もるぺぽ
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「いってきまーす」と些か低い声で階下のこっぷが言う。二階の台所で洗い物をしていても私は手を止めて階段を降りる。お見送りに来たヨモ(ネコ)を愛でながら玄関を出て次の角を曲がって姿が見えなくなるまで見送る。手を振る。今朝の一コマ。こんな朝が平日9割の確率で、もう11年と少し、続いている。こっぷはいじめられっこだった。小学校に入学した時、友達は皆無。それは私のせい。この辺りの子どもたちが通う幼稚園・保育園に行かせなかった私のせいだ。同じ園からは顔見知り程度の女子が一人。(しかしその後、剣道を習い始めて親子共々親しくなり 今では親同士は飲み友達という程になるとはこの時想像もつかなかった…)近所には意外にも同学年の子どもが多くしかし男子はもう徒党が組まれていた。リーダー格の子はこっぷに何かにつけ絡んできた。わざとぶつかってくるなんて軽い。上履きを踏んで脱がせる体操服を振り回してこっぷに当てるそれに加えて言葉の暴力。正直なところ、PTA執行部に入らないかと言われ承諾したのも図書ボランティアに入らないかと言われ首を縦に振ったのも根っこはそこにあった。が、結論をいうとあんまり意味はなかったw結局、彼を救ったのは彼の持つPCスキルだった。好きなもので自分を守ることはとても強い。そうして中学に進み、予想もしなかった活躍をキメて今彼は高校三年生になっている。「行ってきます」とハイタッチをして坂を降りていく。その背中にはぼやけながら黒いランドセルが見える。しかし振り返り手を振るこっぷは少年ではなく青年の微笑みだ。いじめられっこの面影はもうどこにもない。角を曲がりその姿が見えなくなっても私は暫し残像を手繰る。きっと次の春が来たらもうこんな日常は消えてなくなるとわかっているからな。そしてもう二度とこうして「行ってらっしゃい」と言う朝が来ないのだろうと思うとなんだか少しセンチメンタルになるのだ。そういう6月。
2017/06/23
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