成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.11.29
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カテゴリ: 高速路線バス
高速路線バスの取扱は順調に増えており、そのつど運用のご説明のため各事業者の予約センターにお邪魔する。ある事業者では「マニア」の質問攻めに辟易しているらしく、私がバス好きだとわかると「まさか成定さん、電話で私をいじめたことなどないでしょうね」と冗談が飛んできた。私が高速バスの現場にいた頃には迷惑というほど愛好家の対処に苦労した記憶もないので、まあ、バス趣味の最近の急激な拡がりの結果なのかもしれない。

さて予約センターの皆さんとのお話で最初に苦労するのが、その事業者の高速バスを私たちのサイトで取扱う目的が「販路拡大」であることをご理解いただくことだ。逆に、では彼らは最初、何が目的だと捉えているのか? 答えは「サービス改善」のようだ。もちろんそれは間違いではない。高速路線バスのウェブ予約エンジンは基幹システムと直結しておりバッチ等のため深夜時間帯は予約受付を停止するケースが多く、それが24時間可能になるのでたしかにサービス改善だ。また、事業者の自社予約エンジンの構築は、業務用システムの開発を本業とする基幹システムのベンダーがそのまま担っている例も多く、ウェブ上での予約動線はお世辞にもユーザー向けとは言えない。各サイトに慣れている人には気にならないかもしれない(※)が、初めてウェブ予約を行なう乗客にとってストレスはいかほどか。自分たちが100点満点という気はないが、まあ、餅は餅屋である。

※かなり余談で本筋から離れるが、「慣れ」とは恐ろしいなあという話。サイト上で高速路線バスに寄せられた「お客さまの声」をチェックしていると、いいコメントも多い一方、意外と「乗り場がわかりづらい」という声が多い。私としては、「○○駅○番バス停」と明記でき現場にも停留所のポールが立つ高速路線バスは、高速ツアーバスに比べ安心してご案内できると考えていたのだが、バス停番号を伝えられるより「○○ビル前」とランドマークを指定される方がわかりやすい乗客もいるということだ。あと「車両ドア付近に座席表が掲出されていなくて不便」という声まであった。「乗合出身」の私としては、高速ツアーバス各社が座席表を車内に掲出するのは未だ違和感があるのだが…。そのあたり、バス屋の論理で決め付けることないようにしないと、と、あらためて実感。どっちが上という話ではなく、過去の経験や個人の性格などにより乗客の捉え方は様々、なのだろう。

話は戻って、高速路線バス事業者にとって私たちのサイトに席を入れる目的は言うまでもなく「サービス改善」以上に「販路拡大」である。むしろ、従来からのリピータが電話予約や自社予約エンジン(「発車オーライネット」など)から私たちのサイトに転移すれば、事業者は手数料持ち出しになってしまう。私たちの役割は、あくまでも「これまでその事業者の高速バスの存在を知らなかった潜在的乗客」を高速バスへ導くことであり、「各社の高速バス(高速ツアーバスを含む)を比較検討した上で、自分に合った高速バスを選び出して予約したい」という乗客候補を、最適なバスに誘導することである。

各事業者が既に出会っている(目の前にいる)乗客の外側に、もっともっと数多くの「未だ出会えていない乗客候補(潜在需要)」があることを、各事業者は強く認識すべきである。例えば首都圏~宮城県では、高速路線バスと高速ツアーバス合計の輸送人員は過去5年で約5倍まで成長している。もちろん様々な条件が重なり高速ツアーバスの草刈場となった区間であり全国どこでも5倍になるとは言わないが、少なくとも、高速バスのさらなる成長可能性を十分に示している。そのような先例があるにもかかわらず、「パイの大きさは不変」という感覚から抜け出せないのはもったいない。パイ大きさそのものを変えるという気持ちがなければ、外部環境の変化(高速道路料金の低下、鉄道の商品力向上、高速ツアーバス参入など)により事業が縮小することはあっても拡大することはないだろう。

今後、高速路線バスに関する制約は緩和の方向へ導かれる可能性がある。公益性が高い平場の路線バスと同じレギュレーションで、収益事業である高速バスを縛るのはナンセンスであり、諸先進国でも別々の制度のもと運営されているのだ。仮に運賃や続行便設定時の傭車に関する制約がぐっと緩和され、レベニューマネジメント(RM)概念に基づいたダイナミックプライシング(変動価格制)が導入されたりなどすれば、実はキーになるのは予約センターである。RMは、先進的なIT技術があれば実現するという簡単なものではない。陣頭指揮を執るレベニューマネジャー(高速バスの場合、予約センターの責任者か副責任者が兼務することになろう)のもと、主に予約センター、そしてバスターミナルや乗務員まで一人ひとりのスタッフが自覚を持って業務を行なってこそ、RMが実現する。そのためにも、今から予約センターの機能を強化しないといかない。顔の見えるバスターミナルに比べ声でしか乗客とつながらない予約センターは事業者の中でも地味な職場と見られがちだが、本来は予約センターこそ、マーケティングにたずさわる経営部門と安定したサービスや運行にこだわる現場とをつなぐ、高速バス事業の「扇の要」なのである。

逆に言えば、レギュレーションの変化とともに事業者自身がより筋肉質に変われればさえ、高速バスにはまだまだ成長余地があるということだ。今の時点からその種まきをするのが私の役割だと勝手に自分を任じている。まずは在庫投入など手間をかけてでも私たちのサイトで座席を販売することが自らの路線の乗車率の向上につながるという小さな成功体験こそ、その第一歩だと信じている。運用だけを担っていた現場が、日々の在庫の出し入れを通じて乗客数の、そして売上と利益の増加に自ら貢献していると実感することこそ、その第一歩だと信じている。やがては在庫に限らず多くのパラメータ(変数)を予約センターが握ることになるだろう。地方側事業者が、予約センターのスキルがより高度な大都市側事業者と組むことを求め共同運行先を乗り換える……(現実には他の要素がいろいろからむけど)数年先にそんなニュースが流れるとき、営業所の一番奥の窓のないセンターで働く一人ひとりのスタッフに、光が当たることになる。





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Last updated  2010.11.29 19:30:26
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

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