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高2、高3と、2年間ぐらい国語を個別担当の私と一緒に勉強した。
無口でおとなし過ぎるほど静かで、接する者が何となく可哀想になってしまうような人・・・
痩せ過ぎに見えるぐらい体が細くって、手の指も折れそうなほど細く長く、女っぽさの全く無い人、、、もしかすると、そのことを自分で拒否しているのかもしれなかったが・・・
そんな敏子さんが何か物を言うと、まるで公園の落ち葉が風に吹かれて舞い散る時に微かな音を立てるが、ちょうどあんな風な感じの声だった。
ちょっと、息が漏れるような、細い笛でも鳴るような話し方をした。
そんな敏子さんと、勉強の合間にお喋りしたのはほんの僅かで、いったいどんなことを話題にしたのか、今となっては不思議な気がするほどである・・・
高校を卒業後はどこかの女子大に入ったが、途中アメリカに留学をしたこともあった。
実は、敏子さんって、誰でも認めるような裕福なお家のお嬢様だから・・・
そんなおとなしい敏子さんが、よく何ヶ月も一人でアメリカなんかに行く気になったものだわ・・・と、感心していたのだったが・・・
あの頃、私のところにアメリカから、よく葉書きが届いた。
「今はアメリカ人の友達も出来ました。」とか、「よく判らないことを誰それさんが教えてくれました。」とかいう他愛もない内容であったが・・・
私も小まめに返事を書いて、最後には必ず「神様の祝福が豊かにありますように・・・」と、付け加えては郵便局から、度々航空便で送ったものだった。
あれから、もう10年ほどの歳月が流れたが、その後、音信は殆んど途絶えていた。
敏子さんもクリスチャンになったとか・・・
そんな敏子さんとは、ちょうど、一月ばかり前に偶然、道を歩いている時に出逢ったばかりだった。
犬の大好きな敏子さんは、今は犬の訓練師になりたくて勉強中だとか・・・
少し前まで、またアメリカに行って勉強していたが、1月になったら、再びあちらに行くと行っていた。
「では、ちょうどサモエド犬を飼ったので、そちらから見に来てくれるか、それとも見せに行きますから・・・」と、あの時、約束して別れたのだったが・・・・
あぁ、それなのに、今、私のすぐ、傍まで歩いて来たというのに・・・敏子さんは、全く私の存在なんかには気付いていない様子で相変わらず電話を耳にあてたまま・・・
