成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.04.27
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カテゴリ: バス産業
昨日から、宮崎交通の 定期観光バス「日南コース」 先日書いた ように、やがては定観や発地型・着地型双方のバスツアーも、臨界点に達すると急速にウェブでの集客が膨らむと思うが…)が、この事業者の現在の商品ポートフォリオを見ると「まずは定観から」という選択は悪くない。

私のサイトの役割は「ウェブで予約を受け付けること」ではない。正しくは「ウェブマーケティングにより新しい需要を掘り起こし、最終的にそれをウェブ上で予約まで成立させること」である。その象徴が手数料率で、システムだけを担う発車オーライネットはもちろん、ウェブ上での発券を主な役割とする大手旅行会社系サイトに比べても手数料は高めだ。事業者から見れば、テレビCMや新聞広告などを通して認知を上げるためのマーケティングコストを、ウェブ上での予約・発券に伴う手数料に上乗せして払うイメージだ。もちろん、実際のテレビCMと比べれば圧倒的に安上がりだし、コストは実績に応じてのみ発生するという利点はあるが。いずれにせよ事業者にとっては、相応のコストをかけることで認知を拡大し新規需要を開拓するための「攻めのツール」である。

九州以外の現状を見ると、いつも書いているように特に大都市側において高速バスの認知が著しく低い。一般的な大都市住民の移動の際、高速バスがその選択肢にさえ挙がってこない。選択肢として思いついても、方面別に事業者が分かれ予約窓口もバラバラでわかりづらい。ウェブマーケティングの導入が一刻も早く待たれる状況であり、高速ツアーバス各社が先にそれを本格活用したものだから、高速ツアーバスこそを高速バスの全てだと認識している利用者も多いという微妙な現状だ。だからこそ、九州以外の高速バス事業者がウェブマーケティングを導入すれば高速バスの認知が一気に拡大し利用者数が大きく伸びることが予想される。彼らには「攻め」のツールが必要だ。

だが九州内に限ると、高速バスの認知は十分だ。九州内を移動する多くの人にとって、少なくとも「選択肢の一つ」ではあるはずだ。だから九州の事業者にとって(本州向けの夜行便は別として)有効なのは「攻め」ではない。必要なのは、一つはせっかく選択肢として候補に挙げてもらっていながら他の交通機関を選んでいる利用者に対し高速バスを選ばせることであり、もう一つは、抜本的な乗客数の伸びが期待できない以上、現状の乗客数のままで、サービス水準を落とさずとも効率的に利益を上げる手法を考えることだ。

前者では、キーは結局「商品そのものの魅力」である。例えば福岡県~宮崎県の全流動に占める高速バスの輸送シェアをみると、普通なら大都市(この場合は福岡県)在住者のシェアは低く逆に地方側(宮崎県)在住者はシェアが高いものだが、同区間に限っては逆転している。理由は簡単。競合相手が鉄道ではなく自家用車だからである(2005年時点でのデータ)。さらにその後「1000円高速」もあり、高速ツアーバスが成功(多頻度昼行路線としては全国でも稀な例だ)しその高速ツアーバスで宮崎側の無料駐車サービスが好評という事実もあり、さらにまもなく開通する新幹線の新八代まで自家用車で出るケースが増えることを考えても、駐車場サービスを提供する、あるいは宮崎朝発→福岡夕発の「現地ダイヤ」だけは宮崎市心より郊外発着を優先するなど、宮崎側での自家用車対策が肝要だろう。多様化する利用者ニーズ(高くても快適さを求めるか、窮屈でも低価格を求めるかなど)に対しては「皆割フェニックス」で成功しているが、本来ならば全便でカテゴライズされた多様なサービスを提供すべきであり、さらにそれらの施策を認知させるトリガーとして、京王系の高速バスが得意とする期間限定の大幅割引も有効だろう。

後者では、多すぎる所定便の数を多少絞って効率化を図りつつ輸送力を低下させないために、効率的な続行便設定体制の開発や、それをサポートする精度の高いフォーキャスト(需要予測)手法の開発、乗車率の平準化を図りつつ事業者の収益性を高めるための繁閑に応じた価格設定(完全なダイナミックプライシングは無理でも、現行回数券を廃止した上で中央高速バス「トクワリきっぷ」のような平日限定回数券の導入など)といった手法が考えられる。いずれにせよこの種の路線で必要なのは、認知を上げバスを選択肢に入れてもらうための「攻め」のツールではなく、バスの存在は認識しているが結局他の輸送モードに流れている利用者をバスにつなぎとめる、あるいは、今後ますます攻勢を強める高速ツアーバス(あるいは新規参入の高速路線バス)に逸走させないための「守り」の強化が最重要だ。かつて「フェニックス族」という言葉が生まれたように、宮崎~福岡線では、天神へショッピングに向かう若者の姿が目立つ。彼らの目的は、実際には買い物そのものというより、いわば天神で「新しい空気」を吸うことなのだ。しかし「フェニックス号」は、運行ダイヤやルートも愛称も、バスのカラーリングも内装も、私が初めて乗った20年前とさほど変化しておらず、それではやはり「シンデレラの馬車」の役は務まらない。

「高速バスの聖地」九州でさえ、高速バスにはまだまだやるべきことがある。いや、もう余地が無いほど認知拡大が進んだ九州だからこそ、上記のように商品そのものに焦点が当たると言っていい。商品そのものが課題なら、直接的には私たち予約サイトの出る幕は当面無く、他県からの観光客をターゲットとする定観から取扱を始めるというのは、経営的な苦難を乗り越え外部の血を招き生まれ変わった同社こその現実感ある選択だ(将来的にはいろいろ思いもあるのだが)。今回お預かりすることとなった定観については仕事だから当然拡販の努力を惜しむ気はないが、同社にはぜひ、(直接的には)私の手の届かぬところで、高速バスの明日についても真剣に考え続けていただきたくことを大いに期待している。





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Last updated  2010.04.27 18:26:39 コメント(2) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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