1000件近い日記を見ようとあせっていたからでしょうか。目の前に散らばる文字の書いた樹脂片。
「精神的におかしくなってしまった。うわぁ駄目だぁ」
夢であればと頭の中で思っていました。しかし目の前に見えているものは現実。
意識がはっきりしてきました。
コタツで寝てしまったので、寝返りが打てなかったのか、体があっちこち痛い状態です。
ゆっくりと上半身を起こしました。そして目の前に見えてきた、とんでもないもの。毛むくじゃらの生物。
「やられてしまった」
気が付かないうちに眠っていました。ノートパソコンの画面、つまりフタを閉めずに寝てしまって、それがこんな結果に。
猫が、キーボードの上に……
以前からよくやっていたので警戒していたのですが、8割近いキーボードのボタンが無残にもむしり取られていました。何回か悪戯したのを見たことがあります。薄く作られたボタン、爪を掛けて外しやすいのでしょう、器用にひょいとひっかけ外してしまいます。
あっちこっちに散乱する樹脂片。そして外した後にその上で寝ている猫。気持ち良さそうに寝ているのは良いのですが、こちらは心臓がドキドキ。
画面をみると、よくもまあやってくれたと思うほどにブラウザーが何十件も開いています。
毛むくじゃらを抱えて横に移動させ、何か変なことになっていないかと、マウスをつかみ、一つずつブラウザーを閉じていきます。悪戯の犯人は、のほほんと画面の角の部分に頬をスリスリ。
「残念でした!」
目の前に飛び込んできた文字。そうさ残念だよ。パソコンにまで言われてしまうか。そのように思いつつ「あれっ、見慣れたデザインだ」とその画面に見入りました。
「ちょっとショック。。落ち込んでます」
「仕事から帰ったら、原稿を応募していた出版社から結果が届いていました」
「『新しい感動を与える作品』として『出版化推薦作』という認定証を頂けたのですが、入賞にはあと一歩及ばず、本として出版して頂くことが出来ないみたいです」
「裁判にお金もかかると思うから、自費出版も共同出版も出来ないし。やっぱり出版は無理!」
このように書かれている日記をみて、はっと思いました。リボンリボンさんの日記です。自費出版を考えていたのだ。
「解決だ。これだったんだ」
裁判が何かはわかりませんでしたが、「問題を訴えるために本にしようとしていたんだ。それでご隠居に相談なんだ」と理由はハッキリとしました。
ねこの手も借りたいと馬鹿にしますが、なかなか良い仕事をしてくれるものです。
「これが三毛であれば、おまえ『三毛猫ホームズ』俺は『赤川次郎』だな」
と声を掛けてやりました。
「なに言ってんだよ。駄文しか書けないくせに。おまえが赤川次郎なら苦労しないわ」
「えっ?何か言ったか」そのように聞こえただけでしたか。
ゆっくりと大きな欠伸をして、ねこ臭い息をご主人さまに嗅がせ、そしてまたゴロンとキーボードの上に寝転がるのでした。
(つづく)
参考資料
http://plaza.rakuten.co.jp/ribonribon/diary/200411150000/
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