今年は邦画が良いですね・・・。
先日観た「地下鉄(メトロ)に乗って」も大変良かったですが、邦画の中では私の中でこの作品「手紙」が今年の1・2を争う感動作品でした。
理由はどうあれ殺人という行為の罪の重さは計り知れない。
その苦しみは残された遺族だけに留まらず、殺人者本人及びその身内の一生をも崩壊させて行く。
罪を償うという事は、ただ悔いて謝れば良いと言うものではない。
ただ、刑に服して済むものでもない・・・・殺された人の奪われた人生は帰ってこないのだから。
そして、残されたものの悲しみも癒える時は来ないのだから・・・・
殺人という究極の犯罪に留まらず、すべての罪にも同じように償わなければならないものの大きさや失う代償の大きさを考えさせられる映画です。
これからの社会を担う若者に多く観て、感じて欲しい作品でした!
Story : 川崎のリサイクル工場への送迎バス。最後部座席に野球帽を目深に被った青年の姿がある。武島直貴、20歳。暗い目をしたこの青年には、人目を避ける理由があった。兄・剛志が、直貴を大学にやる学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引越しと転職。兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ。そういうこと―。自暴自棄になる直貴を、深い絶望の底から救ったのは由美子の存在だった。しかし、その幸せが再び脅かされるようになった時、直貴は決意する。…塀の中から届き続ける、この「手紙」という鎖を断ち切ってしまおうと。
ここからはネタバレになっているかもしれませんがご了承ください。
早くから両親を亡くした兄弟の弟を心から思う深い愛情から体を壊し、勉強の出来る弟を大学に出してやりたいと思う一心で思い詰めるあまり、盗みに入ってしまった兄の運命が崖から落ちていくように最悪な結果を生んでしまう。あのとき、弟が大好きな甘栗を目にしなければ・・・・
両親を亡くした兄弟のお話で、先日も「涙そうそう」を観ましたが、やはり共通して言える事は、頼れるもののない兄弟、兄妹の絆は強く、どちらかに人並みの人生をと考えると、得てして犠牲が伴う事なのですね、普通なら両親が健在で経済的不安も少なければ、努力次第で当たり前のように行きたい道を選んで行けるのに、どちらかがその経済力を支えて行かなければならない・・・
お互いに少しずつ我慢して協力し合う選択肢を選ばないのは、学歴がなく苦労して社会で生きて行く辛を嫌と言うほど味わって生きて来なければならなかった兄が弟や妹にはそういう思いをさせたくない、人並みの人生を歩んで欲しいと願う強い愛情に他ならないのです。
しかし、起してしまった罪の重さは、例えその動機が家族への愛のためであろうと、荒んだ心の凶悪犯や変質者が犯した罪と全く重さは変らないという事。
人一人が亡くなった罪を償うという事は、刑に服し、残された遺族にあやまり続け償って行く事だけではすまされない、残された犯人の身内の人生、すべてをひっくるめて償って行かなければならないのです。
兄剛志が犯してしまった罪の為に社会から締め出され、人目を避けて転居を繰り返しながらも、兄が罪を犯してしまったのは自分のためだったからと思い、自分の道を実現しようと前向きに努力して行く主人公直貴が、つかみかけた人生の成功もやっと見つけた愛もすべてが社会に奪われ、差別を受けて苦しんで行く様を山田孝之が好演しています。
沢尻エリカは、この映画を観るまでは、単なるアイドル女優だと思っていましたが、主人公と同じように辛い人生を生きて来て、若くして酸いも甘いも噛み分けた芯の強さと底知れぬ優しさを備え、毅然として生きる女性役を好演していました。わたし的に好感度アップです。
杉浦直樹演じる有名電気チェーン店の会長の言葉によって、私もいろいろ考えさせられました。
「君はお兄さんの犯した罪で社会から差別をされて来た事を不当な事だと感じているかもしれないが、それは差別でも何でもないのだ、むしろ当然の事なんだ、それだけお兄さんの犯した罪は、被害者本人や遺族へ苦しみを与えたばかりでなく、なんの罪もない身内に対しても及ぶ罪なんだ。お兄さんは全部ひっくるめて償わなければいけないんだ。」
「でも、君はここからひとつひとつ始めて行けばいいじゃないか、ここから一つ一つ繋げて行くんだ、実際にもう既に一つ心が繋がっているじゃないか・・・」
なんだか、私自身も、目から鱗が落ちたような説得力のある言葉でした。罪とはなんなのか・・・その一つの定義が示された思いでいろんな意味で考えさせられる思いが・・。
玉山鉄二演じる兄剛志は、愛する弟を心配するあまり毎日のように一生懸命に明るく書き続けた手紙が、その手紙が届くせいで逆に弟を苦しめていることに気が付かなかった。そして、毎月6年間一度も欠かさず書き続けた謝罪の手紙が遺族の苦しみを癒すものではなく、逆に忘れさせない苦しみを与え続けてきた事にも気が付いてはいなかった、弟の最後の手紙に書かれていた事は想像も付かないことだった・・・・。それに気づかされて遺族へ当てた最後の手紙も切なかったです。


ここからは号泣モード突入で、拭いても拭いても涙が止まらなくて、映画館を出るときは頭痛がしていたほどです(笑)
私は、手紙を書くことがなくなった剛志が、自分が犯してしまった罪が自分の想像した以上に大きかった事に衝撃を受けて憔悴しきって、死んでしまうのではないかと想像していました。きっと刑務所の慰問に来た直貴の舞台のラストシーンもそういう観客の想像を見透かしているかのようなカメラワーク・・・・。
コントを楽しそうに観ている観客の中でひとり声を殺して号泣している剛志の姿が切なくて、切なくて・・・・。
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~おしまい~
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