秋のサンティアゴ巡礼街道(8)
クロッカスの花咲く秋のカミーノ(その1)
今日も続く平坦な荒涼とした道、
だらだらと続く道、カミーノ
ブルゴスからレオンまでおよそ200kmも続く
カスティーヤ大平原の巡礼街道は
あてどもなくえんえんと続く平らな道。
倦み安く、
それがしんどい道。
平坦な人生にも似て。
そんなカミーノに崩れかかって佇む修道院サン・アントン僧院
Monasterio y Hospital de San Anton
(14世紀にフランスのサン・アントン騎士団が建設したもの。
柔らかな秋の青空を背に静かに佇む廃墟となった修道院)
だらだらと続く平坦な、焼けつく道を歩き続けてたどり着いた
中世の巡礼者たちにとっても、
この僧院は、
食べものを供され
傷を癒し、病を治療したりした、
つかの間の休息場所。
明日へと旅立つエネルギーを蓄えたオアシスであったろう。
そして、今も、
カスティーヤ大平原に
延々と続く平坦なカミーノに
崩れかかって、廃墟となり
その時間の重さをみなぎらせて、
静かに、しかし凛として佇んでいる。
あたりの荒涼とした世界のなかで、
何かしら膨大なエネルギーがそこだけにある。
その重さが、その威厳が
巡礼者の心を明日へといざなう
。
その僧院の壁沿いに咲いていた
黄色のクロッカス。
太陽がジリジリと焼けつく乾いた暑い夏のあとに
秋雨とともに眠りから覚めて
秋の訪れを告げに来る花
クロッカス
巡礼街道の秋を可憐に彩る
秋に咲くクロッカス
何千年もの時空をクロッカスは
いのちを繋ぎつづけて
今もこの廃墟となった僧院に
ひっそりと、可憐に咲ききっている。
〈注〉 サン・アントン僧院: サン・アントンは英語では、Saint Anthony(聖アントニウス):
聖アントニウス(c.251-356)エジプトの隠修士・修道院制度の創始者。豚飼いの守護聖人。
この騎士団は10~11世紀にヨーロッパで大流行した皮膚病「丹毒」を治すことで知られていた。
「丹毒」は英語でSt.Anthonys fireという。
巡礼街道のこの修道院も、巡礼者の救護院として、中世には活発に活動していた。
《花の名一口メモ》
アヤメ科;クロッカス属の球根植物。
およそ80種類あり、その3分の1は秋に花を咲かせる。
クロッカスの原種の大部分は地中海沿岸地域の山岳地帯に自生。
特にバルカン半島や小アジアの地域に多く自生している。
秋咲きのクロッカスは、9月~11月に花を咲かせる。
花が咲き終わった頃、葉を出すが、
遅咲きの種類は、若い葉っぱの間に花を咲かせる。
花の色も変化に富み、ライラック色、藤紫色、黄色、白色など。
南仏、スベイン、ポルトガルの地域に咲く「秋咲きクロッカス」としては、
以下のような種類があるとされているが、
Crocus nudiflorus; C.serotinus; C.clusii; C.salzmannii
巡礼街道に咲くクロッカスの名前の特定はさけた。
さらに「秋咲きクロッカス」として、
Crocus cartwinghtianus(Wild saffron crocus)は
ギリシャやクレタ島に自生する、いわゆるサフランと呼ばれているもの原種である。
Crocus sativus(Saffron Crocus)は
品種改良を重ねサフランとして、大規模に栽培されている秋咲きのクロッカスである。
次回も巡礼街道に咲くクロッカス(その2)をお届けします。
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