PR

竜太くんは相変わらず黙ったまゝ、漫画を描くことに熱中している。
私は先ほどからヒロキさんに借りている本の続きを再び読み始めていたが、もう本の半分ぐらいの所まで読んでしまっていた。
本の種類は小説であるが、ずい分面白い内容なので、思わず読む速度も上がる。
これならすぐに読み終わってしまうかもしれない。
今はこれくらいで読むのを止めて、後の楽しみの為に残しておくことにしよう。そう思ったものだから本を閉じた。
少し疲れたのでそっと目も閉じる。
(私も小説を書いてみたいわ・・・)
こんな風に私が思うのは何も今に始まったことではなく、実は地上にいる時から、もっと厳密に言うと、実は少女時代からそうなのであった。
その中に・・・と、今までずっと長い間、思い続けて過ごして来たが、いよいよ書きたいという気持ちが強くなって来たように思う。
竜太くんが漫画で物語を書き始めた時のように、私ももっと軽い気持ちで小説を書き始めなければならないだろう・・・そうだ!パソコンを開けて、今から早速、ブログに書いてみることにしよう。
きっと私だって書けるに違いないわ・・・上手く書こうなどと思わないで、自分らしい言葉で良いから先ず書き始めてみることにしよう。
パソコンを開けて、インターネットを立ち上げて、自分のブログを開けてみると、先ほど書いた私の報告に対しての返事のコメントが早速届いていた。
(何?何?)
「突然コメントが届き驚きました。夜空を走る電車からのコメント有り難うございます。楽しい音楽のひと時を過ごされて何よりです。
実は今このコメントを書いている私は、あなたがコメントを送られた本人ではありません。私の祖父はもうずっと以前に亡くなってしまって、一人息子も年をとったので、孫の私が祖父の使っていた古いパソコンを譲り受けたという次第です。
多分、今あなたの走っておられる場所と地球とでは時間のズレがかなり大きいのだと思います。どちらにしても、こうしてコメントのやり取りをすることは素晴らしいことであるに違いありません。これからもどうか交信を続けて下さい。お待ち致しています。
こちらは今クリスマスが近付き、世界中がその準備に追われて、毎年のことですが、どこも賑やかなことこの上もありません。夜は街のあちこちでツリーが美しく光り輝いています。
地上からのそのコメントを読んだ私の驚きと言ったら・・・
(まぁ、そんなことってあるの?時間の長さが全く違っているなんて・・・
時間に差のあることを、少しは聞いていたような気がするけど、それが本当のことだったとは・・・まだ、この電車に乗ってから、ほんの数ヶ月しか経っていないと思っているのに・・・)
竜太くんに、すぐこのことを伝えなければいけないと思ったが、今は書くことに熱中しているので、後からゆっくり言うことにしよう。
今となっては、そんなことは、もうどちらでも良いと思えるような気もするし・・・
何しろ、この電車に乗っている以上は、誰でも必ず守られると約束されているのだから・・・深く考えて思い悩んだりする必要は最早何もないのだから・・・
それにしても、地上はもうすぐクリスマスなんだわ・・・
その時、またオルゴールのようなきれいなメロディと共に車内放送が始まった。
「皆さま、ご機嫌は如何ですか?快適な旅を続けておられますでしょうか?
間もなくこの電車は≪賢治の里≫という駅に到着致します。
この駅から見える風景は、この夜空の旅の中では、まさに名所と呼ばれている実に素晴らしい眺めの一つですので、皆さま、どうかしっかりと目を覚まして、ご期待下さいますように・・・
では、これで車内放送を終了します。」
いつもに比べると案外短い放送であった。
今ので、眠っていた人たちが殆んど目を覚ましたみたい・・・
-続くー
http://plaza.rakuten.co.jp/mmmyu/
↑月のひかり☆の部屋トップページへジャンプ!!
↑のキリ画はインターネットで検索してお借りしました。
アリガトウゴザイマス・:*:・(●´Д`●)・:*:・
イラストはすべてホームページに
保存されているものを使用しました。