後発組さん、いつもありがとうございます。

>物品とバスは、同じ土俵で考えられないと思いますが。。。

はい、それはたしかにそうです……ちなみに今回「ヨドバシカメラ」とか例え話をしたのは、何度ご説明しても、ウィラーやオリオンとウチの立場の違いが理解できない(ウィラーとウチが競合同士だと思っている)とか、逆に、発車オーライネットや高速バスネットとウチが競合同士だと思っている人が減らないからなんですよ。「リテーラー」「リテールサイト」という概念がどうしてもわかりづらいらしく……まあ一般の方から見れば、高速路線バスの共同運行などもかなりわかりづらいようですし……

またコメントをお待ちしています! (2010.06.02 20:43:03)

成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.06.01
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カテゴリ: 高速路線バス
昨日の南部バスの記事 の件だが、弘南バスと南部バス、青森県の事業者2社それぞれの選択が興味深い。一方は自社ブランドで高速ツアーバスに参入するとともに既存の高速路線バスも含めて一部の席を私のサイトに預け、もう一方は商品そのものをウィラーに預けウィラーの商品として私のサイトに登場する。この違いは、少し補足説明が必要かもしれない。

まず、旅行業界には、企画実施(商品を造成し、実際に催行すること)をメインとする「ホールセラー型」旅行会社と、彼らが作った商品を利用者一人ひとりに販売することを主とする「リテーラー型」旅行会社がいる(JTBなどはその両方をやっているので「総合大手」などといわれる)。なぜそんな風に分かれているのかというと、商品造成にあたってはそれぞれ得意な分野に注力する方がいい商品ができる(最も典型的なのが、専門性の強い「登山ツアー」とか「遺跡ツアー」)一方で、利用者は商品ごとに別々の旅行会社の窓口を使い分けるほどの情報が無いからとりあえず近所の旅行会社の窓口に行くので、それぞれの窓口ではなるだけ多くの商品を揃えることが求められるからだ。結果として「メーカー」と「小売店」のような関係が成立している。総合大手に当たる近畿日本ツーリストや阪急交通社を除けば、京王観光など多くの私鉄系旅行会社はどちらかというと「リテーラー型」である。駅ナカ、駅前の一等地に窓口を設置できる点は「リテーラー型」としては非常に大きな強みである。

その意味では、ウィラーはスキーバス時代からの典型的な「ホールセラー型」旅行会社だ。ただしウェブ時代が到来するにつれ「ホールセラー型」はウェブによる直販という販売手法も手に入れたから、今は企画実施と自社商品の販売(小売)の両方を彼らはやっている。一方、私の会社は、ウェブ上に限定されるという意味では新しいものの、従来の基準でいうと「リテーラー型」だ(現実に旅行業免許は「第3種」である)。数多くの会社が企画実施する商品を並べ、利用者に選んで予約してもらうことが仕事だ。同じ「○○トラベル」で、「メーカー」と「小売店」があるのが紛らわしいという声もあるが、三菱電機はメーカーで、ヤマダ電機は小売店だ。角川書店は出版社だからメーカー的存在でジュンク堂書店は小売。それと同じである。

したがって弘南バスの選択は、「パナソニックのテレビ」で例えると、これまで系列のパナショップでしか売っていなかった(いわば、そのパナショップのPOSシステムを請け負っているのが「発車オーライネット」である)ところを、「ヨドバシカメラ」でも売ることに決めた、ということになる。もちろんパナショップでは他メーカーのテレビは買えないので、「家電のことはよくわからないから、家電が欲しいときには近所のパナショップの親父さんに電話する」という顧客がいる限りパナショップは重要な販路である。一方で、駅前の便利な場所に立地しテレビCMも放映し積極的に集客をするヨドバシカメラで、シャープやソニーや海外製の安いテレビとも比較検討しながら購入したいという顧客が増えている以上、ヨドバシカメラにも卸して販路を拡大する、というのが弘南バスの選択だ。ヨドバシカメラに何台売ってもらうかは事業者側が決めればよく、人気商品は自社系列のパナショップで売り、売れ残りそうならヨドバシカメラに卸せばいい。だから「組んだ」というほどのことはなく、弘南バスから見れば販路の一つとして活用するというだけの話だ。

逆に南部バスは、テレビ作りそのものからは撤退し、液晶やチューナーといった基幹部品の製作に徹する、という選択をした。商品の企画(どんな機能を持たせるか、というのもそうだし、それを月間何台作るか、というような決定、さらにはそれをどの販路で小売をするかの選定まで含め)をウィラーに任せた。だから、もし「今年はテレビが多く売れるだろう」と踏んでたくさん作ったにもかかわらず実際には多くが売れ残っても、在庫を抱えて苦しむのはウィラーであり、南部バスは発注を受けた分をウィラーに納品してしまえばいいのでリスクは小さい。商品企画そのものもウィラーが行なうほか、販売についても、ウィラーが持っている自社サイト(パナショップ)で売るのはもちろんヨドバシカメラやヤマダ電機に何台ずつ卸すかもウィラーの責任と判断で行なわれる。ちょっとややこしいのは、南部バス自らが、パナショップに相当する自社の強力な販売網を(地域限定だが)もともと持っていたので、部品メーカーであるはずの南部バスがウィラーのテレビ販売に「小売店」として協力もする、という建てつけになっている。

ヨドバシカメラである私たちとしては結局、どちらの形であっても取扱させていただけるので一緒なのだが、「心情的」には、せっかくパナショップ(自社での販売力)を持っている既存事業者には、弘南バスと同様の選択をし自社ブランドで勝負してもらいたいという希望はある。一方で同時に、ウィラーらと組むことで、高速ツアーバス各社が育ててきた柔軟な各種ノウハウを手に入れてもらいたいという気持ちも強い。東京線の高速ツアーバスでのパートナーであるウィラーから盗んだ発想やノウハウを、仙台線など「路線」業態の他の路線で活用できるようなら南部バスは本物である(ホテルの世界では普通に行なわれていることだ)。

さて話題は変わるが、弘南バスと同様の選択をした既存事業者の、高速路線バスの取扱が本日から始まった。京王グループ西東京バスの 八王子・渋谷-金沢線 である。意思決定の関係で、まずは同社唯一の単独運行路線として金沢線の昼行便からスタートとなった(他の路線の準備状況についてはここでは書けないが)。私個人としてはもちろん、「京王カラー」が私のサイトに登場したという意味で本当に感慨無量である。業界として見ても、これまで「ヨドバシカメラ」で売っていた「名門メーカー」は、地方の事業者かまたは東京空港交通だけであり、東京空港交通は会社の「格」(というものがあれば、だが)としては十分以上とはいえ、厳密には「高速バス」ではなく、大手私鉄系バス事業者の高速バスの取扱が始まったというのは大きな大きな一歩である。ご協力いただいた皆様と、ご決断下さった同社の経営陣にあらためて感謝を申し上げる。今月はさらに別の大手私鉄系事業者の取扱開始も予定されており、南部バスの件も含め、業界が大きく動いているのは間違いが無い。

何度も繰り返すが、新興メーカーに加え名門メーカーの商品を店舗に並べることそれ自体が、ヨドバシカメラの存在意義ではない。来店客を一人でも増やしつつ、来店してくれた顧客一人ひとりの希望に合った商品を選んでもらうことこそが私たちの役割であり、果断なご決断をしていただいた取引先各社に結果でお返しするために、集客策を練る努力は、どれだけ取引先が増えたとしても、休むわけにはいかない。





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Last updated  2010.06.01 21:29:51
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波の大きさは?  
atio さん
「産交,弘南,東京空港,宮交,南部,西東京」に時代の波を感じます。この波の波及が将来どのような結果をもたらすか楽しみです。バス市場の拡大は勿論,ホスピタリティや安全性なども,より一層向上することを願っています。 また,残された制度的および歴史(慣習)的な課題については,いつか飲みながら議論できれば幸いです。 (2010.06.02 00:32:38)

京王おめでとうございます。  
後発組 さん
物品とバスは、同じ土俵で考えられないと思いますが。。。

歴史・人の思考が9割占めてますし。。

誰が正しい・誰が間違いかは、と言えば語弊を招きますが、
10年後にユーザーが判断してるのでは? (2010.06.02 10:52:07)

Re:波の大きさは?(06/01)  
nalys  さん
atioさん、コメントありがとうございます。

>「産交,弘南,東京空港,宮交,南部,西東京」に時代の波を感じます。この波の波及が将来どのような結果をもたらすか楽しみです。

そうですね。個人的には、最初の時点では周りから「無理」と言われたわけですから、それを考えると感慨深いです。

>また,残された制度的および歴史(慣習)的な課題については,いつか飲みながら議論できれば幸いです。

同感です。制度面では、経済人@尾張藩さんにお答えしたように私は完全に同一化を急ぐ必然性はないという考えです。もし「路線バス会社は高速ツアーバスをやってはいけない」などであればイコールフッティングが必要だと思いますが、南部バスや弘南バスのように、本当に「ツアーバスの方が有利だ」と考えるなら(少なくとも制度的には)高速ツアーバスをやる自由があるのですから。
その上で、歴史(慣習)的、あるいは心情的な部分があることを無視できないことは重々承知しておりますが。

引き続きコメントをお待ちしています。
(2010.06.02 20:28:23)

Re:京王おめでとうございます。(06/01)  
nalys  さん

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