敗戦間近、箱根に疎開中のドイツ軍潜水艦長・ネッツバントが変死した。
遺体を発見したのは、旅館に住み込みで働く安西リツ。
この事件の調査をする海軍に通訳として連れ出された法城恭輔は、
他殺の可能性を色濃く感じていた。
しかし、ドイツ軍医・シュルツェは自殺であると断言する。
不審に思い調べを進めると、
事件の背後にはナチス・ドイツの陰謀が見え隠れしていた。
一方リツは、若いドイツ人潜水艦乗組員のパウルと急接近していく。
そしてリツも、否応なくその陰謀に巻き込まれていくこととなる―。
激動する時代と、そこで力強く生きる人々を緻密な描写で描いた、
傑作長編ヒューマン・ミステリ。 (「BOOK」データベースより)
終戦前後の日本を舞台に、ドイツ、アメリカ、ソ連の思惑と、
個人の主義・主張、利害が錯綜して、単なる犯人探しミステリで終わらない。
箱根の旅館の女将、旅館に住み込みで働くリツ、ドイツ人新聞記者オルガ・・・
この作品の女性陣は、したたかで愚かなくらい図太く、そしてたくましい。
男に翻弄されているかのようだけど、どうしてどうして・・・
戦争の狂気とともに、女性の強さが印象に残った小説でした。。。
変死したUボート艦長・ネッツバントの
「人は同心円上で命の重みを量る」もので、
「自分に近い人であればあるほど、その命は重くなる。
同じ国の者であるという線を越えると、とたんにその先はもう同心円でなくなり、
人も虫けらも同様に混在する世界となる」という考え方に納得。
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