成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2010.12.13
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カテゴリ: 高速路線バス
先週末に取扱開始した西鉄高速バス 東北急行バス取扱開始の際の勢い は、さすがにない。今回、西鉄高速バスが最初の取扱を三重、高松、佐伯とした理由はお聞きしていないが(結局は共同運行会社の顔ぶれ、かも知れぬが)、では路線バス事業者は、ウェブによる販路拡大をどのような路線から行なうのがベストだろうか? 高速ツアーバスと競合する路線(西鉄で言えば東京線、大阪線)からか、それとも今回の3路線のように競合が無い路線か。その他にも、鉄道との競合環境、高速路線バス同士の競合(マルチトラック)環境、観光要素が強い(西鉄で言えば黒川温泉線)かどうかなど、一口に高速バス路線といっても実は様々な外的要因を持っている。

少なくともここまで取扱させていただいている中で圧倒的に送客数が多いのは東北急行バスの仙台線である。総乗客数が前年比で何割くらい増加したのかお聞きしたことはないが、若干のカニバリを考慮しても(とはいえ感覚的には多くて数%だろう)、同社の経営にいい意味でインパクトを与えるレベルの数字はご送客できているはずだ。理由は簡単で、首都圏~仙台線はウェブマーケティングの誕生が新規需要を大きく喚起した路線であるので私たちのサイトに相当数のリピータがいたからだ。その中の数%が比較検討の上で東北急行バスの便を選ぶことで、同社にとっては大きなインパクトがある数字につながっている。

今後、同社が採るべき戦術は二つ。まずは週末を中心に単価アップを図ること。運用の都合もあったのだろうが、曜日に関係なく単価が下がりすぎている。南海バスの広島線など、平日と週末で約10%の価格差を設定しつつ、さらに平日は楽天スーパーポイントの付与率を5%に上げ(通常は1%)、実質的に約15%の価格差とし成功している。次には、このようにして獲得した新規顧客に対し、次回以降、まずは私たちのサイト上で自社のバスをリピート利用してもらえるよう誘導し、できるなら最終的には送客手数料が不要な自社サイト(同社の場合は発車オーライネット)から予約してもらえるよう、手を変え品を変え促すことが必要だろう。そのために、接客など品質面でますます磨きをかけるとともに、自社サイト予約者に何らかのインセンティブを与えたり自社サイトのユーザビリティを向上させたりすることが必要だ。一方で私たちも指をくわえて見ていると、コストと手間をかけて掘り起こした新規需要を二度目以降みすみす彼らに渡すことになるから、そうはさせじと新たな工夫を繰り返すだろう、双方のそのがんばりが、さらなる成長を生む。私が思い描く「お互いに高め合う、取引先同士の適度な緊張関係」である。

このように高速ツアーバスと競合する路線で高速路線バスを取扱させていただければ、私たちは取扱開始のその日からどんどん新規予約をご送客することができ、事業者側は「足元」で大きなゲインがある。私たちとしては、その時点では予約総数は増えないが、「利用者に対し多様な選択肢を用意する」というマーケットプレイスの本来の役割を充実させサイトの価値を上げることができる。

今回、西鉄は逆の選択をした。高速ツアーバスと競合する路線はあえてはずし、全く競合がない路線ばかりを選んだ。もともと私たちのサイトにリピータがいるわけではなく「足元」のゲインが小さいことを覚悟で、事業者と私たちで一緒に潜在需要を喚起し路線を盛り上げていくというイメージだ。お互いプレスをうまく活用したりキャンペーンを実施したりし、常時、世間の耳目に触れるようにすることが大事である。そのためにも、期間限定で乗客プレゼントを用意したりポイント付与率を増減させたりといった「話題のヤマ」を作ることが有効だ。前者の東京~仙台線の場合は、事業者(東北急行バス)は、自社サイトから予約していた既存の乗客が私たちのサイトへ逸走すれば手数料分が持ち出しになるので、楽天でも予約が取れることは事業者の自社サイトやチラシなどで触れない方がいいし、後者の福岡~三重などの場合は、まだ成長期にある区間における潜在需要喚起が目的だから、事業者側も積極的にメディア等に登場し、既存客が逸走するリスクをあえて取ってでも路線全体を膨らませていくことが肝要だ。

とすれば、後者のパターンで最も有効なのは次の二つのタイプの路線である。一つ目は観光地路線。景気変動など外部要因を除くとビジネス路線において移動者数の急激な増加は見込めないが、観光客の場合は、「○○に行かないといけない」という制約があるわけではないので、デスティネーションの魅力や高速バスの便利さを訴求することで移動量そのものの増加を図ることができる。「今度の連休に伊豆の温泉にでも行こう」と計画中の消費者にとって、魅力的な目的地と便利な交通手段があるならば、別に伊豆でなくとも富士五湖でも那須でもかまわないのだ。もう一つは高速路線バス同士がマルチトラック化している路線である。鉄道や自家用車から高速バスに転移させようとすると非常に大きなコストや知恵が必要だ(「スイッチングコストが大きい」)が、A社の高速バスからB社の高速バスへの転移は、それらが比較的小さく済む。「ポイントが溜まる」「予約が便利」程度の差異化でライバル路線から自社路線へ乗客を誘い込むことができるのだ。これら2タイプの路線では、既存客が逸走し手数料が持ち出しになるリスクを取ってでも、楽天で予約できるようになったことを事業者側でも積極的にアピールし、手数料増加額など軽く上回る新規売上を見つけてくればいいだけの話だ。

このように、外部サイトの活用による拡販ひとつとっても、路線ごとに置かれた環境により戦い方は変わってくる。インターネットは決して「打ち出の小槌」ではない。自分たちが置かれた環境を冷静に分析し、それぞれにあった打ち手を選ぶことが求められているのだ。もっとも、「まずはいろいろやってみる」ことで固定観念を打破することこそ、そのための最も近道なのかも知れないが。少なくとも、西鉄とウィラー、西鉄と楽天という新しい組み合わせは、固定観念を打破するのに十分なインパクトがあるはずだ。





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Last updated  2010.12.13 18:09:01 コメント(2) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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