「無言館」の画学生が現代の若者に語りかけるもの
遅れて「憲法記念日」。
憲法記念日にわたしの地域の「9条の会」が、講演会を開催した。
その日の弁士はジャーナリストの大谷昭宏氏で「みんなの命輝くために」という演題で講演された。
現代社会の日々起きている異常・混乱・貧困などから話を始め、この現実は単に「自己責任」によってもたらされているものではない。人間の生存を脅かしているものに対して、敏感になって、立ち向かう必要性を訴えられた。
「9条を守る」ということは、戦争をしないことを世界に宣言するということにとどまるものではなく、生存権を明快に規定した25条など、現在の日本国憲法全体を守ることであり、今日的意義は益々高まっており、その重要性を強調された。時代に合わないところがあるからと、改憲に賛成し、憲法に手をつけることの危険性を訴えられた。
改憲勢力は、何のために憲法を変えたがっているか?
アメリカの軍事戦略に追従する為だけである。
日本国民を守るためではなく、アメリカのためである。
この1点のみが改憲勢力の望むところである。
では、そのアメリカは、今どうなっているかと、話しは進み、私がこのブログでも紹介した、堤 実果さんの 「貧困大国アメリカ」
にもあるアメリカの格差・貧困についてわかりやすく具体的に話された。
高齢な夫婦が介護に疲れ行き詰まり、つれあいを殺害して、手錠をかけられて警察へ連行される姿。幼子が親に虐待され、殺される痛ましい事件。最近の日本の殺人事件の5割以上が肉親・家族間に起きているという。
若い15,6歳の少女たちが、理不尽な殺害事件にまきこまれる。年間3万人を超える自殺者がいる日本(世界で1位の人数)。
これが世界2位に資本主義経済を発展させた日本の今日の姿なのである。
いとおしく思うものたちが、お互いに深い情愛を育てていけるような社会、そのような日々のくらしが実現できるようにすることが、日本国憲法を守ることにつながらざるを得ないことを、ジャーナリストとして、日々現場で色々な事件に接すれば接するほど益々感じていると結ばれた。
この「9条の集い」では、大谷昭宏氏の講演のほかに、地域で活動しているさまざまなサークルが出演して、日頃の成果を披露した。
和太鼓や合唱や朗読などである。
朗読サークルが、 窪田誠一郎著:無言館戦没画学生「祈りの絵」(講談社)
の本から「無言館より」を朗読した。
サークルのメンバーは残念ながら私と同世代の少し若い主婦ばかりであったが(若い人たちにやって欲しい朗読であるが」)、若くして戦死していった青年達の絵にたいする情熱、妹や母や愛する者たちへの深い思い、惜別の思い、母たちの悲しみなどが溢れんばかりの言葉から、静かにある時は激しく朗読されて、心に深く沁みるものであった。

「無言館」は、
長野県上田市の浅間山を望む塩平に、
ひっそりと佇む小さな素朴なロマネスク教会のような美術館である。
(当ブログ「 サンティアゴ巡礼街道
」の写真の中でも、
しばしばこのような佇まいの鄙びた教会を紹介してきた)
この「無言館」には
戦没画学生の遺作300点余りが展示され、彼らの無念の思いを伝えている。
このような「夢や希望に満ちた」若い画学生の青春を台無しにしてしまった戦争。慈しみ大切に育てた息子を失った母の哀しみ。
このような平凡な日々の暮らしを、有無を言わせず破壊してしまった戦争。
このような無数の青年たちの無念さがあったからこそ
今日の日本国憲法9条がある。
近代法の最も先進的な位置にある世界に誇る日本国憲法
幾千幾万の若い命の代償として得たこの陣地を
後世に生きている私たちが、守り発展させることは
人としての義務ではないだろうか。
日本は金銭面においても気前よくアメリカ軍にふるまって、ご機嫌をとっているのである。これはすべて国民の税金から支払われている。
自衛隊そのものが、日本国民を守るものでなく、深くアメリカの軍事戦略に組み込まれ、日本国の主権が踏みにじられていると言うのに、金銭面においても卑屈な日本政府なのである。
アメリカの沖縄基地の一部のグァム移転においても、日本は豪華な兵の住宅建築費(1戸あたり7000万円)まで負担することをアメリカから要求されている。
このアメリカ軍が現在、世界の安定ではなく、世界の不安定・紛争混乱の火種になっているのは、テロ集団と同じというのが事実ではないか。
米英のNGO「イラク・ボディー・カウント」によれば、開戦からこれまでの民間人の死者数は最大9万人。世界保健期間は今年1月、戦闘員を含む死者が15万1千人と発表。
バグダット陥落までに投入された米英軍は約30万人。その後も内戦状態が続き、今も10万人以上がイラク駐留を続けている。戦費は不明だが、最終的コストは約200~300兆円か。
イラクに派遣された日本の航空自衛隊員は述べ3千人。クェートとイラク国内3空港との間を飛び、輸送回数は4月17日までで、694回。物資の輸送量600トン。(情報は公開されていないのでよくわからない)
このような愚かな戦争に、日本はすでに深く関っており、莫大な経費も負担している。
日本政府は、なぜここまで卑屈になってアメリカに追従するのだろう。
経済のみならず軍事においても、自国の憲法をアメリカのご都合にあわせてまで追従する日本。
日本の若者の多くは、イラクやアフガニスタンという国がどこにあるかは勿論のこと、今、そこで何が起きているかさえ知らないものが多い。お気楽に刹那的に生きている高校生や大学生が多い。(宮崎県さえどこに在るか知らないものが多いなか当然のことかも)
「無言館」の画学生達の無念さを深く歴史の中から学び取る知性を、今の中高生大学生とその親たちは、自らのものとするべき時だ。深い思索を今こそ要求されている、と私は日々、学生と深く関れば関るほど感じている。
わが地域の『9条の会』の集いに参集した人々も老いたる者が多く、若者は極めて少ない。
日本の若者達の身に何が今降りかかろうとしているか、その親たちも含めて、もっと学ぶべき時である。
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