成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.04.20
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カテゴリ: 高速路線バス
高速ツアーバスの販売手法の特徴として、レベニューマネジメント概念に基づいたダイナミックプライシング(需給の状況を見ながら、常時、価格を変動させること)と、複数の販路(主に予約サイト)を操るチャネルコントロールがある。高速ツアーバスの企画実施会社の多くは、専任の担当者を置き、常時、自社サイトや、楽天トラベルをはじめとした他社サイトの「価格」や「在庫」をコントロールしているのだ。

前者は、閑散が予測される便においては単価を下げることで乗車率を確保し、逆に繁忙が予測される便においては単価を上げて収益性を確保する手法である。そのためには「フォーキャスト(需要予測)」が何よりも重要であって、大規模な企画実施会社なら自らフォーキャスト機能を持ち、そうでないなら、定期的に楽天トラベルから送られるフォーキャストデータを参考にし、さらに他の企画実施会社の価格変動などもウォッチしながら価格をコントロールしている。

後者は、複数の販路への在庫(座席)配分を最適化する手法である。当然のことながら、販路が広い方が多く売れるに決まっている。イトーヨーカドーでしか売っていない牛乳と、それに加えイオンでも売っている牛乳とで、後者の方が販売数が多いのは当然だ。一方、バスの座席(在庫)は有限だ。数多くのサイトに座席を分割して提供した結果、あるサイトでは満席で他のサイトでは空席、という状況が発生すれば販売機会をロストすることになる。だから、Aサイトの売れ行きがよければBサイトから在庫を抜いてAサイトに追加投入する、というようなオペレーションを、(自動の会社も、手作業の会社もあるが)常時行なっているのだ。

チャネルコントロールの手法は、チャネル支配の手法でもある。今のところ、高速バスについて最も販売力が強いのが楽天トラベルであることは客観的に見て確かであり、全座席を楽天トラベルに預けてしまえば担当者は楽かもしれないが、それはすなわち、外部のサイトに販売力を握らせてしまうことを意味する。だから、繁忙が予測される便については、あえて自社サイト中心に在庫を配分する、というのは企画実施会社としては当然だ。もちろん、そんなことをされたら他社サイト側は売り物がなくなるから、営業担当者が当該企画実施会社に対し在庫投入をお願いするとともに、それが叶わないなら他の企画実施会社に続行便や臨時便の設定を声掛けする。

手前みそだが、高速ツアーバス業態が(少なくとも数字の上で)大きく成長した要因の一つが、この「販路ごとの競合関係」を作りあげられたことだと感じている。上記に挙げたのは「在庫」サイドでの競合関係だが、当然、「集客」サイドなどにおいても、各企画実施会社の自社サイトと、複数の他社サイトとの間で常に競合関係が発生する。○○トラベルのバスの座席を埋めるという共通の目的に向かって、○○トラベルの自社サイト(当然、自社サイトから予約が入れば企画実施会社は送客手数料が不要なのでそれが理想だ)と、楽天、高速バスドットコム、スカイゲート、バス探といった予約サイトがお互いに切磋琢磨するのだ(もちろん、各サイト上では、逆にウィラーと平成、オリオン、キラキラといった企画実施会社同士が切磋琢磨している)。

私自身の怠惰な性格を考えても、常に競合関係が存在しなければ、自分の会社の成長に手を抜いたであろう。あえて競合関係を「仕組み」として作り上げることが、常に自らを追い込み、それが結果として業界全体の成長を促すのである。

既存のバス事業者の方々とお話をしていると、時々、この、チャネルコントロールを通して行なうチャネル「支配」の重要性に気づいていないと感じることがある。<こうなったら、インターネットは楽天さんに任せるしかなさそうだね>とおっしゃっていただけるのは(もうその会社を離れた身であっても)私個人としては光栄だが、そこで「任せ」てしまっては、販売サイドが主導権を握ってしまうことになる。それはバス事業者のためには絶対にならない。それどころか、数年後には、<安全確保の原資をピンハネされている>などと、予約サイトの側も非難を受けることが確実である。

高速路線バス事業者は、楽天トラベルのような他社サイトの販売力を利用しながらも、自社サイトや、ウェブ以外の各種販路の強化にも努めなければならない。

例えば「自社サイトの販売力」という切り口だけとっても、静的ページ(いわゆる「バス会社のホームページ」)、動的ページ(「発車オーライネット」などの予約システム)双方の改善が必要だし、「集客力」(いかに多くの人をサイトに集めるか)、「ユーザビリティ」(いかにわかりやすく情報を見せ簡単に予約へ結び付けるか)、「リテンション」(いかに何度も繰り返し利用してもらえるか)といったステップごとの改善も必要だ。もちろん、ウェブ以外の販路も多数存在するし、販売手法が変われば、今日的な商品作りに対応することも必要となってくる。



なぜ、販売に真剣に取り組まねばならないか、もう一度だけ考えてほしい。まるで税金を払わされるような気分で、イヤイヤ、販路拡大やウェブ活用に取り組んでほしくない。販売をがんばるのは、他でもない、御社の高速バスを1席でも多く予約で埋めるためなのである。





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Last updated  2011.04.20 11:47:32
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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