成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.11.21
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カテゴリ: 高速ツアーバス
同じく私が連休を取っていた間の動きとして、日本バス協会の全国バス事業者大会があった。前回の大会では 一波乱あった ようだが、今回は双方とも「現実的」なスピーチで平穏に終わったようだ。もっともウワサによれば、それでもご挨拶の冒頭に、<今回はおとなしく話す>というようなコメントがあったとかなかったとか。

さて、11月9日の日本バス協会の高速バス委員会、10日、11日の当社のフォーラム、そして16日の同大会と、高速路線バス事業者の経営者、担当者どうしが話すチャンスが続いた。惜しむらくは、目の前に迫っている「新高速バス」制度に向けた省令改正について、未だ細かい内容が事業者に届いていないことだ。逆に高速ツアーバス連絡協議会ではこれまで数度、会員を集め詳細を行政から直接説明していただいているにもかかわらず。

その結果、高速路線バス事業者における「新高速」の捉え方は、事業者、または個人によってかなりバラバラなようだ。まず多くの方々は、「新高速」などまだまだ先の話だろう、と感じておられるようだ。この話は、高速路線バスと高速ツアーバスの一本化を目指すものであり、では高速ツアーバス全社が「新高速」に移行が完了するまでには相当な時間がかかるだろうと踏んでいて、だから「まだ先」という捉え方だ。しかし、「あり方検討会」中間報告書にある通り、まずは年内(ちょっと遅れて「年度内」になりそうだが)をメドに省令改正を行ない、その上でツアー各社の移行を行なうという段取りなのだ。だから省令改正自体は目前に迫っている。一方、当社のクライアントや、フォーラム参加の事業者さん達はそのことを認識して下さっているはずだ。

「一本化」という言葉についても、相反する捉え方があるようだ。その一つは、「高速ツアーバスの事実上の禁止」という言葉から、現在のツアー各社が事業を継続できなくなる、というものだ。しかし今回の制度改正は、ツアー各社が、安全面でのハードルを上げながらもきちんと事業を継続できるよう様々な配慮がなされている。高速ツアーバスというモデルが事実上禁止されることと、ウィラーやオリオンが廃業するということは意味が違う。

逆に、<いざ同じ土俵に乗っかってしまえば、ツアー各社に手も足も出ないんじゃないか>と悲観する事業者も多い。たしかに、ウェブマーケティング活用やメディア受けする新商品開発などツアー各社が先行する面は多い。コスト構造も違う。しかし、既存の高速路線バスが圧倒的な強みを持つ面も多い。少なくとも、高速バス市場の「本丸」である多頻度昼行区間において、急激に競争が始まり逆転が起こるとは考えられない。

それらの状況を冷静に見極め、より自由度が増す制度のもとでどのような戦略に基づき事業を運営していくのか。先延ばしにしている余裕はもうない。

ところで、昨日ちょっと触れた前田大臣の記者会見、本日付の 『東京交通新聞』 で詳細が紹介されている。高速ツアーバスは、<「現実には非常に便利に利用されており、特に若い利用者が多いと聞いている。『バス事業のあり方検討会』で(駅ターミナル停留所の確保など)何とか早く現実的な対応策を出してほしい」と述べ、ツアーバスの運行に好意的な反応を示した>



それは、「業界」として、「あり方検討会」の結果をどう受け入れるかという点だ。いま同検討会で論点として残っているのは、「高速ツアーバスを、法的に明確に禁止すべきか」という点だ。しかし「現実」をよく見て欲しい。行政は、<現在の法律の理念に照らし合わせて高速ツアーバスは違法ではない>という言葉を繰り返して説明している。つまり、本当に高速ツアーバス(募集型企画旅行による二地点間輸送)を法的に禁止しようとすれば法律改正が必要で、時間も手間もかかる上に最後は国会の判断ということになる、という説明しているのだ。現在の法律がいいか悪いかは別として、それを変えようというのは、<時間もかかるし手間もかかるし、また絶対にそうなるという確証もない>ので、この場では約束できない、というのが行政の「立場」だ。

私自身は、繰り返すが、新しい事業モデルの構築も重要なイノベーションであり、制度によって規制すべきではないという考えだが、そう言い張っていても何も変わらないという「現実」がある。だからこそ高速ツアーバスモデルの「事実上禁止」という考え方を受け入れ、法改正しなくても「事実上禁止」を実現する実務面でのアイデアを提供するとともに、高速ツアーバス連絡協議会会員に対しては村瀬会長と一緒に「事実上禁止」と説明を続けた。会員各社も意図や背景をよく理解し、「新高速」移行への準備を着々と進めている。

おそらく「既存組」各社にすれば、そのようにツアー各社が移行に前向きなこと自体、不気味な印象を与えるのかもしれないが、この機を逃せば、「事実上禁止」さえ実現が覚束なくなる。「一本化」は、そもそも「既存組」各社の強い希望だったはずだ。そしてその希望を実現するためには、上記、行政の「立場」を無視するわけにはいかない。その立場をよく慮らなければ、通る希望も通らなくなってしまう。大切なことは、今回生まれる「新高速バス」制度は、「既存組」「(高速ツアーバスからの)移行組」双方にとって大きな未来を与えてくれるということだ。ただし、現実をよく理解し、自らの強み弱みを冷静に把握し、適切な戦略を選んだ事業者だけが、その未来を実現できるわけだが。





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Last updated  2011.11.21 08:21:13
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いよいよ具体的な動きになりましたね  
経済人@尾張藩 さん
いつもブログを拝読しております。積極的、かつ多方面でのご活躍が伺われますね。
さて、「バス事業のあり方委員会」が再開され、いよいよ「新高速バス規制」の具体的な内容が見えてきましたね(私には国交省のHPが頼りなので、詳細はわかりませんが・・・)。
これまでもコメントで何度かお話したように、私は「制度は1つであるべき」というのが基本的な考えですが、通達等による「事実上の制度一本化」は法律改正という極めて煩雑な過程を避けたという意味で、迅速、かつ現実的な対応としては妥当だと考えます。
「健全な市場」になるのためには、公正なルールのもと、事業者同士が切磋琢磨し、知恵を出し合うことが必要だと考えます。高速バス業界もそのような市場に至る一歩を歩み出したと思いたいですね。
あとは悪質事業者を駆逐する監査制度の充実もあわせて議論してほしいところですね。 (2011.11.22 11:24:50)

Re:いよいよ具体的な動きになりましたね(11/21)  
経済人@尾張藩さん、いつもコメントをありがとうございます。

このところイベントと報道が続いたこともあり、業界全体でかなり動きが出てきた印象が肌で感じられます。「とうとう回り始めたぞ」という実感です。
その中で、繰り返しますが私自身の信念では必ずしも一本化は必要ないと考えますが、目指すところは、潜在能力の大きい「既存」の路線バス事業者さん達が本気を出し高速バス市場をさらに拡大させる環境と制度を作ることでしたから、今回の「現実的な」アイデアが出てきたときには、「なるほど」と唸ってしまいました。行政のご担当がパワーを持って皆を巻き込んでいくタイプの方でよかったと思います。

監査や罰則の見直しについては私がお手伝いできる範囲を超えており何とも言えませんが、少なくとも高速バス分野においては「移行組」について当面は引き締めがあるものと思われます。もっとも、高速バス分野さえよければ一般貸切はどうでもいい、というわけにはいきませんので、いつかは抜本的な取組が必要でしょうね。それが「既得権益を守るため」と社会に映ってしまわないよう、関係者はあえて言葉を選ばないと、結果として遠のいてしまう気もします(物の言い方によっては、いいことであってもあらぬ反発を買ってしまいかねません)。

またコメントをお待ちしております。 (2011.11.22 18:38:13)

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