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新潟の街の中を私を乗せて、車はどんどんと走って行った。
人影が殆んど無いのが不思議な気がするが、朝が早い所為だったからかも・・・
車は道路を何度も曲がって、いったい何処まで行ったのだったか見当もつかない。
(これでは、もし自分一人だけで、靴を買いに出掛けていたとしたら、靴屋さんを見つけることだけでも到底不可能だった。やっぱり、この人に出逢ったことは幸運だったんだわ・・・)と、その時、思った。
「さぁ、ここですよ!このお店ですから、どうぞ中に入って靴を買って下さい。」
「ありがとうございます!」
私が車から降りてお店の中に入って行くと、何と、男の人も後ろから付いて来てくれていた。
靴屋さんというよりも小さなスーパーと言った感じのお店で、靴以外の日用品も沢山並んでいる。
「運動靴は此処にありますよ!」
店の中をうろうろと探し廻っている私に向かって男の人が叫んでいる。
「あぁ、そうですか!そこにありますか!」
急いで、そちらに歩いて行く私・・・
店内には、私達の他には誰もいない。
「あまり数はありませんが、この中から好きなのを選べば良いですね。」
「そうですね・・・どれにしようかな・・・」
まるで恋人のような二人・・・
30分ほど前に出逢ったばかりだというのに・・・
(出逢いとは何て不思議なものかしら・・)と、その時、私はしみじみと思った。
「これにしようかな・・・」
平凡そうな一足の靴を指し示す私・・・

「そうですね・・・それが良いようですね・・・じゃぁ、一度履いて見たらどうですか。」
「はい、そうしますね。」
薄いピンク色の線の入った白い運動靴を履いてみると、ちょうど自分の足にぴったりと合ったので、それを買うことにした。
(ちょっと、シンデレラ姫に似ているわね・・・あの時のは運動靴ではなくて、確か、ガラスの靴だったけれど・・・)
「レジはあちらにありますよ!」
「はい、判りました。」
そういう次第で、運動靴を無事に買うことが出来たのだった。
(これで、今からホテルの裏の山に登ることが出来る・・・)
車は先ほど来た道をホテルの方に再び戻って行った。

喩え、嘘でも、あの時、そんな風に言って貰えて、私としては、とても嬉しかった。
「そうなんですか・・・でも、私なら大丈夫です・・・気を付けて行って来ますから・・・」
とは言ったものゝ、この儘、その人と別れてしまうのが、何となく名残惜しい気持ちのしないこともない私であった。
「<出逢いとは、永遠の記憶である。>という誰かの言葉がありますが・・・きっと、今日のことはお互いに何時までも忘れられない記憶として心の中に残るのではないでしょうか。」
もしかすると、その男の人も、その時、私と同じような気持ちだったのだろうか・・・
別れ際にそんなことを言った。
<出逢いとは永遠の記憶である。>
(何て、素晴らしい言葉なのだろう・・・)と、思いながら、あの時、車から降りた私であった。
ー続くー
↑の写真は何れもインターネットで検索してお借りしました。
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