成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.02.23
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カテゴリ: バス産業
事業者に営業でお邪魔した際、初対面の方から「ブログ読んでますよ」と声をかけていただくことが続いた。突然のことで聞きそびれてしまったが、どうやってこのブログを知ったのかお聞きしたいところだ(お心当たりの方、また今度教えてください)。やはり 『バス経営情報』 からリンクを貼っていただいているのが大きいのかな。このブログを読んでいただいている事業者の経営者、担当者の方はけっこうな数いらっしゃるはずだが、私の方から「適当なことばかり書いていますが、よかったら」とURLをお渡ししたか、または私のことをよくご存知の方が私の名前を検索してたどり着いたかのどちらか(あとは、いま現在の仲間たち、つまり高速ツアーバスの関係者)だと思っていたので、あまりいい加減なことは書けないなとあらためて背筋が伸びる感じ。

さていま既存事業者にお邪魔すると、とにかく「いいお話」を聞かない。足元のバスの数字も悪いようだし、それ以上に流通・レジャー・不動産など「副業」の数字が悪いとのこと(もっとも鉄道やバスなど運輸業を「本業」とするならそれらたしかには「副業」だが、 前に西日本鉄道を例に書いた ように、むしろそっちこそ「本業」といってもいいくらいだ)。世の中的に「景気が悪い」のは間違いがないし、さらに「ツアーバス問題」「1000円高速」「補助金削減」……いったい何なんだよ! なんでこんなにバスを取り巻く環境はどんどん悪くなるんだ! (「どうせウチの会社は安泰だから」と親方日の丸気分でタカをくくっている人以外は)本音を言うと大声で叫びたい気持ちだろう

しかし、ではなぜバスを取り巻く環境がここまで悪くなったのかについて、きちんと把握する努力を皆さんしているだろうかと問いたい。 よく「経済を考えるにあたって、短期的な『サイクル』と長期的な『トレンド』に分解して理解する必要がある」と言われる。一口に「数字が悪い」という上で、どの部分が短期的(表層的)で、どの部分が長期的(構造的)な問題なのか、分けて考える必要がある。

2008年ごろから、いわゆる「リーマンショック」に代表されるように世界的に経済不順が続いている。その結果我が国でも消費全体が小さくなる、バスにかかわる部分では人の移動全体の量が減る。その結果として「平場」の路線バスや高速バスの乗客が前年度より減る。円高によるインバウンド減少も加わり、貸切バスの仕業はさらに減る。それは明らかに短期的な「サイクル」の中で起こっていることだ。ウェブマーケティングをうまく活用した高速ツアーバスが急成長し既存の高速路線バスの乗客まで奪っていったというのも短期的な話で、既存側もウェブマーケティングを活用してパイをもっと大きくすればいいし、制度的に「アンフェア」というならより適した制度に変えていけばいい(現実にそういう流れにある)。

だがしかし、もっと「歴史」の視点で俯瞰してみた場合、そのような短期的な変化、つまり「景気が回復したり何か手を打ったりすればやがては元に戻る」悪さではない、長期的構造的な悪さが見えてくるはずだ。まずもってわかりやすいのがモータリゼーションの進展である。1960年代のエネルギー革命によって国内のエネルギー需要が急激に石油にシフトしたことで大いにすたれてしまった石炭産業や、家庭に風呂があるのが当たり前になったことで縮小を余儀なくされた銭湯のように、クルマという便利な移動手段を一般市民が手に入れたこと(その裏側には、所得水準が上がったとか乗用車の価格が下がったとかAT車の普及でお年寄りでも運転しやすくなったとか様々な背景があろう)によって、それまで路線バスを必要としていた人たちがバスを必要としなくなっているという構造的な変化がある。貸切バスにおいては、団体旅行から個人旅行へという旅行形態の大きな変化もある。不動産や流通といった「副業」分野では、駅前一等地に土地や店舗を持っていることの価値は、中心市街地の空洞化とともに相対的に低下し続けている。日経の記事によると、先日閉店が決まった百貨店の売上高は、ピークだった20年前に比べて半減しているが、それを年率に直すと毎年3%減にすぎないのだという。「暖冬だから冬物が売れない」などと言い訳を繰り返すうちに売上が20年で半分となってしまったのである。

いやそもそも、バスに限らず、この国のあり方自体が岐路を迎えつつあるのだ。この国を「市場」としてみた場合、従来は一貫して人口が増加するとともに一人当たりの所得水準も向上していたので、その「掛け算」で市場規模は拡大を続けていた。しかしいま、人口の増加も一人当たりの所得水準の向上も、両方が停止している。そしてもっとも大切なことは、多くの既存事業者(いや、多くの日本企業)が、右肩上がりだった時代にその経営が形作られ、いまでもその時代の環境を前提に事業を続けていることだ。

具体的には、以前 『既存事業者と言う名のビジネスモデル』

全国の既存事業者について、失礼ながら私がもっとも危惧するのは、そのような国の「親心」にも気付かず、そもそも上記のような長期的構造的(あるいは「歴史的」)な変化にも気付かず、足元における短期的な変化にだけ目が行きがちな姿である。いやむしろ、 『「花見酒」から「マッチ売りの少女」へ』 の項で書いたように変化に目を背け「よかった頃の思い出」に引きこもろうとする姿さえ目に付く。いま国では、交通基本法制定への準備や「バスネットワークの将来像に関する研究会」など複数の取り組みが並行して続いているが、バス事業者(特に若手社員)はこのような動きについてもっと真剣に情報を集め、それに対し自分自身の確固たる意見を持つべきである。少なくとも、20年か30年のちに経営者の立場に立つであろう優秀な若手は、そのための訓練としての意義も含め、「バス事業の(遠い)将来」について真剣に考える始めるべきだ。このままだと、バスでメシを食えない時代が、本当にやって来るかも知れないのである。





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Last updated  2010.02.24 00:21:46コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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