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November 25, 2005
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カテゴリ: 美術
まるで、近代美術の教科書。
有名作家がそれぞれ得意としたモチーフが、これだけまとまって並ぶのは、ちょっとすごい。

入って最初から、ルノワールの描く幸せな午後の昼下がり。
セザンヌのサント=ヴィクトワール山。
ドガの踊り子。モネの睡蓮。ゴーギャンのタヒチ。

ね?教科書でしょ?
これらが全部、都美術館の1階に並んでいるわけで。
もう、ドキドキが止まりません。

この中で私が気になったのは、ポール=セザール・エルーの 「白い服の婦人」
白い服を着て日傘をさした女性を下から見上げた構図。
印象派の気分が濃厚な、明るい油彩。
てっきりモネの「パラソルをさす女」(@オルセー美術館)のシリーズかと思ったのですが、作者名が違っていてびっくり。
帰ってからも気になって、Google検索しちゃいました。
こちら がモネの3作品です。



2階上がって最初の部屋の作品で、私が惹かれたのはウジューヌ・カリエール 「母の接吻」
全体として濃い色(灰茶褐色とでもいうのかしら?)の背景の中に浮かび上がる、淡く優しい色彩の母とその2人の娘。
ちょっと宗教画っぽい雰囲気漂う、精神性の高い作品。

うーん。お恥ずかしながら、今まで知らなかった作家さんなので、これから勉強-気をつけて観るようにします。


そしていよいよ、今回メインで据えられている、マティスの 「金魚」 と対面。

あのねぇ…。
いや、すいません。「原画の力」をなめていました。

実は今回のチラシとかポスターで作品を見て「そこまで大した事ないじゃん」って思っていたのです。

そう、本当に絶妙。色使いが暗い気もしていたのですけど、本物はなぜか温かい。

なるほど、これならば、シチューキンが一目ぼれで買い取ったというお話も頷けます。
いやぁ、何度観ても、本当にすごいなぁ。



版画のコーナーは…正直、面白いものは少なかったです。
最近、浮世絵を見る機会が多かったので、それと比べてしまうと、どうも、ねぇ。

でも、ロートレックの 「騎手」 がありますし、ルイ・ルグランの 「4人の踊り子」 の気だるい雰囲気も素敵。濃淡が良い感じなのです。

くらっと来たのは、ポール=セザール・エルーの 「毛皮の帽子を被った女」
線描がめちゃくちゃ繊細で、丁寧。黒と茶、白が基調の貴婦人の横顔の姿の中で、青い眼と赤い唇が、目立ちすぎず、良いアクセントになっています。

それから、シニャックの 「フリッシンゲンの船」
点描が、版画化されたせいか、程よく背景に溶け込んで、パステルカラーの美しい小品に仕上がっています。
これは、絵葉書とかがあったら飾りたいかも。

モーリス・ド・ヴラマンクの 「モンラール」 は、木版画の作品で、ちょっと、M.C.エッシャーの初期の風景画を髣髴とさせる、と言いたい所ですが、断然エッシャーの方が丁寧できれい。
荒々しいエネルギーというなら、棟方志功には遠く及ばず。
油彩の「小川」の方は、観る者の不安をかきたてるエネルギーのある作品でしたから、ちょっとこの落差は面白い。



3階は、ルソーとかもありましたが、何と言ってもピカソでしょう。
青の時代直前の作品 「アルルカンと女友達」
キュビズム初期の作品 「女王イザボー」

いや、正直、キュビズムの 「三人の女」 とか、題名がなければ、どうして良いか分かりませんし。
でも、この2作は、分かりやすくて、素直に「ああ、良いなぁ」と鑑賞できる作品。

いやぁ、堪能しました。



実は、今回も、「ぴあ」さんの「おいしいご招待」で貸し切り鑑賞でした♪
「金魚」とか、多い時でも4人くらいでじっくりと。
途中、廊下に並べてある椅子も、人に疲れて座るよりも、じっくり鑑賞するために使用できるという贅沢振り。

本当に感謝、感謝です。



ちなみにプーシキン美術館はモスクワにある、かの文豪の名を冠した美術館。

今回展示されているのは「シチューキン・モロゾフ・コレクション」。
シチューキンさんとモロゾフさんが、パリとモスクワを往復しながら買い集めたものです。

日本では大倉美術館が動いていた頃と重なるみたい。こう書くと、国際色豊かな時代ですねぇ。




『プーシキン美術館展』
東京都美術館 (上野)

[会期]2005.10/22(土)~12/18(日)

作者:-------

★★★★★

<この後は、大阪の 国立国際美術館 に巡回です♪>





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Last updated  November 29, 2005 12:40:29 AM
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プーシキン美術館  
sneg0609  さん
モスクワに1年住んでいながら、
実は一度も行きませんでした…
10月に入って、
「あ、最後に行っとかなきゃ」と焦ったときには
東京に行っていてお留守だったし…
(もちろん他にもたくさんあるんでしょうが)

モスクワに戻ったら必ずや行きます!
mrtkさんの気に入られた作品も
チェックしてまいります!! (November 29, 2005 05:05:28 AM)

Re:『プーシキン美術館展』@東京都美術館(11/25)  
chobi-rin  さん
カリエール、私も知らなくて、今回、この方を知ることができたのはよかったなぁ~と思いました。
またまた貸し切り鑑賞なんて、うらやましい限りです。
「金魚」もそれくらいゆっくり観ることができたら、また印象も違ったのかな~、わたし。
(November 29, 2005 08:37:52 AM)

カリエール、素敵でしたよねぇ♪  
mrtk@jp  さん
>snegさん
そっかぁ。ふふふ。
「金魚」は、こちらで暫くお預かりさせて頂いておりますので♪
でも、きっとプーシキン美術館には「シチューキン・モロゾフ・コレクション」以外にもたくさんあるんでしょぅ?
良いなぁ。ヨーロッパ。行きたいところありすぎ。
と言いつつ、まだ「東京」も回りきれていない私ですけど。


>chobi-rinさん

都美術館の混み方は、いつもすごいですよね。
それだけ良い企画が多い、ということでもありますが。

今回、ゆっくり作品を観られたのは、本当にありがたかったです♪

「金魚」かえって近くでは見ませんでしたから、それが良かったのかも、ですね。

カリエール、どこか日本でゆっくり観られないかしら。 (November 29, 2005 10:57:07 PM)

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