ホームレス襲撃事件を犯した中学生たちに潜む意識とは何か。
愛知県岡崎市の河川敷で、11月始めからホームレス襲撃事件が相次いでいた。殺害を含む8件の襲撃事件は、全て28歳の男を首謀者とする中学生3人のグループによる犯行と判明した。
犯行の動機、目的は、「カネ欲しさ」と「憂さばらし」である。
初老の老婆が殺害された。69歳の女性ホームレス、花岡美代子さんが殺害されたのは、11月19日の未明、乙川河川敷である。28歳の男と中学生3人の4人全員で、鉄パイプで殴ったり、足で腹部を蹴り上げたりという暴行を繰り返し殺害した。
28歳の男が「カネ」を持ち去った。
自分たちより力弱く、抵抗できない、初老のしかも女性をこのような悲惨なやり方で殺す、その手口は、卑劣な恥ずべきものであり、許すことは出来ない。この少年たちや28歳の男は、社会からドロップアウトされたゴロツキ集団であり、その集団が更に自分より弱い抵抗できない集団をイジメて叩きのめす、無い所から、わずかなカネを奪って飲み食いや遊興費にする。
この現実に大人たちは眉をひそめ、今の若いものは何とひどいことをするのだろうと言っている。どこかのテレビのワイド番組などでは、司会者が少年集団の非人間性を大声でわめいて、いかにも、この社会の無法を告発しているかのごとく騒いでいる。
しかし、この事件に見られる構図は、 今の社会そのものを包み隠すことなくあからさまに表しているに過ぎないのではないか。
カネも職もなく、知性もない者たちが、自分の欲望の赴くまま犯行を起しているので、事の本質が容赦なく世間のまえにさらけ出されている。
ホームレスなどは、社会の負け組み、脱落者として、踏みつけられても当然という意識が、国民の多くの共通したものとして心の奥深くにある。
社会の厄介ものなのである。排除すべき存在なのである。
ひとりひとりがその差別意識を自覚しているかどうかの違いだけである。
子育て中の若い親が、子どもによく言う言葉に、「勉強しないとホームレスになるよ」というのがある。
要するに幼い時から、ホームレスは人間として、忌まわしい価値の無いものとして、脳裏に刷り込まれているのである。
その延長上に弱者が弱者を食い物にしても何ら痛みを感じない、罪の意識も無い、襲撃事件が起きている。
そして、社会も、ホームレスが襲われてもやもう得ない、ただ、殺すのはちょっと行き過ぎだけど、という感覚なのである。
権力やカネのある者は、他人の人間としての尊厳をおとしめ、踏みにじっていても、何ら罰則を社会は与えないばかりか、羨望さえ受けているという今の日本のこれは縮図なのである。
「自己責任」で再チャレンジせよ、出来ないものは能力が無いから本人が悪いのだ、という思想の行き着く先にあるのがこの事件の本質ではないか。
働きたくとも働けぬ高齢者たちの多くは、常にホームレスと隣り合わせで生きている。
そのような初老のホームレスの女性が、このように哀れな死に方をせざるを得ない日本。
これが繁栄している、景気がよい日本の現在の姿なのである。
そして、破棄すべき邪魔モノとして、姨捨山さえなくしてしまった高齢者達の大群が背後にひかえている日本。50年後には4割が高齢者を占めるという、将来推計人口さえ出た。
この婆さんもその一人なのである。
そして、今、社会にたむろしている若者たちの全てに50年後には老いがやって来る。
その時の自分の老いの姿をどう描いているか。
幼い子や若者や老いたるものが、真に人として尊重される社会。そこに必用なおカネをたっぷりと惜しまない社会。今、日本はこれとは反対の方向に向いて走っている。
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