「NECの方がもっと厳しい」。シャープの経営に関する報道が過熱していた今月中旬、ある大手行の首脳は、こう言い放った。
シャープは、平成25年3月期に2500億円の最終赤字を見込むなど、主力事業の不振で苦境が続く。このため、今期中にグループ従業員約5千人を希望退職の募集などで削減することを決めるなど、厳しいリストラを迫られている。
これに対して、NECは24年3月期まで2期連続で最終赤字を計上。だが、国内外1万人の削減に踏み切り、今期は200億円の利益を確保し、3期ぶりに黒字転換を見込んでいる。業績だけをみれば、NECは最悪期を脱したように見える。それでも、この大手行首脳が、NECがより厳しいと判断しているのは、業績の本格回復に向けて「何の出口もみえない」と映るからだ。日立製作所と設立したエルピーダメモリが経営破綻(はたん)するなど、不採算事業を本体から切り離したNECの経営判断は正しかったともいえる。問題は、グループに残した事業で稼ぐことができず、成長戦略を描けないことにある。
収益力の低下は、24年4~6月期決算でも如実に表れた。携帯電話端末やパソコンなどの「パーソナルソリューション事業」の営業損益が30億円の赤字(前年同期は43億円の黒字)に転落したのだ。
元凶は、携帯電話事業の不振だ。前期はスマートフォン(高機能携帯電話)開発に出遅れ、販売目標を2回も下方修正したが、4~6月期もその流れを引きずり、携帯電話事業だけで40億円もの営業赤字を余儀なくされた。
NECは3年に折り畳み型の携帯電話を初めて発売するなど、かつては27%以上の国内シェアを持つトップ企業だった。だが、昨年のシェアはわずか9%弱と見る影もない。今年5月に米コンバージズの通信会社向けシステム事業を370億円で、7月に豪CSGのIT事業を200億円で相次ぎ買収したのだ。そこから浮かび上がるのは、海外市場を収益確保の場として開拓しようという戦略だ。
海外売上高比率は24年3月期で約16%だが、遠藤信博社長は「早期に25%へ上げたい」と力を込める。
NECはこの10年あまり、業績悪化のたびに不採算事業や非中核事業を矢継ぎ早に切り離し、業績回復を目指してきた。だが、その歩みは国内電機メーカーの凋落(ちょうらく)とも重なり、終わりの見えない縮小均衡を繰り返してきたといえる。
その連鎖から抜け出すには、成長シナリオを描ける事業基盤を確立するほかない。かつての輝きを取り戻すために残された時間は、そう長くはないはずだ。
出典: http://www.sankeibiz.jp/business/news/120826/bsj1208260701000-n1.htm
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