原油価格がじりじりと上昇している。5月16日の時間外取引でWTI原油先物価格は7カ月ぶりに1バレル=48ドルを突破した。
上昇した要因は2つあるとされている。1つ目は、このところ原油価格の下支えになっている供給停止懸念である。カナダの山火事の悪影響は回避されたものの、ナイジェリアの状況は深刻になりつつある。
5月4日、ナイジェリアにある米シェブロンの海上原油掘削施設が武装グループに襲撃され、11日にシェブロンの別の施設が破壊された。この状況を深刻に受け止めた英蘭シェルも操業を停止し、外国人社員を国外に退避させた。
ナイジェリアの原油生産量は日量約240万バレルで、世界全体に占めるシェアは3%未満である。ナイジェリアではこれまで武装グループにより石油関連施設が狙われることが少なくなかったが、今回の件で原油生産量が約20年ぶりに日量200万バレルを割り込んだことに市場関係者の注目が集まったようだ。
また、5月13日にベネズエラのマドゥロ大統領がブラジルのルセフ大統領の弾劾手続き開始の事態を受け、「国内の一部勢力と米国が仕組んだ政権転覆計画がある」との理由から60日間の非常事態を宣言したことも買い材料となった。その背景には今年約50億ドルの債券償還を迎えるベネズエラ石油公社のデフォルトに対する警戒感がある(5月16日付ロイター)。
このような供給停止懸念に加え、ここにきて「石油需要の拡大」という新たな上昇要因が浮上しつつある。
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