自身の場合、必ずしも必要だったわけではないんだよ。」
美奈子、その意味はわかりました。
「そうよね。あなたって、めっちゃくちゃ強いもんね。」

「だから、他人に憑いた霊とか、地縛霊を供養してあげようと言う時には役立つけど、そんなことは滅多にないし、僕自身は、はねつけるだけで事足りる。」
言われてみれば、一番霊感がある長男博は、父の背後には強力な守護神がついていて、守護霊と違って、光しか見えないと話してくれたことがありました。
「そうか。あなたには、守護神さまと、イージスがあるもんね。じゃあ、何故お祓いや除霊することになったの。」
面倒なことを嫌う、彼らしくありません。
「霊から頼まれたからだな。」

「摩耶美紀子さんの時、みたいなものだったの。」
「いや、最初は、勝尾寺のお墓で般若心経唱えていたら、わさわさといっぱい霊が寄って来たから、もっと他の、少し強力な供養方法はないかいなと思っていたら、前世でこんなことやったなと思い出した。」
彼の供養法、陰陽道よりも密教系で、現世では、阿含宗の霊供養法に一番近いとのことでした。
「それで、何やらよくわからないことやってみたわけ。」
「そう。霊たちのリクエストにお応えして、やってみました。」
そうそう、以前聞いたこともありましたが、彼の供養法には、マイナーな観音様が出て来たのです。
「聞いたことも無い観音様が出て来たわね。」
「そう。準提観音さまって、前世記憶を元に唱えた呪文のような真言を調べて、初めて知った。」
知らなかったはずなのに、その真言を唱えたとは、不思議なことです。
「知らないはずだから、そうなると、前世記憶よね。」
「そうとしか、言いようがない。オン、シヤレイ、シユレイ、ジユンテイ、ソワカって、前世記憶らしきものを元に唱えたから、これって何の呪文かいなと思って調べて、ようやく準提観音さまの真言と判明した。」
「それって、陰陽道と関係あったの。」
夫俊一郎の前世の一つは、かなり有名な陰陽師だったらしいので、そうなのかなと思って聞いて見ました。
「正直言うと、わからない。ただ、陰陽道と密教って、実際は密接に関連していたのだろうと、僕は思っている。」
準提観音さまって、正直言って聞いたこともありませんでしたから、マイナーです。だから、その信仰を探れば陰陽道との関連もわかるのではないかと美奈子は思いました。
「準提観音さまの信仰を調べてみれば、その辺の何らかの関連性がわかるのでは。」
俊一郎の答えは、意外なものでした。
「そちらを探っていくと、浮かび上がって来たのは、何と、弘法大師空海さまだった。」
「えっ、えらい大物じゃないの。」
美奈子、そんな大物につながるとは思っていませんでした。
「空海さま、高野山を開くときに、僧房の次に準提堂を建立したほど、準提観音さまを重視していたと伝えられている。」
「陰陽師じゃないんだ。」
「そして、年代を考えてみると面白いのだが、空海は8世紀から9世紀の人物だが、安倍晴明は、ほぼ10世紀の人物で、100年の開きがある。」
美奈子、安倍晴明と弘法大師空海は、元々、全然違うと思っていましたが、1世紀の開きがあることまでは知りませんでした。
「でも、あなたは陰陽道は密教系だと言ったわよね。」
「前世記憶の感覚から、仏教系で、密教から派生したものだろうと思っている。」
彼の感覚は、直感に基づくものと、サヴァンの超越的分析能力によるものと二通りあるのです。
「それって、直感の方なの、それとも、サヴァン分析によるものなの。」
俊一郎、うーんとうなった後、しばらく沈黙しました。
「直感プラス幻視だな。仏教的なものが大きいと思うが、準提観音さまについては、ヒンドゥー教の女神チャンディーから来ているという説もあり、チャンディーは、ドゥルガーだという説もあるから、そうだとすると、かなり怖い女神様だな。」
美奈子、チャンディーもドゥルガーも知りません。
「一体どんな女神様よ。」
「ヒンドゥー教の神様って、全て二面性があるものなのだが、神話自体が、デーヴァ神族とアスラ神族の戦いが描かれている。」
何だか、漫画のピグマリオを思い出す話です。
「アスラって、阿修羅よね。」
「まあ、そうかな。」
「阿修羅っていうと、どうも魔族の印象があるわ。」
「天界をめぐるデーヴァ神族とアスラ神族の戦いで、天界を追われたデーヴァ神族が、天界でもメジャーな大神であるシヴァとビシュヌに助けを求め、それに応じた神々からの光が集まって狂暴な戦いの女神チャンディーとなり、アスラ神族と戦ったとされているらしい。」
「じゃあ、滅茶苦茶怖い女神様なんだ。」
「それが、そうとも言えないのがインドの女神様で、チャンディーは、ドゥルガー女神と同じだと言われているが、ドゥルガー女神は、シヴァの妃であり、美の女神パールヴァティーでもあるとされているから、ややこしい。」
美の女神と同一というのが、美奈子は信じられませんでした。
「何やら、めちゃくちゃじゃないの。」
「二面性で、それがさらに複雑になっていて、ドゥルガーが怒ると、更に変化して、殺戮の女神カーリーになるともされていて、チャンディーは、結局アスラ神族を滅ぼしたとされているから、恐ろしい女神さまなんだよ。」
美奈子、準提観音さまがそんな恐ろしい観音様だったら、弘法大師空海はいったい何を考えて信仰の対象にしたのか、疑問でした。
「何故空海さまは、そんな恐ろしい観音様を信仰したのかしら。」
「だから、それは一面で、準提観音さまは、準提仏母とも言われていて、信仰すれば、たとえ妻子を持っていても、あらゆる仏法密法を成就できるという、大変都合の良い仏様なんだな。」
美奈子、それを聞いて思わず笑ってしまいました。
「いやあ、そんな観音様だったら、空海さまでも信仰したくなるわね。」
「美の女神パールヴァティーさまはともかく、ドゥルガー女神と同一とは思えない女神だよ。」
それなら、何となく夫が供養に使うのもわかりました。いや、彼の陰陽道的供養法が、元々は密教から来ているのだとしたら、空海さまの教えなのかもしれません。
「あなたの供養法って、元は、空海さまの教えなのかしら。」
「百年の時差があるが、陰陽道が準提観音さまを取り入れて、変わっていったものだったかもしれない。」
そう言えば、夫と、霊能者の女性が、陰陽道の修行に関して、秘伝書の記載はあてにならない、元々の才能と霊能力の問題だと説で、意見が一致したことを思い出しました。
「あなた、霊能力は素質がほとんどだと言ったわよね。」
「そう思う。持って生まれた霊能力と共に、僕みたいに、前世記憶からその能力を利用する方法を知ることができることも、大きなアドバンテージかな。」
「修行すればできる、というものでもないというわけね。」
「何事も同じだが、元々の素質がない人は、何しても無駄だ。」
「あなた、そんなこと言ったら、人々から石投げられるわよ。」
俊一郎、笑って首を振りました。
「他人には言わないよ。ただ、大学の同級生に、どうすれば運がよくなるだろうか、と聞かれて、根本的な考えを改められなかったら、転生してやり直さなければどうにもならないことがある、と答えたことはあったな。」
美奈子は、思わず笑って答えました。
「まあ、何と冷たい。」
「真実とは、そんなものだ。」
「成功の秘訣みたいなものは、ないの。」
「まず、何を以って成功と言うのか、が問題だな。単純な成功哲学的議論なら、それなりの考え方が通用できるが、僕の幸福論とは相容れないだろう。」
確かに、夫は自らの能力を敢えて使おうとせず、金儲けも出世もしようとしませんでした。
まあ、私としても、余計な人付き合いせずに、家族と安穏と過ごせましたから、彼の幸福論に賛成です。
「世間一般の理論からすれば、あなたが、恵まれた能力を活用しようとしなかった立ち回り方は、もったいないとしか言いようがないけど、リタイヤした今の生活を考えれば、これは確かに幸福よね。絶対、悪くはないわ。」
「そう。誰かに言われたが、禅の名文句、「足るを知る。」だ。知れば、心の平穏を得ることができる。」
美奈子は、その割り切りも、彼のサヴァンの超越的思考能力があるからこそできることだと思いました。
「世の中、それがわかるほど賢い人は少ないの。」
「それが、愚かというものだ。」
愚かの一言とは、究極の冷たさです。
「だから、みんな、あなたほど賢くはないの。」
「下手な考え休むに似たりというが、自分がいいと思う生活をしている人の考えを真似ればよい。」
そのとおりなのですが、世の中の多くの人は、他人を真似ることにも抵抗を感じることを、彼は理解しません。
「だから、あなたほど賢くはないの。素直に真似ることすら、大多数の人には難しいの。」
「それが、愚かというものだ。」
美奈子、笑うしかありませんでした。
「そうね。」
「美奈子は、僕の考えに従った。それは、賢明だ。」
そのとおりでしょう。
「あなたは、私の理想だった。自分よりも、頭がいい、酒に飲まれない、無駄遣いもしない、おまけとして、外見も悪くないし、運動能力まで持っていたんですもの。感情が無いとは思わなかったけど、それにさえ目をつぶりゃ、理想の夫よ。」
俊一郎にとっても、家事、育児に優れ、頭もよく、気が良く付く美奈子は、理想の妻でした。
「僕にとっても、美奈子は理想の妻だ。ちゃんと、運命の神様が、幻視で示してくれた。」
信じられないけど、そうでもなければ、俊一郎のような好条件の男が、一目で私を選んでくれるはずはないのです。
「そうよね。普通、あなたぐらいのエリートなら、私みたいなど田舎の高卒で、容姿もとりたててよいわけではない女子を選ぶはずないものね。」
俊一郎、笑いながら否定しました。
「何度も言ったが、そんなことが大したアドバンテージになるものではない。美奈子は、磨けば光る玉だと思ったし、何よりも、ネガティブな心がほとんどなかったことが、最高の美点だった。その点、佐々木さんが、美奈子を見て、べた褒めしたのがよくわかる。」
確かに、美奈子は、山菱組ヤクザで不動産会社社長の佐々木氏にべた褒めされ、高卒の彼女を、迷わず選んだ俊一郎は偉いと、俊一郎のことも褒めたのです。
「今になって思うんだけど、佐々木さん、私みたいな妻が欲しかったんじゃないかしら。」
俊一郎、珍しく悲しそうな笑顔をしました。
「そのとおりだろうな。美奈子みたいな奥さんをもらっていれば、破滅しなかっただろう。」
佐々木氏、その奥さんが俊一郎の母高子との仲を邪推して騒いだために神坂家と疎遠になった後、アル中親父になってしまい、会社が傾いた末、自分が経営していたナイトクラブのホステスと心中したことになっていました。
「そうよね。でも、変な死に方だったわね。家族は大事にしていた人だったから、信じられなかった。」
「実は、僕は、あの奥さんだと、佐々木氏が破滅するから、一度説教させてくれと彼に申し入れたことがあった。」
これこそ、他人の家庭には立ち入らない俊一郎にしては、異例中の異例の申し出だったのです。
「後の祭りよね。あなたが、他人の家庭に立ち入ろうとしたこと、それ自体が、悲劇の予言だったのにね。」
「所詮、そんな運命だったと諦めるしかない。「俺も男や。自分のかあちゃんの落とし前は、自分でつける。」って強がっていたが、運命は変えられなかった。」
喜怒哀楽に乏しく、自分のことには何が起こっても全く表情を変えない俊一郎が、悲しげな顔をしたのが、美奈子には驚きでした。
「まあ、私としては、今のあなたの顔を見ることができただけで、幸せだわ。」
俊一郎には、美奈子の言葉が全くわかりませんでした。
「なんやそれは。」
「うふふ、あなたの喜怒哀楽の表情って、他人が絡まないと見ることができませんからね。ええもん見せてもろうたわ。」
「はあ。」
それでも俊一郎は理解していないようでした。
「あなたの悲しそうな顔って、超レアなのよ。それが見られたから、今日はラッキー。」
「理解できない。」
本人は、理解していないようでしたが、美奈子は満足でした。
「そう言えば、佐々木氏って、本当は殺されたの。」
確か、心中したと聞いた時、俊一郎は不可解だという顔で、それらしいことを匂わせたのです。
「ああ、そう考えた方が、いろいろ納得できる。」
「何故。それよりも、私は、佐々木さんが、女と心中したってことの方がどうしても信じられない。」
確かに佐々木氏、およそ浮気などしそうにない人物でもあったのです。
「あれ、伏線が四つあった。」
「四つも。」
「そう。一つは、面倒見ていた母を、奥さんが親戚一同を扇動して追い出したこと。」
自分の息子の面倒もろくに見なかった高子でしたが、何故か一回り年下の佐々木氏の面倒はうまく見たのです。
「二つ目は。」
「母を追い出した結果、面倒見てくれる人が居なくなって、アル中になって、会社が傾いた。」
「三つ目は。」
「旦那の面倒も見られない奥さんが、子供から目を離した結果、佐々木氏が一番可愛がっていた長男を交通事故で亡くした。」
これは、美奈子は初耳でしたから、驚きました。
「えーっ、そんなことがあったの。」
尚更、夫の予言を信じなかったから、そうなってしまったんだと思った美奈子でした。
「そして四つ目は、恐らく佐々木氏自身は知らなかったのだろうが、彼が経営していたナイトクラブで、ヤクの取引があったらしいこと。」
およそ、夫が知っているはずのないことです。
「何故、知ってるの。」
「今は離れているが、40年前までは僕のシマだったから、このところ毎年のように開催されている小中学校の同窓会で、いろいろ情報は得られたんだ。」
「その結果が、心中につながったというわけ。」
すると、俊一郎が今度は不気味な笑顔を見せましたから、美奈子は背筋が寒くなりました。
「あーっ、今のはだめ。その顔は見たくない。」
俊一郎のあの笑顔は、不吉なことの象徴だったのです。
「今のでわかったかな。」
美奈子、夫や佐々木氏には褒められたものの、夫ほどではない普通の頭で、必死に考えて、ある結論に達しました。
「心中したホステスが、ヤクの密売やっていたのね。」
「そうだろう。それなら、彼女がタマ取られた理由になる。」
穏やかならぬ言葉です。
「そんなことで、殺されるの。」
「まともな組だと、ヤクはご法度だ。サツにつかまって騒ぎになるまえに粛清されることもある。」
つまり、ホステスは、粛清されたことになります。
「じゃあ、心中ではなくって、二人とも殺されたってことなのね。」
「恐らく、佐々木氏は、会社が組関係の会社に迷惑をかけたことにプラスして、何らかの大きな失敗の落とし前、ホステスの女性は、ヤク密売の落とし前で、心中を装ってタマとられたのだろう。それが、一番納得のいく答えだ。」
俊一郎はそう言いますが、恐ろしい話です。
「そんな、それで殺されるって、ひどくない。」
美奈子は抗議しましたが、俊一郎はさらっと流しました。
「同時期に、山菱の組長が二人、暗殺されている。それにくらべれば、まだましだろう。」
もう、夫の不気味な笑顔は見たくありませんから、美奈子は話を打ち切りました。
「やめましょ。さあ、気分転換に、どこかにご飯食べに行きましょう。」
今度はにっこり笑って、俊一郎は立ち上がると、美奈子の手を取りました。
この笑顔は歓迎だが、本当に、無駄に紳士なんだからと思いつつ、美奈子は、夫の手を取って立ち上がった後、腕を組みました。





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Last updated  Nov 7, 2024 11:06:13 PM
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神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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