MY HIDEOUT ~私の隠れ家~

Dec 27, 2003
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
監督・・・カーティス・ハンソン


・物語序盤・
デトロイトの中心部は、中産階級の暮らす郊外と“8マイルロード”で隔てられた、貧困層が住まう寂れた街だった。
ここで暮らすバニー・ラビットこと、ジミーはラッパーとしての成功を夢見る白人青年。
しかし現実は厳しく、恋人とも別れ、住む場所も失った彼は、母親と妹が暮らすトレーラーハウスへ舞い戻る。
無職の母はラビットの同級生と同棲していた。
プレス工場で働きながら、夜毎シェルターで開かれるラップ・バトルでの優勝を狙うラビット。
だがラップバトルの司会者をしている友人フューチャーに連れられて出場したバトル本番で、ラビットは黒人達に圧倒されて言葉を発する事が出来なかった…。



個人的にラップは嫌いではないが、特に思い入れも無いという程度なので、本当の意味でこの作品の魅力を理解しきれていないとは思いますが、素人の耳にも彼等のラップは心地良く響きますね。
英語を確り聞き取れる能力があれば、言葉の巧みさがもっと実感できるのでしょうけど…。
日本語の詩や歌などでは、あまり韻を踏む事は重要視されていませんが、英語などでは音の響きがとても大切です。
この映画を観て改めて実感したのは、ラップは頭の回転が速くない人には出来ない芸当だという事。
今の日本のアイドル系の歌手が一部取り入れているラップは別ね(笑)。
あれは単に他人が書いた歌詞を暗記して喋ってるだけだから。
とにかく、ラップ・バトルにおいては、相手が何を言ってくるか想像が付かない訳ですから、瞬時に気の利いた応答ができる機転が要求されます。
日頃から、発音の似た単語やクールな言い回しなど、ネタは万全に考えているとは言え、やはり愚鈍な脳細胞では出来ませんね。
当然、訴えかけたい何かを持っていなければなりませんし。

一番の見所はラスト、ライバル・フリーワールドのラッパー達とのラップ・バトルです。
初戦から勝ち上がり、宿敵との一騎打ち…、思わず自分も観客の一人になって、ノリノリで応援してしまいました。


ラップが一番の見所かもしれませんが、一本の作品としても確りと仕上がっています。
成功を夢見ながらも、自分を取り巻いている現実はあまりにも惨めで、夢見る場所への道程はあまりにも遠い。
友人達と将来の展望を語りながらも、夢を夢見ているだけの現状は誰よりも痛感している。
「夢はいつまで見ていていいのだろう?」
主人公の問い掛けは、多分誰もが一度は問い掛ける自問ではないだろうか?


ラビットとフューチャーの友情は見ていて憧れますね。
実力がありながら、それを発揮できず、ともすれば親友に八つ当たりさえするラビットと、彼の心情を理解し励まし続けるフューチャー。
多くは語らなくとも、肩を叩き合えば互いの気持ちは通じる。
良いですね、こんな友情って。
逆に恋愛に関しては対照的で、元のガールフレンドにしても新しい彼女にしても、精神的に薄い関係でした。
特に新しい彼女に至っては、典型的な芸能人予備軍みたいな子で。
喉が渇いたからお茶を飲むという感覚で、誰とでもセックスする娘です。
ラビットの事はそれなりに好きだけど、私はニューヨークで伸し上がるのよ、といったドライな感覚が如何にも現代っ子ですね。
嫌いじゃないですよ、こういう思考。

さて、映画のラストについてですが、非常に余韻があります。
自慢たらしいサクセス・ストーリーにしなかった点が、好感が持てますね。
これは飽く迄、自伝「的」作品ですから、ラビットの未来に確約された成功はありません。
彼が手にしたのは、高々小さなヒップホップクラブでの勝利の喜びと観客の賞賛でしかない。
これから先、ラビットはどんな道を歩んでゆくのだろう?
神よ、どうか彼に一握りのチャンスを与えたまえ。
振り向かずに手を振り立ち去るラビットの背中に、思わずそう願ってしまう締め括り方でした。

そしてエンド・クレジットのバックに流れるエミネムの曲。
この映画の事をよく表しつつ、彼自身の心情も伝わってきます。
心の何処かに、常に冷めた視線で世界や自分を見据える目を持っている人。
そんな印象を持ちました。
あまり器用に生きられるタイプじゃないようなので、歌詞のように、堕落して刑務所送りにならないようにね。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Dec 28, 2003 08:06:01 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: