成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2009.12.29
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カテゴリ: 高速路線バス
街を歩いている人たちに「『ジャガー』というブランドを知っていますか?」と尋ねると、多くの人が「ああ知ってますよ。外車ですよね」と答えるだろう。「ジャガー」はまあまあ知名度が高い輸入車ブランドということになる。一方で同じ人たちに「あなたが知っている外車のブランドを全て挙げてください」と言うと、クルマ好き(ちなみに私はコンパクトな仏車が好きで、今はプジョー206なのだが…)ならともかく、多くの人(その辺のおばちゃんとか)は「ベンツ、ポルシェ、あとなんだっけ、BMW。ええっと…」というような答えになって、ジャガーの名前を出せる人はぐっと減るだろう。前者の「○○という社名、ブランド名を知ってますか」という問いにイエスと答える率が「知名度」であり、後者の「○○ジャンルの社名、ブランド名を挙げてください」という問いに名前が挙がる率が「絶対知名度」だ。

では、という話である。では「高速バス」の場合はどうか。「高速バスという交通機関を知っていますか?」という問いへの答えは、多くは「はい」だろう。つまり高速バスは比較的「知名度が高い」ということだ。一方、「○○へ行く交通機関を全て挙げよ」という設問ならどうだろう。いつも書いているように、地方都市において「東京(あるいは大阪)への交通機関」ならば、かなりの確率で「鉄道、飛行機、高速バス」だろうが、大都市において「○○温泉への」「○○県への」ならば、「鉄道、クルマ。あとなんだっけ?」となる人が多いだろう。高速バスの「絶対知名度」は、マーケットによって異なるということだ。

また(用語の解釈は人によって異なるのだが)「知名度と認知度」という話もある。いくら「高速バスを知っている」と言っても、「座席が狭くてキツイし、渋滞でよく遅れる」という印象を持たれているなら、(完全に誤解とは言えないものの)高速バスのことを正しく認知してもらえているとは言えないだろう。専用車両の快適性とか、実は低い遅延率とかをもっとアピールしなくてはならない。また、じゃあ高速バスに乗ってみようと考えた人が、実際に高速バスに乗るにはどうやって予約すればいいのか知っていなければ「認知度がある」とは言えないだろう。

事業者の社員や愛好家の皆さんは、どうしても「利用者は高速バスのことをよく知っている」という前提で物事を判断しがちだ。自分自身がよく知っているからである。しかし実際の利用者(特に大都市圏の)にとって高速バスの認知はどれくらいだろう。例えば東京や大阪を朝出発する新幹線や特急電車の車内に高速バス事業者の社員さんが乗り込んでいって、一人ひとりの乗客に名刺でも渡しながら「お客様はどちらまでですか?ああ、○○市までですか? 実は△△バスの者なんですが、○○市までなら高速バスが1時間に1本走っていて運賃はお得、車内はこんなに快適なんですがご存知でしたか?」と尋ねて回ったとしたら、7~8割くらいの乗客が「いやあ、知らなかったよ」と答えるに違いない。そのうちの多くは「でも、ごめん、出張だから旅費も会社から出るし30分でも早く着く電車の方がいいんだ」とか「車酔いするからバスはダメなんですよね」と言うかも知れないが、何割かは「先に言ってくれてたらバスにしたのに」「次はバスを使うよ」と言ってくれるだろう。仮に新幹線や特急電車1編成の乗客のうち10%が「次はバス」と言ってくれたら、それはバス何台分になるだろう? ちなみにそれが観光客なら次の旅行が同じ目的地であることは少なく、次回は別の事業者のバスということになってしまうわけだが、もし中央線の車内で京王の社員が、上越新幹線で西武の社員が、常磐線の車内でJRバス関東の社員が、それぞれ東京発の高速バス一覧表でも手渡せばお互い様ということだ。もっとも、本当にそんなことをすれば電車の車掌さんからつまみ出されるだろうが。

しかし、端的に言えば、私たちがやりたいことはそれなのである。会員の属性情報(登録住所や年齢、性別など)やウェブ上の行動に基づいて、適切と思われる方法で高速バスの存在や魅力を訴求することなのである。一例で言えば 地域を限定して高速バスの情報を伝えるメールマガジン がそうであり、 温泉旅館を予約しようとしている人に高速バスの情報をお見せする とか、 就職活動のために東京に来る学生にバスを勧める とかがそうだ。

そのためには、商品サイドにおいては、いつも書いているように「あらゆる高速バス(定期観光バス、空港連絡バスを含む)」の取扱をさせてもらうことが一つのゴールだし、「新しい高速バス(それは新しい路線や車両タイプという意味のみならず、“さらに新しい事業モデル”という意味を含む)」を各社が作り上げていくためのアイデア出しやお手伝いをすることが重要だ。ふだんここではあまり書かないが、集客サイドでも、マルチリンガル化(外国語対応)やらダイナミックパッケージング化やら、その他ここでは書かない(書けない)がやりたいことは山ほどある。当然会社だから使えるコスト(人件費や開発費など)に限界があるからあきらめるしかなく翌年そしてその翌年と積み残していっている「宿題」も山ほどあるのだ。年末年始、いちおう私はお休みなので、来年以降の事業のあり方をゆっくり考えていこう。






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Last updated  2009.12.29 17:38:28
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Re:高速バスの「絶対知名度」~年末の言葉に代えて~(12/29)  
経済人@尾張藩 さん
いつも、ブログを拝読しております。
今回の「熱い」内容に、「俺も同感だ!」と叫んだ次第です。
高速バスはもっと選択されるべき交通機関だと考えます。より気軽に、いや意識せずとも選択される(=意識される)交通機関であるべきでしょう。
そのためにも既存概念の打破した、高速バスの将来像を皆が真剣に考えるべきだと考えます。 (2009.12.30 12:18:03)

Re[1]:高速バスの「絶対知名度」~年末の言葉に代えて~(12/29)  
経済人@尾張藩さん、コメントありがとうございました。またお返事が遅くなって申し訳ありませんでした。
さておっしゃる通りだと思います。書きました通り、全体から言えばほんのわずかな数ですが、高速路線バスが私のサイトにもこれから登場していきますので、そうなると各社の考え方も少し変わっていくかな、と思います。インターネットは自動販売機ではありません。各社努力と工夫をしなければ数は売れません。その辺りを感じていただければ皆さんの意識も変わっていくのではないかと期待をしています。本年もご愛読ならびにコメントどうぞよろしくお願いいたします。 (2010.01.05 18:11:31)

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