原稿用紙にペンで書くしか方法が無かった頃は、いかに良いペンを探すかが執筆を快適にする為の条件の一つでした。
ここに来られている方は、ほとんどパソコンの利用で400字詰め原稿用紙にペンで書くことは皆無だと思います。
問題はここにあります。
ペンで書く場合は、すらすらと悪筆であっても書けば良かったのが、キーボード入力は正直なものですから、1つひとつ確実に入力しなければ文章がかけません。速度を稼ぐ為に、ペンであれば略字に続け字で書くという逃げ場もありました。この場合、他人が見ても「このように書いているのだな」と見当も付くのです。でもパソコンを使っての場合は、当然それができません。
キー入力が遅い場合に、何か不利益はあるのか。
結構気付かれていないのですが、頭の思考に影響が出てきます。
次から次へと頭の中に湧き出てくるアイデアや文章。これを紙とペンで書くなら、なぐり書きしてでも、思考している速度にあわせて、どんどん書き進めれば良かったのです。それがキーボードで入力すると、思考の速度よりもはるかに遅い速度でしか入力が出来ません。結果として湧き出てくるアイデアや文章があるのにも関わらず、頭の中からの出力が追いついていないから、思考をゆっくりするようになり、それが思考のリズムを崩して、さっき何か良いことを思いついていたのに何を言おうとしていたのかな、あれ思考の勢いが止まったぞと、結果的に書けていた事を表に出せずに捨ててしまうことになります。
ちょっと昔まで、モールス信号による通信手段が使われていました。電報や海上交通などには欠かせないものでした。
ある通信士、通信中にへんな言葉を打ち出しました。
「なんだい」
「もうそんなじかんか」
「きつねがいいな」
意味がわからない言葉を受信した相手側の通信士。向こう側で何が起こったのかわかりません。
「なにかあったのかい。きつねって」
それを受信したある通信士、あわてて返信しました。
「お昼ごはんの注文を入れるけど、なにを頼むかって聞かれていたんだよ」
机上の電鍵(モールス信号を打つ器具)に右手を添えたままだったので、いま目の前の人間とやっている会話を信号として気が付かないうちに送ってしまっていたのです。
この通信士の場合、電鍵で信号を打つと云う思考は、頭からなくなっています。喋っていること、考えていることに対して手が勝手に動いているのです。
おわかりでしょう。キーボードを打つ思考は、手に任せれば、その余裕分を文章を書く思考に回せるのです。
締め切りがある原稿の時も、もちろんブラインドタッチが出来れば助かります。
キーボードを見ながら片手でタイプする場合、400字書くのに約8分から10分かかります。
ブラインドタッチなら、キーパンチャーなどの専門職でなくても、ひらがなだけであれば、ほぼ喋る速度で書くことが出来ます。
プラスして、ローマ字入力ではなく、ひらがな入力にすればキーボードを叩く回数が約半分になり、速度の向上と疲労の軽減が図れます。
ペンで文字を書くときに、人差し指の力加減を調整して、手首の動かし方はもう少し早くとかを気にして書かないでしょう?キーボードも同じですよ。
毎日10分練習するだけで、早い人であれば数日でマスターできるでしょう。知り合いの65歳の方でも1ヶ月で出来るようになっていましたから。
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