成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.04.15
XML
カテゴリ: バス産業
本日は午後から、財団法人道路経済研究所主催「都市バス研究会」に参加した。計6組の貴重な講演を拝聴したが、印象的だったのは中村&鈴木の「ダブル文彦」のお話だった。

まず横浜国立大学の中村文彦先生のお話の中では、コペンハーゲンとバンクーバーの事例に驚かされた。限られた文字数でご説明できるような代物ではないから詳細は省略するが、まったく新しい発想で市内バス事業を運営する姿勢(たとえば、一切時刻表がない。乗務員さえ時刻表を持たず、電子的に前の便との間隔が伝達されるので、前の便との運行間隔を均等にすることだけを運行指標とする、など)には心から驚いた。他の先生方の講演の中に「公営交通を民間に委譲することによって民間のノウハウを活用し効率化する」というお話も当然のように出てきたが、このコペンやバンクーバーのような、ビジネスモデルそのものの大転換は、逆に民間では難しい。たとえばバンクーバー交通事業局の「ガソリン税など資金も投入させてもらう。その代わり公共交通への責任を持つ」という強い意志とリーダーシップがなければ実現しないレベルと感じた。

交通ジャーナリストの鈴木文彦先生からは、このブログでも何度か紹介した札幌市の「北海道中央バスの路線廃止問題」について詳しくご説明があった。一方、時間の都合で、松山、山口、盛岡など、鈴木先生ご自身もたずさわった「市内バスの活性化に成功した事例」をゆっくりご紹介いただけなかったのは残念だったが。特に松山については、先日の松山出張の折りに地元の知人(バス業界とは関係ない)から、地元事業者の接客が非常によく利用して気持ちいいというコメントを聞いていただけに詳しく状況を聞きたかったところである。

ただ、いずれにせよ、上記コペンハーゲンやバンクーバーの事例と比べてなんと小さな成功事例であることか。そしてきわめて属人的である。たまたま地元自治体の首長や交通担当者がバスに熱心だったり、たまたま鈴木先生と縁があった地域だけは何とか市内バスを活性化できるが、それとて所詮は既成ビジネスモデル内での変革にとどまり、たまたま熱心な担当者がいなかった札幌市ではそもそも何も変えられないまま泥沼化する「一勝一敗」モデル・・・鈴木先生や各事業者のご努力は(バス愛好家?として)よくよく存じ上げているが、地域単位で成功事例を積み上げていく「ボトムアップ型」ではなく、まずバス産業再生に向けての大きなフレームワークを提示し、それに基づいて地域単位で対策を考える「トップダウン型」でなければ、危機にある日本のバス産業を救うことはできないのではないか。

少なくとも札幌市の事例を(直接の関係者には大変失礼な話だが)きっちりと「失敗事例」として業界全体に共有し、「(政令指定都市であっても)赤字で平バスを維持できなくなる」危機感と、「既得権に基づきビジネスをし、かつ税金投入も受けている路線バス事業者は、(札幌でそれが起こったように)いつなんどき社会的悪者として非難を浴びるかわからない」緊張感を認識しないと、このままでは何も変わらない気がする。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.04.16 20:09:21
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

nalys

nalys

Comments

京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

Calendar

Archives

2026.10
2026.09

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: