マグリットの空の下から            Memoires d'une sablonaise

マグリットの空の下から            Memoires d'une sablonaise

2010/11/10
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カテゴリ: 勉強
最近努めて芸術的なものに触れようとしています。


というわけで、ブログ復活を宣言するわけではないのですが、面白いものに触れた経験を書いてみたいと思います。

今日は、平田オリザさんのアンドロイド演劇『さようなら』を見てきました。
愛知トリエンナーレのオープニングでロボットを使った演劇を平田オリザさんがする、というのを聞いていたのですが、結局愛知トリエンナーレには行けず。今回東京公演を知ったので見てきました。
http://www.festival-tokyo.jp/program/android/

20分の短編です。
死に行く人に、アンドロイドが詩を読む、というのが筋なのですが、面白かった。
死を間近に迎えた若い女性を演じるのは、米国人の女優。


開演前の演出も面白かったです。
幕は無く、舞台の上に椅子に座って向き合った女性が二人。
日本人の方は顔が見えますが、もう1人の女性のほうは、肘掛け椅子に体と顔が隠れて、金髪の頭、手、足しか見えません。
観客は、アンドロイドと人間が「共演」する演劇だと言うことは知っています。
私は最初、「女優さんてすごいなー。ぴくりとも動かない」と思っていました。
そのうちに、おや、これはどちらかがアンドロイド?と気づいたのですが、日本人の方は人間にしか見えなかったので、肘掛け椅子に座っている顔の見えない金髪女性のほうがアンドロイドだと思っていました。

この辺からもう仕掛けは始まっているわけですね。
人間って何だろう、アンドロイドって何だろう。観客は考えさせられます。

もう一つ、意図してか、意図せずしてか、私にとって面白かったのは人間役の米国人女優が使い慣れない日本語で演じていたことでした。彼女の日本語はたどたどしく、感情も伝わってきません。他方、アンドロイドの方は声は別室で日本人の女優が出しているので、それは当然のことながら人間役の米国人女優の日本語より自然です。見た目は人間と変わらないほど精巧なアンドロイドが、自然な日本語を話しているのと、生身の人間が片言の日本語で話している台詞。私はアンドロイドの台詞のほうにより人間らしさを感じました。

人間の台詞が「もういい」「疲れた」「寝る」など、ぶっきらぼうだったのに対し、アンドロイドの台詞の方が「すみません」「ありがとう」など、感情を伴うものだったのも仕掛けだったのかもしれません。

終演後に、アンドロイド開発者の石黒浩さんと平田オリザさんの対談があったのですが、それも面白かったです。アンドロイドによる演劇が可能になることによって、演劇の可能性が広がるのでは、とか、演劇の手法により、より人間に近いアンドロイドを作れるようになるのでは、とか。



アンドロイドが生身の俳優の代わりに演じる、というと抵抗がある人もいるかもしれません。愛知トリエンナーレでは、人間型ではないロボットを使ったのだそうですが、そちらの方が抵抗が無いのだとか。

アンドロイドが生身の人間を演じるのはまだまだ先のことになりそうですが、実験的な面白い試みでした。





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Last updated  2010/11/10 11:44:40 PM


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MORONEE @ Re[1]:うり坊21さん うり坊21さん、こんにちは。 今回日本…
うり坊21 @ Re:トゥールーズに里帰り(08/12) MORONEEさん、ご無沙汰しております。 在…
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