2004年03月30日
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って、今は亡き淡谷大先生のことじゃないっす。


ボリショイの新館に「くるみ割り」を観に行ったときのこと。
春休みということもあり、ロビーにいても英語をはじめロシア語以外の言葉が大いに飛び交っていた。
客入りもほぼ満席。舞台が始まった。
場面が移り背景が変わるたびに、感嘆のため息がもれる。

始まって十数分たったころだろうか。
絶賛する拍手が入るのはよくあることだが、まったく関係のないところで拍手が入るのに気がついた。
初めは、バレエ初心者の観光客の単なる間違い?と好意的に受け止めてたのだけど、


ゆっくりと大きな音で、パン、パン、パン、パン。

まるで嘲笑しているかのような合いの手の入れ方。
酔っ払い? でも、酔っ払いなら声が出てもおかしくないのに。
耳障りな拍手に怒りを超えて、一種の恐怖を感じ始めた。
テロの二文字が脳裏をかすめたのだ。
自爆テロを引き起こすテロリストたちが、業務遂行の高揚感とその裏側の恐怖とで、
ヤク中のように挙動不審になることがあることは、みんな知っている。

舞台どころではない、という目に見えない緊張感が、客席をびっしりと被い始めた。
しかも、観客だけでなく、オケや舞台上の団員たちにも伝わったようだった。
彼らはプロだからミスをすることはなくても集中力に欠けていくのは雰囲気で分かる。

しばらくして、座席案内のおばちゃんがその観客のもとへ向かった。

舞台上のくるみ割りのシーンと音楽が、世界で指折りの美しいホールで完全に空回りしている。
観客は目は舞台に向いていても、気持ちはどっかに飛んでいる状態が続いた。

その時、体格のいい警備員がはいってきた。
ロビーに引っ張り出すのか、と思いきや、警備員は迷惑客の隣に座った。
(よかった、たまたま空席があって)

ただ、それを最後に、あの不気味な拍手が聞こえることはなかった。

あの迷惑客は、大の男が説教すればおとなしくなる相手だったのだろうか。
警備員が隣で拳銃や警察手帳で脅した?
それとも、いつぞやの議会みたいに、プシューっと麻酔だか睡眠薬入りの注射を打ってしまったとか?
ひょえーっ……。
静かになったのに、えらく恐ろしい妄想が膨らんでしまって、
ますます舞台に集中できないじゃん(笑)。

幕間でシャンパンをあおり、気分を入れ直して2幕を鑑賞。
もちろんよかったよ。岩田さんの中国の踊りも絶賛されてたし。
でも、舞台上のダンサー達に何の罪もないんだけど……。
「ヒンシュク客めチケット代返せー!」という気分の夜でした。





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最終更新日  2004年04月01日 23時48分09秒
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