日々草

日々草

2008.10.20
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報道の中立性とは何か
 昨日10月19日(日)、東海テレビ製作・FNSドキュメンタリー「光と影~光市母子事件 弁護団300日」が再放映されたので見た。
 このドキュメンタリーをみて、久々に爽やかな深い感動をうけた。
 この報道が深い人間性のところに依拠して、事実を丹念に救い上げようとしているその姿勢に感銘した。

 このドキュメンタリーは、1999年4月14日山口県光市で木村洋さんの妻と生後11ヶ月の長女が殺害された。当時18歳だった少年が逮捕され、一審ニ審の判決は無期懲役。しかし、最高裁は、死刑含みで、審理を広島高裁に差し戻した。最高裁の途中段階から、弁護団が差し変わった。それは、起訴事実を争わず、ひたすら情状を主張した旧弁護団らが「死刑含み」の状況に危機感を感じ、この事件を再調査することから始めた。
事件の本質は何かを徹底的に究明することにより、事件を解明しよと方針を転換した弁護団が結成された。その21人の弁護士たちの闘いぶりを300日間に及んで記録したものである。
 弁護団がその苦闘の調査のなかで、見たものは、加害者の想像を絶する凄惨な生い立ちから帰結される人格、人としての未発達、幼さ。弁護士が、その加害者と人間として関り、加害者の心に波紋を投げかけ、自分の犯したことの意味を理解させようとする闘いのなかで、裁判は進行していく。
刑事事件の弁護活動とはどうあるべきか、弁護士はどのような職責を持つべきか、深いところでの問いかけが続けられた。
判決は「死刑」となった。
その時、理不尽な事件で突然妻と子を失った木村さんは、「自分たちは、これからこの判決を一生背負って生きていくことになる。このような事件が二度と起きないことが、この判決をいかしていくことになる」というような意味のことを記者会見で述べていた。
被告弁護団は「この事件の真相、事件の起きた根源を明らかにし、このような事件が、社会で二度と起きないようにしていくことが、弁護団の仕事であり、その意味では、この弁護活動は終わりではない。死刑で終わりというのでは、何も解決されたことにならない」と発言していた。
 このような類似した悲惨な事件は、その後も次々に起きている。
 痛ましい事件の被害者が真に救われる道は何か。
 このドキュメンタリーは、事実を坦々と追うことで、被害者が真に救済される道すじはどうあるべきかを静かに語りかけている。

とても深い重いドキュメンタリーである。

この番組は、平成20年度芸術文化祭で日本民間放送連盟賞・番組部門テレビ報道番組において、最優秀賞を受賞した。


 折りしも、余りにも偶然であるが、今日の新聞報道は、大阪の橋下知事が、朝日新聞の社説(橋下知事のタレント弁護士時代のテレビ発言について、橋下敗訴判決を論じた上で、橋下氏の責任を厳しく指摘し、弁護士を返上したらと論説)にたいして、こともあろうに、伊丹市の陸上自衛隊伊丹駐屯基地で開かれた「中部方面隊48周年記念行事の祝辞で、「人の悪口ばっかり言っているような大人が増えると日本はダメになります」と言ったと報じている。
橋本徹氏はテレビタレント時代に、この光市母子殺害事件の被告弁護団を「懲戒請求」するようテレビでよびかけ、視聴者を煽っておきながら、自分は「懲戒請求」をしなかったばかりか、「被告弁護団」から名誉毀損で訴えられても、一度も裁判所には出廷せず、敗訴した。
弁護士への懲戒をもとめるとは、何という傲慢。
「光と影」のドキュメンタリーの被告弁護団の闘う姿を見て、人生の年輪、深さ、社会に対する思いの深さ、橋本弁護士とは、全く質的に違うレベルいる人々ということが分かった。

「自分と意見が違う」から「懲らしめ」をと視聴者に呼びかけ扇動する。地裁で「敗訴」となるや、「私の法解釈が誤っていた」などと形式的に謝罪しながら、高裁で争うつもりか「控訴」した。なんという支離滅裂。
このような身勝手さを許しているのは誰か。
甘ったれるなといいたい。このように甘えさせているのは誰か。
テレビに代表されるマスコミである。
視聴者である我々だ。
選挙民である我々だ。

このような風潮は非常に危険である。
このようなマスコミのなかにあって、「光と影~光市母子殺害事件 弁護団300日」という番組を制作する人々がいたということは、とても驚きである。





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最終更新日  2008.10.21 10:45:10
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