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2001年(フランス)セザール賞、主要4部門受賞作品 / サイコ・サスペンス
監督賞(ドミニク・モル) 主演男優賞(セルジ・ロペス) 編集賞(ヤニック・ケルゴ) 音響賞(フランソワ・モレル/ジェラール・ランプ)
パリで日本人のフランス語講師をしているミシェルは、蒸し暑い夏の日、妻と3人の子供たちを車に乗せ高速道路を南へ飛ばしていた。
バカンスを家族と過ごす為、緑豊かな山奥に古い別荘を購入している。
でも、運転している車は整備不良のワゴン車で、クーラーも効かず、暑さで子供たちはぐったりし、ぐずり始める。
赤ん坊の泣き声、幼い娘たちの奇声、妻のイライラ・・・蓄積するミシェルのストレス・・
無理をしている幸福感が描写され、破裂寸前のミシェルの心理状態が映し出される。
休憩の為、途中で立ち寄ったサービスエリアで、ハリーと名乗る高校時代の同級生に会ったことからこの映画の狂気の本筋が始まっていく。
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この映画がとても秀逸だと感じたのは、この映画が、単純に観客の恐怖心だけをあおった猟奇的サイコ・サスペンスではなく、むしろ真逆で、ありきたりの日常の中に近づいてくる何か得たいの知れない恐怖心、違和感を描いているところ。
ハリーは平凡に生きてきたミシェルの文才を呼び覚まし熱烈に応援しようとする。
美しい花を育てる為、邪魔な雑草を間引くように、常軌を逸脱したハリーの狂気が進行していく。
BGMにクラシック音楽が流れ、狂人のピュアな心理が演出される。
観終わって、もうひとつの考え方が浮かんだ。
この映画のハリーという存在は、実はミシェル中のもう一人の自分、「潜在意識」 を具象化させたものではなかったか・・と。
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