成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.04.05
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カテゴリ: 高速路線バス
3日発売の 『日経トレンディ5月号』 の特集「得する旅行術」で高速バスをご紹介いただいた。同誌については、 昨年の4月号 でまさに高速バスを大々的にというか、ウィラー・トラベルや旅の散策ツアーズなど多くの会社のバスを比較する特集を組んでくださったからそれと比べるとさすがに規模は劣るが、ビジネス向け仕様の上級車両、夜行便で到着後すぐに朝からチェックインできる宿泊施設、さらには東京~名古屋あたりの出張なら早めに切り上げて夕方便で戻ってくるなど、出張客を意識した情報を数多くご掲載いただいている。

本特集を担当なさった記者さんは、初めてご取材(当時は同社の別の雑誌の編集部にいらしたが)でお目にかかったのはもう3年ほど前のことで、高速路線バスと高速ツアーバスを巡る状況については様々な角度からよくよくご理解なさっている方であるし、今回は私としても、会社としては未だお取扱がない事業者の高速路線バスの情報についても、ネタとしてはご提供させていただいている。しかし結果として紹介されているのは昨年同様、ウィラー・トラベルを中心とした高速ツアーバスがメインであり、一部にJRバスの情報が出てくる程度である。もちろん今の私の事業にとってはありがたい話で大変感謝しているが、一方で業界内では、このようにマスメディアにおいて高速ツアーバスが「高速バス」として紹介されることについて、微妙な感覚をお持ちの方が多いこともよく理解している。

なぜあらためてそんなことを書くかというと、こうやってあらためて誌面で見せられると、私自身も「微妙な」感触を持ってしまったからだ。ずいぶん前に、プロ野球パ・リーグの審判員が「個人的には巨人ファン」という趣旨の発言をし、リーグが異なるとはいえ審判員が特定のチームに好意的だと世間から思われるのはよくないと非難を浴びた件があり、その意味では中立的なマーケットプレイスを標榜する会社にいる身でこのようなことを書くのは本当はよくないのかも知れないが、私自身、個人としての「高速バスの原点」は私鉄系事業者同士の共同運行で多頻度運行される所要2~3時間程度の昼行路線であり、長距離夜行路線、それも高速ツアーバスがさも高速バスの代表事例かのように紹介されることに、さしたる理屈はないのだが違和感を覚えてしまったのだ。さらに既存事業者の中の一部の方が、こういった記事を取り上げて「ツアーバスが高速バスと名乗るのはおかしい」とあちこちでおっしゃるのを想像すると気分が重くなる。

高速ツアーバスについて「高速バス」という名称を使用することに関して私たちでは、問題がないことを行政によく確認した上で使用している一方で、一部の事業者などからは、そのような表現を規制すべきだという意見も聞くというのが現状である。だがここで気分が重くなると書いたのは、法解釈について異なる考えの人たちがいることに対してではなく、そのようなネガティブな発想こそが、高速路線バス自身の成長を妨げているように思えて仕方がないからだ。

別に高速ツアーバスが満点だという気は毛頭ない。運用面では特に課題があろう。しかし、『日経トレンディ』という、いわば「企業の消費者志向性をまとめて本にしました」というようなコンセプトの雑誌が、いい加減な取材ではなく(高速路線バスの情報も踏まえた上で)、それでも高速ツアーバスを中心に取り上げる、いや、取り上げ“ざるを得ない”状況は、一体なぜ生まれているのか。その疑問に真摯に向き合って理由を探ることを避け呼称問題に矮小化し、ただただ従来の自分たちのやり方だけを「正」とし変化を拒み続ける限りなんら本質的な解決にならず、高速路線バスがより広くマーケットに受け入れられることはないだろう。同誌や別のメディアによる同じような企画が今後またあったとしても、またもや高速ツアーバス中心に紹介されることになるだろう。逆に、高速ツアーバス各社の柔軟な商品性と、高速バス同士の競争による商品の進化がなければ、仮にこのような企画があったとしても高速バスに大きくスポットが当たることさえなかっただろう。

だから私には(以下は感覚的な話で恐縮だが)、高速ツアーバスについて「高速バス」という名称を使わせたくないという既存事業者の考え方こそが、結果として自らの首を絞めているようにしか思えないのだ。既存事業者各社が、高速ツアーバスを「もう一つの高速バス」として、つまり蹴落とす対象としてではなく競争相手として認識しそれをハラに落とし込み、盗めるところは盗んで自らの商品に肉付けをしていくことこそが、彼ら自身の次なる成長のために大きなきっかけになると信じている。その意味では、 「内部補助理論」の誤謬 と並んで、この「高速バス呼称」の件は、高速路線バス再成長に向け、苦しくともクリアしなければならない象徴的な二つの大きなハードルであるし、その「踏み絵」を踏むことができればさえ彼らは必ず再び成長できるだろうと考えている。何度も繰り返すが、私自身、全ての内部補助を悪だとするつもりは一切ないし、高速ツアーバスのことを「高速バス」と呼ばせたくない気持ちもよく理解している。しかしそれでも、内部補助理論を否定し、高速ツアーバスの存在を「もう一つの高速バス」として認知させることにこだわるのは、この二つの問題こそが既存事業者に「変化を拒む(自分への)言い訳」になり得るからであり、そのことが彼ら自身の成長を妨げている象徴だと考えるからである。






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Last updated  2010.04.05 19:04:36
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「高速バス」にこだわりたい  
経済人@尾張藩 さん
いつも、ブログを拝見しております。
ここ数日は出張が続きましたので、コメントが遅くなりました。
さて、今回の内容ですが、私は「高速バス」という言葉に強くこだわっています。
というのも、「『高速バス』とは何なのか?」という定義が明確でないからこそ、高速路線バス事業者が高速ツアーバスのことを「ケシカラン!」と声を荒らげ、高速ツアーバス側も当初は遠慮がちに「高速バス」という言葉を使っていたものと思います。
「高速バス」を法令上で明確に定義し、それを踏まえた上で、事業者の自由な発想と創意工夫によって、高速バス市場を健全に成長させていくべきかと考えます。
ちなみに、私自身、高速バス=高速路線バスとは考えてはおりませんので、「踏み絵」をしっかり踏んでいるつもりです。 (2010.04.08 00:07:23)

Re:「高速バス」にこだわりたい(04/05)  
nalys  さん
経済人@尾張藩さん、コメントありがとうございます。
「踏み絵を踏んだ」上でのご発言だけに、ただただ「ケシカラン!」というのと比べて説得力がありますね。この問題も、それぞれの立場の意見がそれぞれに理解できるだけに難しく感じます。私個人の信念としては、本文に書いたように高速バスは一般名詞だと考えてはいますが。
他業種に視野を広げると、「ビール/発泡酒」「牛乳/加工乳/乳飲料」など法律や省令等で定義が決まっているものもありますし、「歯磨き」「栄養ドリンク」等は名称としては一般名詞で、医薬品か医薬部外品かによって販売手続きやパッケージ上の表記が異なっているだけのものもあります。はとバス様のサイトやパンフ上で「定期観光」のページにある商品は、乗合許可の定観と募集型企画旅行のコースが並んで表示されています。JTB様等大手旅行会社のホテル予約の「宿泊プラン」にも、手配旅行のものと募集型企画旅行(宿泊だけでも。要するに高速ツアーバスの宿泊版)のものが並んでいます。あくまで私の感覚としては、歯磨きやはとバス同様、「高速バス」は一般名詞で、必要な表記(旅行条件書等)はちゃんと見せる、でいいのではないかと考えています。
ちなみに、仮に行政が名称について規制をかけるとすれば、「規制しろ!」と叫んでいる方々のご希望とは裏腹に「乗合型高速バス/企画募集型高速バス」となってしまうと思いますよ。この状況で、どちらか一方だけを「高速バス」とするのは色んな意味でリスキーですからね。高速路線バスこそ「高速バス」だ!とおっしゃるお気持ちはもちろん私もよくわかってはおりますが・・・・・・
引き続きコメントをお待ちしています! (2010.04.08 18:40:45)

それでも「高速バス」にこだわりたい  
経済人@尾張藩 さん
nalysさんへ、早速コメントいただき、ありがとうございます。仕事が忙しく、なかなか再コメントできなくて、ごめんなさい。
>「規制しろ!」と叫んでいる方々のご希望とは裏腹に「乗合型高速バス/企画募集型高速バス」となってしまうと思いますよ。
乗合型であろうと企画募集型であろうと、それらは事業の手段であり、事業者が自由に選択できる形が良いと考えます。
高速バスは旅客の命を預かる事業である以上、安全基準を中心に基本的なフレームワークを定義し、あとは事業者の創意工夫に委ねる方法が良いと考えるのです。
例えば、バス停の使用は道路占有者の許可を前提に原則自由使用とする。続行便や臨時便の傭車は可能とする。一方、あらかじめ(少なくとも1カ月前までに)運行時間を提示するとともに、たとえ乗客が0人でも必ず運行させる、などなど。
また、ご意見をいただければ幸いです。 (2010.04.21 01:35:31)

Re:それでも「高速バス」にこだわりたい(04/05)  
nalys  さん
経済人@尾張藩さん、お忙しいのにコメントをいただき本当にありがとうございます。「それでも…」というタイトルにお気持ちの強さを感じます。
お書きになっている「新制度の案」は、共感できる点が多いです。ただ、前に書いたように、今の私の立場で中途半端に私案を発表してしまうのは逆効果な気がするので、この場で個別に感想を述べることは控えさせてください。「腹案がある」と口走ってしまって困っているエライ人の例もありますし・・・
ただ、お気持ち、お考え、よくよく伝わってきます。高速バスにたずさわる人の多くが、経済人@尾張藩さんと同じように真剣に高速バスのことを考えている状況だったら、高速バスはもっともっと大きく成長していたのに、と思います。
せっかくコメントを制度面でのご提言をいただいたのにちゃんとお返事できず心苦しいのですが、引き続きご意見を楽しみにお待ちしています。 (2010.04.22 19:35:06)

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