月のひかり★の部屋

月のひかり★の部屋

2006年11月15日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類


huyunoasagao.JPG



夕餉の用意をしようとして、買い忘れている物があることに気付き、駅前のスーパーまで行こうとして、その時私は広場を歩いていた。

(おや、向こうから携帯電話で話しながら歩いて来るのは・・・確か敏子さんじゃないの?)

背が高くて、相変わらずほっそりとした敏子さん・・・

塾で一緒に勉強をしたのはもう、かれこれ10年ばかり前のこと・・・

高2、高3と、2年間ぐらい国語を個別担当の私と一緒に勉強した。

無口でおとなし過ぎるほど静かで、接する者が何となく可哀想になってしまうような人・・・

痩せ過ぎに見えるぐらい体が細くって、手の指も折れそうなほど細く長く、女っぽさの全く無い人、、、もしかすると、そのことを自分で拒否しているのかもしれなかったが・・・

そんな敏子さんが何か物を言うと、まるで公園の落ち葉が風に吹かれて舞い散る時に微かな音を立てるが、ちょうどあんな風な感じの声だった。

ちょっと、息が漏れるような、細い笛でも鳴るような話し方をした。

そんな敏子さんと、勉強の合間にお喋りしたのはほんの僅かで、いったいどんなことを話題にしたのか、今となっては不思議な気がするほどである・・・

高校を卒業後はどこかの女子大に入ったが、途中アメリカに留学をしたこともあった。

実は、敏子さんって、誰でも認めるような裕福なお家のお嬢様だから・・・

そんなおとなしい敏子さんが、よく何ヶ月も一人でアメリカなんかに行く気になったものだわ・・・と、感心していたのだったが・・・

あの頃、私のところにアメリカから、よく葉書きが届いた。

「今はアメリカ人の友達も出来ました。」とか、「よく判らないことを誰それさんが教えてくれました。」とかいう他愛もない内容であったが・・・

私も小まめに返事を書いて、最後には必ず「神様の祝福が豊かにありますように・・・」と、付け加えては郵便局から、度々航空便で送ったものだった。

あれから、もう10年ほどの歳月が流れたが、その後、音信は殆んど途絶えていた。

敏子さんもクリスチャンになったとか・・・

そんな敏子さんとは、ちょうど、一月ばかり前に偶然、道を歩いている時に出逢ったばかりだった。

犬の大好きな敏子さんは、今は犬の訓練師になりたくて勉強中だとか・・・

少し前まで、またアメリカに行って勉強していたが、1月になったら、再びあちらに行くと行っていた。

「では、ちょうどサモエド犬を飼ったので、そちらから見に来てくれるか、それとも見せに行きますから・・・」と、あの時、約束して別れたのだったが・・・・

あぁ、それなのに、今、私のすぐ、傍まで歩いて来たというのに・・・敏子さんは、全く私の存在なんかには気付いていない様子で相変わらず電話を耳にあてたまま・・・

keitaidennwa2.jpg



いや、もしかすると、気付いているのかもしれないけれど、きっと、私などに構っているような余裕が無いほど電話の相手が敏子さんにとって、大切な人であるに違いないんだわ・・・もし、そうなら素敵なことね!

だから、私も敏子さんと、その儘、黙って気付かない振りをして、擦れ違って、スーパーの中に入って行ったのだった。

近い中に、ジローを連れて、敏子さんを尋ねて見ようと思っている。
だって、、、あの時に、そんな風に約束をしたのだから・・・

            ー終わりー
























お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年11月16日 06時43分38秒
コメント(5) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: