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2009年08月22日
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 第三章 来訪

     1

「規則は規則。命令違反で禁固刑ね。サリナちゃん」
「……はい」
 メビルスに戻ったはいいものの、サリナは命令違反で、保持はその誘いに乗ってしまった罰で、自室での謹慎を言い渡された。そして九十九は尋問を受けるために隔離されてしまって、どうなったか保持も分からない。
「ごめんなさい。結果的にこんなことになって……」
「あ、べつに……いいんだけど」
 確かに結果としては悪い方向になってしまったし、怖い思いもいくつもした。しかし保持自身はそれらを含めて楽しかったのだ。それを謝られると逆に謝り返したくなってくる。
「じゃ、私こっちだから」

「そう……」
 その後すぐに二人は知ることになる。保持にあてがわれたはずの部屋が倉庫になっていることを……
 それもそこに置かれていたのは、二人を動揺させるには十分なものであった。
「なんでなんですか? 何で棚加君の部屋が倉庫になっていのですかッ!」
『それはね、思いの外補給物資を買い込みすぎて、倉庫じゃ入らないからよ』
「それはそうと、なんで下着類の備品を棚加君の部屋に置くんですかッ? それも、よりにもよって、あんな破廉恥極まりない下着を開封までして……み、見本にまで着せて!」
『え~、だって、やっぱり、ねぇ 保持く~ん』
「な、なんでしょうか……」
『保持君が盗みやすいように、保持君が鍵を持っている場所に置いておく必要があるじゃない?』
「あ・り・ま・せ・んッ!」
『あ、やっぱり使用済みの方が良かった? って、なんでサリーが怒るのよぅ』

『もう同級生じゃないわよ?』
「では同僚として、心配だからです」
『なんだかサリーって過保護なお母さんみたい』
「何か言いましたか? 司令?」
『え? いいえ、何にも』

「……状況は、まぁ分かりました。では至急荷物を分配して……」
『サリーの部屋で一緒に寝ればいいじゃない』
「な」
「な、な、な、何てことを言うんですかッ! 司令!」
 あまりに突然の爆弾発言で、保持は顔が熱くなるやら、頭が真っ白になるやらで言葉を見失ってしまう。あわわとしているうちに、ネリュートが猫撫で声で首をかしげた。
『ダメ~?』
「ダメに決まっているじゃないですかッ!」
『じゃ、しょうがない。わた……』
「もっとダメです!」
 薄々言うとは思ったのだが、保持には先手を取ってツッコミを入れるようなスキルはない。
(なんだか州上さんって、ネリュートさんと息ぴったりだよな……)
『んん? もっと~? ということは、サリーと一緒の部屋というのは、割と反対度低いんだ~。へぇ~、そう。つまりそれは保持君と一緒に寝たい、という意思表示として受け止めてもいいのかな?』
「あ、え、あの、それは言葉のあやと言うもので……」
 いくら先手を打てようとも、経験値の差とでも言うのか、結局沙理菜はネリュートの掌の上で遊ばれてしまう運命のようだ。あっという間に形勢は逆転してしまう。
『二者選択よ! 保持君が私と一緒の部屋になるか、それともあなたの部屋になるか? さぁ! 選びなさいッ!』
「くっ……」
(別の部屋を用意する、という選択ないの? というか、なんでそれをお二人が決めるの? ……僕には選択権は無い……のだろうなぁ……)
 言うだけ無駄でも、言ってみる価値はある――のかもしれないが、その事に触れない方がいいような気がしたので、保持は話題の方が変わるよう努力する事にした。
「そ、そんなことより、ですね」 
「そんなことって、重要な事でしょ!」
 ここで負けてはダメだ! と保持はその場の勢いで言い切った。
「九十九はどうなりますか?」
『九十九君? あぁ、彼なら亡命が認められたわよ』
「え?」
「な! なぜですか? 彼はアルバールの下士官ですよ? それも何か特別な――」
『詳しい事は機密事項だから、通信じゃ、ちょっとね』
「ではそちらに伺います! 棚加君の部屋問題もありますから! これでは落ち着いて謹慎も出来ません!」
(わ、忘れてなかったんだ……)
 しかしそこまで謹慎に執着するのは何故だろう? そんな疑問が保持の脳裏を掠めた。





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最終更新日  2009年08月23日 20時53分59秒
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