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それは、誰もいっしょに語り合う人とていないとても孤独な日のことでした。
いつものように朝一人で散歩に出掛けました。
多分、いつもよりかは遅い時間になっていたと思います。
とても良いお天気で、自分の他に誰も歩いている人の姿はありませんでした。
青とも緑とも区別のつかない複雑な色をした水をいっぱい湛えた池が一面に見渡せる広い場所までやって来た時、私の足はいつものように自然に立ち止まりました。
風が吹く度に池の表面には細波が立って、きらきらと輝き、それはそれは得も言われず美しく神秘的な眺めなので、私はいつも時間の立つのも忘れて、つい、じっと見惚れてしまうのでした。
その場所から毎朝私はパンの残りをちぎって細かくした物を持って来ているのを、お魚達に投げ与えて食べさせてあげるのがとても楽しみになっていました。
お魚達は毎朝同じ時間になったら食べ物を貰えるのを如何にも心待ちにしているかのように沢山集まって来ていました。
大きいお魚、小さなお魚、灰色のとか黒いのとか、赤い色のとか目の前にいっぱい泳いでいる光景を見るのもまた、とても楽しみでした。
けれども、いつの間にか私の他にもお魚達に餌を与える人が二人、三人と増えて来たので、私はいつの間にかお魚に餌をあげないようになっていました。
その日、お魚達の姿はまったくありませんでした。
多分、いつもの時間よりか遅かったし、すでに誰かに餌を貰っていてお腹もいっぱいになっていたからだと思います。
それにしても、お魚達はいったいどこにいるのでしょうか?
影すらも見えず、池は相変わらず時々風の吹く度に白く細波が立つばかりで、しぃんと静まり返っています。
この数日間、殊の外淋しい思いをしていた私だったからでしょうか。
今はまた、自分がお魚達にまで見捨てられてしまったんだと言うようないっそう淋しい孤独な気持ちになりました。
「ねぇ!お魚さん達!いったいどこにいるの?私、今日は友達がまったく無くて淋しいのよ!私の傍にすぐに来て欲しいんだけど・・お願いだから傍に来て!お願いだから傍に来て!」
無駄だとは判っていても、心の中で精一杯叫びました。
けれども、相変わらず池は静まり返っていました。
私はもう一度心の中で叫びました。
「ねぇ!早く来て!お魚さん達!お願いだから早く来て!」
すると、どうでしょう!
ずっと向こうの方の池の表面に白い泡のような物が現れたかと思うと、それがこちらに向かってどんどんと進んで来るではありませんか!
白い泡は帯状になって、みるみるこちらに向かって進んで来るのです。
「まぁ!来てくれたのね!お魚さん達!嬉しいわ!有難う!有難う!」
今までに見たこともない程の夥しい数のお魚達が大きいのも小さいのも、ピチピチと元気よく跳ね上がりながら私を見上げていました。
これは私が本当に経験した不思議なお話です。
ー終わりー
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↑キリ画はHP≪Azusa≫より