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2006.11.10
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テーマ: 海外生活(7808)
カテゴリ: 日記
「じゃあね、ママ。行ってくるよ」
優しい声で部屋の中に言葉をかけて出てきた義父を、私は見つめた。日曜日、義父と昼食を一緒に食べようと、彼をケアセンターまで迎えに行ったときのことだ。パートナー氏はケアセンターの職員と話していて気付かなかったようだ。途惑う私を、やはり困った顔で義父は見かえした。
「ここ2週間くらいだけどね」
「うん」
「彼女は僕の部屋にいるんだよ。ずっと、そこにいるだけなんだけど」
返す言葉も思いつかず、私は黙って頷いた。

義父が「ママ」と呼ぶのは、彼の実母ではなくて、長年連れ添って一緒に家庭を築いてきた妻のことだ。私にとっては義母(日本語でなら姑と呼ぶ方が合ってるのかもしてないけど、英語のmother-in-lawを頭に思い浮かべる時、義母と訳す方がしっくりくる気がする)のことである。
彼女は長年患った心臓病と脳卒中のために、去年他界した。

だからセンターで暮らす義父の個室には、もとより誰もいないはずだけれど、だから私がその時思ったのは「義父の病状も篤くなってきてる」だった。でも同時に、少し羨ましいような気もした。私のところに義母は錯覚ででも、幽霊ででも、枕元にでも、姿が現れることがないからだ。


「彼女がいなくなってしまった。部屋から消えてしまったんだ。もう探せない」
と言う。やっぱり、うんうん、と頷いて聞いてあげるだけの私はふと思った。vanished without a trace。死者が消える時、そこには何の痕跡も残らないだろう。私たちには探せない。

義母が亡くなった日は、お天気のいい初夏の一日で、公園の草木が緑に萌えて眩しかった。
今日は一周忌である。





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最終更新日  2006.11.10 07:22:35
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